短編①
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は結構頑張ったんだ。
普段はやらないようなとこも掃除した。
苦手な虫も出来るだけ自分で何とかした。
・・・・・・だから、今日は自分にご褒美、と思って。
冷凍庫に眠っているであろうアイスを迎えに食堂に行った。
けれど、
そこにはまさに私が食べようとしていたアイスを口にしているお頭が居た。
「・・・・・・私の、アイス」
「ん?」
「・・・・・・なんで」
目の前の光景に湧き上がるのは怒りではなく、悲しさ。
「え、おい、アコ!?」
「失礼しました!」
ぽろりと零れる涙を止められなかった。
だからお頭が気にしないように足早に自分の部屋に戻った。
こんなことで泣くなんて馬鹿みたい。
仕方ない、だってアイスには名前なんて書いてなかったんだから。
わかってるのに。
・・・・・やだなあ、子供で。
ぼす、とベッドにダイブして、落ち着かなきゃ、と自分に言い聞かせた。
「アコ、入るぞ」
でも突然聞こえたお頭の声にがばっと頭をあげた。
「え、ちょ、待っ」
待ってくださいという前にお頭は部屋の中。
「・・・・・泣いていたのか?」
「お頭!部屋に入る前はノックして下さいって言ってるじゃないですか!」
「悪いが緊急事態だ」
「え!?皆に何か!?」
緊急事態の言葉に、何があったんだろうと不安が過る。
私は急いで起き上がった。
けれど、
「アコが泣いてる」
「え、」
お頭は私の前まで来ると、
大きくて優しい手をぽん、と私の頭に乗せた。
そして心配そうな顔で私を見つめて、
「俺が何かしちまったのか?」
・・・・そんな風に言われたら、アイスが食べたかったなんて言えない。
それに、実際アイスだけの話じゃないし。
最近ちょっと苛苛が溜まってたからだ、きっと。
でも何て言えばいいんだろう。
「何でも、ないです」
「俺には言えないことか?」
言えない。
疲れた、なんて言ったら。
なんて言われるか。
海賊の生活は無理かもしれない、とか言われたり。
もしかして船から降ろされることになんてなったりしたらと思うと絶対言えない。
そう、思うのに。
「だって皆、掃除したばっかのとこすぐ汚すし・・・!出したものは出しっぱなしで片づけないし!」
大丈夫、と言いたかったのに口から出た言葉は違っていた。
「皆何でも私にやらせて当たり前って感じだし、もう疲れちゃって、今日も、頑張って掃除して」
ああ、もう駄目。
溢れる涙も愚痴も止められない。
「だからアイス食べようと思ってたらお頭が食べてる、しっ!」
涙でお頭の顔は見れないけど、見れなくて良かった。
呆れてるかもしれない。
「アコ」
けど、私の名前を呼ぶ声は何処までも優しい。
「でもっお頭は何も悪くないですから、私が勝手に泣いてるだけですから。アイスくらいでごめんなさ、」
ごめんなさいと言おうとした私の口を塞いだのはお頭の口。
「・・・・ん、っ」
「気づけなくて悪かった。俺は・・・駄目だな」
「人の話聞いてました!?お頭は悪くないんですって!」
「いや、悪いのは俺だ。アコがそこまで追い詰められていることに気づけなかった」
急なキスに驚いたけど、今はそれどころじゃなかった。
私は、お頭を傷つけてしまったのかもしれない。
「アコは優しい。俺達はその優しさに甘えすぎてたのかもしれねえなあ」
「・・・・そんな、こと」
「そうだろ?さっき俺が緊急事態だって言った時何を想像した?
