短編③
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「・・・・よし」
ようやく満足のいくものが買えた。
と緩む口元を抑えながら、
まだ先のことだ、と自分を落ち着かせる。
・・・同棲中の恋人、アコはどう思うか。
そんな期待に胸を躍らせていた、何気ない日常のこと。
「女の人と一緒に居るの見たの」
「・・・・それは、」
アコの勘違いじゃないか?と言おうとして口を閉ざした。
あまりにも真剣な顔で見つめられたので、
何か勘違いさせるようなことがあったか、と必死に過去に記憶を巡らせる。
「女の人からプレゼントもらってた」
「プレゼント?」
・・・最近何かもらったか?
記憶にないな。
「誰」
短い言葉に込められた怒り。
焦りを抑えつつ、
「いや、誰からも何ももらってねェが」
「嘘つき」
・・・・きついな。
「本当に覚えてないんだ」
「黒髪ショートヘアの美女」
「・・・・知り合いにはいない」
「誤魔化すの!?最低!」
「違うんだアコ、そんなつもりじゃない」
「じゃあどういうつもり!?」
「アコ、」
抱きしめようと手を伸ばせば、
「触らないで」
ぱちんと弾かれた。
「・・・・・っ」
効く、な。
痛くはないのに、心の痛みは重症だ。
否定されたこともそうだが、何よりアコの辛そうな顔が1番効く。
「シャンクス嬉しそうだった。・・・私じゃない女の人に」
「すまんアコ、だが本当にわからないんだ」
「最低」
「・・・・違うんだ」
「何が違うの!?小さい箱に可愛いラッピングされてたわ、赤いリボンの」
「赤い・・・・リボン・・・・」
・・・・・それは思い当たる節がある、な。
「思い出した?」
「・・・・ああ、だがそれは」
「何をもらったのか知らないけど大切にね」
「アコ、聞いてくれ」
「さようなら」
「アコ・・・・・っ」
さようなら、と冷たい声で言い放ったアコはそのまま玄関へ。
・・・・参ったな。
今説明出来るものじゃない。
したとしても頭に血が上っている今のアコには俺の気持ちは届かないだろう。
すぐにばたん、と扉の閉まる音。
・・・・落ち着けば帰って来るだろう。
とは思うが。
あと2週間後まで内緒にしておくつもりだったんだがな。
・・・・アコの誕生日。
その日に贈るつもりの、指輪を。
こんな状態でプロポーズ、ってのもな。
恐らくアコが見たのはジュエリーショップで予約していた指輪を俺が受け取るところだろう。
今度のアコの誕生日にサプライズでプロポーズをしたいと密かに計画して、
何店舗のショップを回って、
ようやく気に入るものが買えた。
あとはアコが気に入ってくれるか。
・・・俺の気持ちを、受け入れてくれるか、それだけだったんだが。
正直返事に関しては自信はある。
・・・・が、迂闊だったな。
・・・・帰って来ない、か。
頭が冷えれば帰って来る、
1人になることも大切だろうとあえて追いかけなかったが。
静かな部屋に響く秒針の音がやけにうるさく感じる。
・・・・こんなに広い部屋だとも思わなかった。
まだ待つか?と自問して、
いや待てないなと答えを出す。
彼女はどう答えてくれるだろうかと考えながら綺麗にラッピングされたその箱を持って外に出た。
と言ってもアコが何処にいるか、だが。
真っ先に考えられるのは仲の良い友人の家。
そこで俺の話しをしてスッキリすれば帰っても来るだろう。
思い当たる友人の名前を携帯で検索してかけてみるも、
来てないとのこと。
・・・・となるとあとは時間が潰せる本屋、コンビニ。
もしくはアコが好きだとよく行っているカフェ。
バー。
思い当たる場所を一軒一軒しらみつぶしに探しに行くも、
アコの姿はなかった。
携帯にかけても繋がらない。
参ったな。
もう日も暮れる。
もしかして家に帰っているかもしれないな、と固定の電話にかけてはみたが留守番電話に変わった。
・・・まだ帰ってない、とすると。
・・・何処にいるんだ、アコ。
考えているとヤソップからメッセージが入った。
内容は、
『目撃情報。3丁目のでっかい噴水のある公園のベンチ』
助かった。
礼はあとでアコと仲直りしたあとにでもいい、とにかく今はアコだ、と目的の場所へ走った。
「アコ!!」
ヤソップの情報通りの場所にアコは居た。
・・・噴水のある公園、この場所は。
「・・・・シャンクス」
この、ベンチは。
「あの時と同じだな、アコ」
ベンチで泣いているアコにハンカチを差し出した。
仕事でミスをしたと泣いていたアコを見つけてハンカチを貸した、それが俺達の出会いだった。
人前で泣きたくないアコらしい。
「アコ、すまない」
「聞きたくない」
「聞いてくれ。アコが見たのはこれだな?」
赤いリボンの小箱。
「見たくない」
「・・・アコの指にぴったりのはずだ」
アコの手を取ると、アコは酷く驚いた顔をした。
「な・・・・なんで・・・」
箱の中のダイヤの指輪。
「思った通り、よく似合ってる」
アコの左手の薬指にぴったりだ。
「・・・・・私、に?」
「アコが見たのは購入した時に渡された瞬間だろう」
「・・・・・か・・・勘違い・・・してたの、私」
確かに顔しか見てなかった、制服着てたかもしれない、と真っ青なアコ。
「いや、誤解させるようなことをした俺が悪かった」
「・・・・そんな、ごめんなさいシャンクス」
「もういいさ。それよりこれの返事を聞かせてくれないか?」
「返事?」
「わからないか?左手の薬指に贈る指輪の意味。・・・・こんな形になってしまって申し訳ないが」
結婚してくれ。
「・・・・・はい」
少し早いプロポーズになったが無事に成功したことに安堵した。
「帰ろう、アコ」
俺達の家に。
「・・・有難うシャンクス。大好き」
家に帰ると帰ると帰るとアコがぎゅ、と控えめに抱き着いて来た。
「アコ?」
「ほんとに私でいいの?」
「・・・嫌、か?」
「自信がないの。今も勝手に誤解して怒って・・・シャンクス傷つけたのに」
俺の腕の中で小さく泣きそうなアコは酷く愛おしい。
「それは俺のことを愛してくれてるからだろう?」
「・・・・それは、うん」
「なら問題はないさ。気に病む必要はねェ」
「・・・私、シャンクスのお嫁さん?」
「ああ、そうだ」
頷くとアコふふ、と嬉しそうに笑って、
「よろしくお願いしますね、旦那様?」
と背を伸ばしキスをした。
・・・・本当に、愛おしい。
「勿論だ」
今度は俺から、深い口づけ。
ゆっくりと舌をねじ込めば、
「・・・・ん、ぁ・・・・っ」
漏れて来る艶のある声。
歯茎をなぞって口内を思う存分犯していく。
「は・・・・ぁ」
「悪いが我慢出来そうにない・・・」
「しゃん、ぁ・・・っぁ、ひゃあ、ん」
柔らかい胸に触れれば声は大きくなる。
硬くなった先端を服の上から転がしてやれば、
「はぁ、ん、しゃ、ぁ」
「・・・・いい声だなァ」
「しゃんくす、私、もう立ってられな・・・ぁっ」
「ああ、そうだな。ベッドに行こう」
耳朶、首筋、胸元に唇を落として、
アコを抱えて寝室に向かった。
・・・・自信はあったが、
それでも不安もあった。
今夜はいい夢が見れそうだ。