短編③
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
レッドフォース。
殺し屋の組織として、裏社会に生きる者でその名を知らない者はほぼ居ない。
とは言えうちも名のしれた組織。
同業者として出る目は潰すに限る。
「お前が適任だ、わかるな?」
「・・・お任せを」
レッドフォース、その組織のボス。
通称赤髪のシャンクスの首を取る為の情報を得る為に潜り込む。
私なら出来る。
・・・どんな手を使っても。
「新しい依頼だそうです」
「・・・・報酬と依頼内容が合わないな。ベックはどう思う?」
「却下だ」
「だそうだ。悪いがアコ、」
「はい、お任せ下さい」
ボスの赤髪には簡単に近づけた。
・・・拍子抜け。
これまで良く寝首を掻かれずにに済んでるものね。
それとも罠?
・・・どっちにしても都合がいいことに変わりはない。
見たところ要注意なのは赤髪より側近のベックマンのような気がする。
腕は恐らくほぼ同等、でも知恵はベックマンの方がある、と言ったところかしら。
クライアントはよく選んでるようね。
「ところでアコ、今夜一杯、どうだ?」
「ええ、喜んで」
チャンス。
夜で、しかもお酒が入ればハニートラップも仕掛けやすくなる。
・・・・・と思ったのに。
「・・・少し、酔ってしまったみたいで」
「水を飲むといい。帰りは家まで送って行こう」
・・・・隙がない。
「・・・シャンクス」
名前を呼んで、凭れ掛かっても。
「大丈夫だ、俺が居る」
・・・優しい。
まあ・・・私の部屋でも問題はない。
上手くやってみせる。
そう、思ってたのに。
「身体が、熱いんです」
「気持ちはわかるが服は着ておいた方がいい。風邪をひいたら大変だ」
え。
「気持ち悪くはないか?」
「え、はい・・・」
「眠れるまで側に居よう。安心して寝るといい」
・・・温かくて優しい手が、私に触れることはなくて。
それをこんなにも嬉しいと、思うなんて。
・・・駄目。
私はこの男から情報を得るのだから。
お酒の席で多少の情報は得たものの。
もっと深い関係にならなくちゃ。
「狙撃の腕はヤソップですがベックマンも負けては居ません。ヤソップは腕に自信がある分ナイフに弱いと見ました」
それでも順調に報告は進む。
肝心の赤髪の情報は入らなかったけれど。
手を出されなかったことから警戒されてるのかとも考えたけど、
そう言う訳でもなさそう。
「今回のターゲットはあの男ですね」
「ああ、そうだ。と言ってももう仕掛けはしてある俺達はそれを見届けるだけだ」
「私が直接手を下しても構いませんのに」
そう言って胸を押し付けるように腕を組んで来たアコに内心ドキリとした。
・・・アコは確かに上手くやるだろうが、
なるべくやらせたくはない。
そう思ってしまうのは不意に彼女が見せる何処か寂しそうな笑みのせいかもしれない。
・・・先日手を出せなかったのも、だ。
アコには才能があるのは数日でわかった。
・・・才能はあるが、向いてないかもしれねェな。
それでも側に置いておきたいと思うのは我が儘か。
「・・・アコ、こっち向けるか」
「っ、はい」
ターゲットが俺達に気づいた。
「悪い」
短く伝えてアコの唇を奪った。
「・・・・ん・・・」
こういう時は恋人のフリがいい。
顔も隠せる。
・・・ただそれだけのつもりでいたが。
「・・・しゃん、くす」
予想外に真っ赤な顔のアコを見て理性が切れた。
「・・・・いい、か?」
「・・・はい」
仕事の完了を見届けたその足でホテルに連れて行き、
風呂にも入れずに押し倒した。
「嫌だったら、言ってくれ」
「恥ずかしい、・・・けど・・嫌じゃ、ない・・です」
むしろ嬉しいです。
シャンクスのことが好きだから。
小さい声で嬉しそうに笑う彼女が愛しくて。
ブラウスのボタンを1つ1つ外していくごとに露わになっていくアコの白い肌。
「・・・綺麗だ」
レースの下着に包まれていたそれは美しく、
手のひらに収まるサイズ。
「ぁ・・・・っ・・・しゃん、っくす・・・」
再び柔らかい唇を奪って、舌をねじ込む。
ああ、美味いなァ。
「は・・・ぁ、ふ・・・ぁ」
艶めかしい声、身体。
その白い肌に紅い痕をつけていく。
「明日の服は気を付けないとな」
俺のものだ、という証だ。
耳元でそっと囁けば身体ぴくりと動く。
「あ・・・っだめ」
首に唇を当てた瞬間の声が特別に色っぽくなった。
「首が弱いと見た。・・・可愛いな」
「・・・・ひ、ぁ・・・シャンクス、は・・・」