あいつらに何かあったんじゃないかって思ったんじゃねえのか」
・・・・・・思った。
「意図的じゃないにしてもアコの悩みの原因だってのに、真っ先に心配しただろう?」
「悪いのは・・・私ですから」
「あんま思い詰めんな、アコ。何の為に俺達が居ると思ってんだ」
「でも、」
「何の為に俺が居る?」
「・・・・・何の為ですか?」
「あー、ほんとにわかんねえか?」
言いにくそうに頭をぽりぽりとかくお頭に、真面目に考えてみるけど、
皆を引っ張っていくため、としか考えられない。
でもたぶんその答えは違う気がする。
「わかんないです」
「今はそれでいいさ。・・・・アコ、何して欲しい」
「え?」
「何でもしてやる。いつも頑張ってくれてるアコに感謝の気持ちをこめて、な」
「・・・じゃあ、頭、撫でてくれませんか?」
小さくぽつりと呟いた言葉は、それでもお頭には届いたようで、
お頭は優しく笑って、ゆっくりと優しく私の頭を撫でてくれた。
「お安い御用だ」
そして翌日から、船内にルールが出来た。
自分で出したものは自分で片付けること。
アコに負担をかけないよう生活すること、というルール。
それから俺達はお前を守る為に居るんだ、とお頭が教えてくれたのは数ヵ月後のこと。
身体も心も、守ってやる、と。
普段はやらないようなとこも掃除した。
苦手な虫も出来るだけ自分で何とかした。
・・・・・・だから、今日は自分にご褒美、と思って。
冷凍庫に眠っているであろうアイスを迎えに食堂に行った。
けれど、
そこにはまさに私が食べようとしていたアイスを口にしているお頭が居た。
「・・・・・・私の、アイス」
「ん?」
「・・・・・・なんで」
目の前の光景に湧き上がるのは怒りではなく、悲しさ。
「え、おい、アコ!?」
「失礼しました!」
ぽろりと零れる涙を止められなかった。
だからお頭が気にしないように足早に自分の部屋に戻った。
こんなことで泣くなんて馬鹿みたい。
仕方ない、だってアイスには名前なんて書いてなかったんだから。
わかってるのに。
・・・・・やだなあ、子供で。
ぼす、とベッドにダイブして、落ち着かなきゃ、と自分に言い聞かせた。
「アコ、入るぞ」
でも突然聞こえたお頭の声にがばっと頭をあげた。
「え、ちょ、待っ」
待ってくださいという前にお頭は部屋の中。
「・・・・・泣いていたのか?」
「お頭!部屋に入る前はノックして下さいって言ってるじゃないですか!」
「悪いが緊急事態だ」
「え!?皆に何か!?」
緊急事態の言葉に、何があったんだろうと不安が過る。
私は急いで起き上がった。
けれど、
「アコが泣いてる」
「え、」
お頭は私の前まで来ると、
大きくて優しい手をぽん、と私の頭に乗せた。
そして心配そうな顔で私を見つめて、
「俺が何かしちまったのか?」
・・・・そんな風に言われたら、アイスが食べたかったなんて言えない。
それに、実際アイスだけの話じゃないし。
最近ちょっと苛苛が溜まってたからだ、きっと。
でも何て言えばいいんだろう。
「何でも、ないです」
「俺には言えないことか?」
言えない。
疲れた、なんて言ったら。
なんて言われるか。
海賊の生活は無理かもしれない、とか言われたり。
もしかして船から降ろされることになんてなったりしたらと思うと絶対言えない。
そう、思うのに。
「だって皆、掃除したばっかのとこすぐ汚すし・・・!出したものは出しっぱなしで片づけないし!」
大丈夫、と言いたかったのに口から出た言葉は違っていた。
「皆何でも私にやらせて当たり前って感じだし、もう疲れちゃって、今日も、頑張って掃除して」
ああ、もう駄目。
溢れる涙も愚痴も止められない。
「だからアイス食べようと思ってたらお頭が食べてる、しっ!」
涙でお頭の顔は見れないけど、見れなくて良かった。
呆れてるかもしれない。
「アコ」
けど、私の名前を呼ぶ声は何処までも優しい。
「でもっお頭は何も悪くないですから、私が勝手に泣いてるだけですから。アイスくらいでごめんなさ、」
ごめんなさいと言おうとした私の口を塞いだのはお頭の口。
「・・・・ん、っ」
「気づけなくて悪かった。俺は・・・駄目だな」
「人の話聞いてました!?お頭は悪くないんですって!」
「いや、悪いのは俺だ。アコがそこまで追い詰められていることに気づけなかった」
急なキスに驚いたけど、今はそれどころじゃなかった。
私は、お頭を傷つけてしまったのかもしれない。
「アコは優しい。俺達はその優しさに甘えすぎてたのかもしれねえなあ」
「・・・・そんな、こと」
「そうだろ?さっき俺が緊急事態だって言った時何を想像した?
あいつらに何かあったんじゃないかって思ったんじゃねえのか」
・・・・・・思った。
「意図的じゃないにしてもアコの悩みの原因だってのに、真っ先に心配しただろう?」
「悪いのは・・・私ですから」
「あんま思い詰めんな、アコ。何の為に俺達が居ると思ってんだ」
「でも、」
「何の為に俺が居る?」
「・・・・・何の為ですか?」
「あー、ほんとにわかんねえか?」
言いにくそうに頭をぽりぽりとかくお頭に、真面目に考えてみるけど、
皆を引っ張っていくため、としか考えられない。
でもたぶんその答えは違う気がする。
「わかんないです」
「今はそれでいいさ。・・・・アコ、何して欲しい」
「え?」
「何でもしてやる。いつも頑張ってくれてるアコに感謝の気持ちをこめて、な」
「・・・じゃあ、頭、撫でてくれませんか?」
小さくぽつりと呟いた言葉は、それでもお頭には届いたようで、
お頭は優しく笑って、ゆっくりと優しく私の頭を撫でてくれた。
「お安い御用だ」
そして翌日から、船内にルールが出来た。
自分で出したものは自分で片付けること。
アコに負担をかけないよう生活すること、というルール。
それから俺達はお前を守る為に居るんだ、とお頭が教えてくれたのは数ヵ月後のこと。
身体も心も、守ってやる、と。