短編③
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「お頭ーおーかしーらーっ」
何処に行っちゃったんだろうあの人。
ルゥさんが探してるのに。
まさか海に落ちた?
・・・訳ないよね。
でもあらかたのとこは見たし。
やっぱり部屋かなあ。
ノックしても返事なかったから入らなかったけど。
「おかしらー」
ドアノブの手を回すとガチャリと回ったので部屋に入ってみると。
「あ・・・・」
ベッドに横になってるお頭。
・・・お昼寝なんて可愛いとこもあるんだ、と思いつつ、
まあ昨日散々飲んでたしね、と苦笑した。
寝顔は可愛いなあ、なんてしみじみ思う。
目元の傷が少し痛々しいけど。
・・・日頃お頭として皆を引っ張ってるんだもんね。
これくらい、許してあげないとね。
起こすのも可哀想だし、このまま出て行こうかとも思ったけど。
最近2人で過ごしてなかったなあ、なんて。
・・・せっかく恋人になれたのに。
そう思った瞬間不意に脳裏に過ったお頭の言葉。
言われたの、いつだったかな。
『シャンクス、って呼んでくれないのか?』
寂しいな、と笑ったあの時。
今までのクセとか、皆の前では恥ずかしいとか、色んな感情で今でもお頭、って呼んでるけど。
「・・・・・シャンクス」
お疲れ様。
と小さい声で呟いてみた。
その瞬間、ぐいっと身体が引き込まれた。
「え、なっ」
何、と言葉にする間もなくベッドの中。
「遅かったな」
「・・・約束してなかったですよね?」
ぱっちりと目を開けたお頭。
「約束はしてなかったが、来ると思ってた」
と妙にご機嫌。
「ルゥさんが探してたから来たんです。起きたんなら行ってあげてください」
「断る」
「何故!?」
ルゥさん可哀想!
「考えても見ろ、アコ」
「・・・はい」
「こーんなにいい天気だ」
「そうですね」
部屋の窓から入って来る光はあたたかくて。
ぽかぽかで。
お頭が昼寝したくなる気持ちもわかる。
「そんで今俺の目の前にはアコ、お前が居る」
「・・・・そうですね?」
「せっかく愛しい恋人と2人きりで部屋に居れるんだ、このチャンスを逃す手はないだろう?」
「そ・・・・・そうです・・・・かね?」
「ましてやここはベッドの中だ」
それはその通り。
これはヤバい状況だ、と初めて気づいた。
「わ・・・・私は仕事がありますのでっ」
「ない」
「ありますって!!」
「じゃあ仕事はなしだ。船長命令な」
「ずるい!!」
「ずるくねェ」
ずるいのはお前の方だ、とお頭が言った。
「・・・私が?」
「この状況で、あんな風に名前を呼ばれたら・・・・期待しちまうだろ?」
「・・・・・・・・・・・いつから起きてました?」
「あ。のあたりだな」
「それ最初ですね!?」
部屋に入って寝てるお頭を見つけた時の、あ、じゃないですかね!?
「まぁ細かいことは気にするな!」
だっはっは、と豪快に笑うお頭に、
もう、と呆れのため息を吐いた。
「ホントにいいんですか?ルゥさん」
「用は聞いたか?」
「いえ」
「なら問題はねェさ。大事なことならあいつが直接来る」
「・・・・そう、ですか」
ならいっか。
ほ、と身体の力を抜いた。
「お、いいのか?」
「たいした用事じゃないなら」
「・・・俺が嘘を吐いてるって可能性は考えない訳だな?」
「だって吐く訳ないですもん」
「ははっ、信用されたもんだ」
「してますよ。恋人ですから」
「なら恋人として信頼に応えるとしよう」
ちゅ、と頬にキス。
「ひゃっ」
「ん、いい声だ」
「お頭!私寝たいんですけど!」
「俺と寝たいんだろう?」
「だってこんなに素敵なお昼寝日和ですよ?」
「よし、このまま寝るか」
「そうしましょう」
「の、前に」
「前に?」
お頭は悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべて、
私の耳元で、
「もう1回名前呼んでくれ」
と囁いた。
「・・・・シャンクス」
仕方なく呼んでみたらそれはもう満面の笑みのお頭に、
「俺のアコは可愛いなァ」
強く抱きしめられた。
片腕なのにすごい力で。
「シャンクス、痛い」
「おっと、すまん」
「・・・・もう」
なんだか胸が締め付けられて、
今度は私から唇を重ねた。
「・・・・アコ」
「ん・・・・・っ」
今度はお頭から深い口づけ。
「可愛いなァ・・・・可愛くてたまらねェ」
「あ・・・・・」
「・・・・ん?」
「あんまり可愛い連呼しないでください・・・恥ずかしい・・・・っ」
「可愛い」
「おか・・・っシャンクス!!」
「何度でも言わせてもらう、アコは可愛い」
「・・・・・・可愛く、ないです」
「可愛くない口は塞ぐに限るな」
そう言ってまた口づけ。
「・・・・・ん、もう」
「アコは知らないだろうが」
「・・・何でしょう?」
「アコは俺が知る中で1番可愛い」
その言葉はとても嬉しいけど。
「このまま進めばもーっと可愛い子がいっぱい居ますよ」
そしてその子に惹かれるまでが、お頭の中で私が1番。
そう思ってたのに。
「仮に居たとして、どうってことはねェ」
「・・・どういう意味ですか?」
「どんな美人がいようがアコよりいい女はいねェと断言出来るってことさ」
「どうして、ですか?」
「そんだけ惚れてるんだ、アコに」
そう言って、ふ、と笑うお頭に。
・・・・顔が熱い。
「・・・私も」
きっとこの人以外を愛することはないだろうなあ。
ぎゅ、とお頭の手を握った。
「・・・・・ふぁぁ・・・・」
あったかさに思わず欠伸が出た。
すると、
「くぁ・・・・俺も移っちまったみたいだ」
お頭も大きな口を開けて大欠伸。
「・・・寝ますか」
「だな」
繋がれた手はそのままで。
ルゥさんが探しに来るまで、ひと時のお昼寝。
海賊だって、
こんな時間あってもいいよね?