「・・・ん?」
柔らかい胸元を探りながらキスを落としていく。
「・・・何処が、弱いの?」
・・・普段敬語なだけにクるな。
「・・・アコに弱い」
「・・・嬉しい」
そしてまた泣きそうに笑う。
他の何かを考えているのか。
はたまた誰か、か。
・・・今は、俺でいっぱいにしてもらいたいもんだ。
・・・・・なんっにも情報得られなかった。
寝たのに。
・・・重なった身体はただただ心地良く優しく。
忘れることなんか出来なくなって。
・・・・どうしたら、いいの。
今まで情報を得る為に男に近づくなんて簡単だったのに。
「アコ」
「は・・・い」
「今日の仕事が終わったら一杯、付き合ってくれないか?」
「・・・ええ、喜んで」
「嬉しいな。楽しみだ」
この人を・・・この笑顔を裏切るなんて私にはもう、出来ない。
でも、
「危険が増えることは承知のうえで聞く。俺の女になってくれないか?」
「・・・危険な目に遭わせようなんて酷い方。私にはそんな覚悟御座いませんわ」
・・・この人からの本気の愛を受ける覚悟も、私にはない。
「・・・・そう、か」
「私にはこの地位で十分」
・・・とはいえ、断ったからには消されるかもしれない。
彼の顔も見れない。
ここには・・・居られない。
でも最近報告をサボっていたから、でも戻ったところで無事ではいられない。
けれど・・・仕方ない、か。
ごめんなさい、愛しい人。
さようなら。・・・有難う。
「アコはまだ見つからないのか!?」
「落ちつけ。焦って怒鳴ったところで状況は変わらんだろうが」
そもそもこの業界の人間なんざすぐ煙のように消える、そんなもんだとベンは言う。
「・・・だが」
「それに言いたくはなかったが、あの女はスパイだと判明した」
「・・・アコが、スパイ・・・」
・・・・そうか。
なら必要な情報得られれば俺は用済み、か。
「そんなことより西の方がきな臭い」
「すぐに向かおう。準備を頼む」
「了解」
・・・何処かで笑ってくれていて欲しい。
願うのはただそれだけだ。
「お前は今までよーく働いてくれた」
だがもうそれも終わりだ、お疲れさん。
目の前の男は私の額に銃を突き付けて笑った。
・・・ああ、あんまりいい人生じゃなかったな。
最後に彼に・・・シャンクスに出会えて良かった。
それだけが、私の人生での幸せだった。
覚悟を決めて目を閉じた瞬間。
激しい銃声と怒号が聞こえて目を開けた。
ハッと見れば見えたのは鮮やかな赤。
「なん、で・・・・・」
「驚いたな。・・・アコはここの人間だったのか・・・」
「・・・・・・・シャンクス」
また会えると思ってなかった。
頬に流れた涙は止まらなくて。
・・・・私まで、助かると思ってなかった。
この組織を潰しに来たのなら私だって助からないと覚悟していたのに。
「無事で良かった、アコ」
「・・・・良くないわ」
「・・・アコ?」
「殺して。私はあなたたちの情報を流して消えたのよ!?」
ましてその相手に助けてもらった、なんて。
合わせる顔ない。
「・・・・なるほど」
「・・・・なるほど、って」
ああ・・・またこの人にこんな優しい笑みを向けてもらえるなんて、思ってなかった。
危険な目には遭いたくないと俺の想いに応えなかったアコが、今度は殺せ、と言う。
あの時の言葉は本心じゃなかった、ということか。
「アコなら知ってるだろう?俺達は依頼は選ぶ」
「・・・・お願い」
「誰が愛する女を手にかけるか」
アコの瞳が揺れたのを見て確信した。
「なぁ、アコ。本当の気持ちを教えてくれないか?」
「・・・・っ、私は、あなたの・・・敵・・・・っ」
「それは今は関係ないな。アコが何処の誰だろうと俺は愛している」
そして俺は今アコの気持ちを知りたいんだ。
そう伝えればアコは顔をくしゃりと歪めて目から大粒の涙を流した。
「大丈夫だ、アコ。・・・ゆっくりでいいさ」
そっと抱きしめれば、きゅっと服の袖を掴んだアコが愛おしい。
そして小さい声で、
「あなたになら・・・殺されてもいいって、思ったの。・・・それは本当。でも」
でも今はあなたと一緒に生きたい。
確かにそう言った。
「・・・必ず守る」
「・・・私がまだ、スパイだとしても?情報を得たいだけだとしても?」
「欲しい情報はいくらでもくれてやる。その組織は潰せばいいだけだ」
だからアコは何も気にすることはない、と言えば本当に楽しそうに笑った。
「有難う。・・・・私も貴方を、愛していいのなら」
側で愛させて。
・・・この顔が見れるならいくらでもどんなとこでも潰してみせるさ。