短編③
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「アコ・・・これ、やっておいた」
「あ、有難う御座います」
・・・・・午後にやるはずだった書類を片付けてくれたと伝えてくれて、
爽やかに微笑んでくれたシャンクス先輩が去った後。
じろりと睨まれたのがわかった。
・・・・・・ああ、わかってます。
「わかってるんでしょうね!?」
「わかっておりますとも」
猫みたいだから三毛子って呼んで、と三毛子先輩。
お昼休憩の前にお説教は辛い。
・・・お腹すいた。
「何をわかってるのよ」
「シャンクス先輩は皆に平等に優しく、私が不甲斐ないばかり故のことです。勘違いは致しません」
「ふんっわかってるじゃない」
・・・ええ、わかっております。
「わかってるならいいのよ。お昼行きましょ」
「あ、私今日お弁当で」
「あら残念。素敵なイタリアンのお店見つけたのに」
「是非後日」
「ええ、そうしましょ」
・・・三毛子さんは基本的には良い先輩。
聞けばちゃんと教えてくれるし、
コスパがいいランチの店も教えてくれて、一緒に行ったりする。
・・・シャンクス先輩のことさえ絡まなければ本当に大好きな先輩。
今の仕事も嫌いじゃないし、
この会社でやっていく為には絶対に勘違いしないことが重要。
・・・・・・・・なんですが。
「・・・珍しいですねシャンクス先輩」
「まあ、たまにはな」
私残業。
シャンクス先輩も、残業。
・・・・・・で、2人きり。
三毛子先輩は定時とほぼ同時にお疲れーと軽やかに帰って行った。
まずい。
この状況はまずい。
三毛子先輩にバレたら明日なんて言われるかわかったもんじゃない。
さっさと終わらせて・・・・いやむしろ終わらなくても帰ろう。そうしよう。
まずパソコンの電源を切ろうとしたところで、
ぐぅぅぅぅ・・・・・・・。
・・・・・・・・・盛大に鳴ったのは私のお腹。
静かな部屋に響き渡った。
「これ、美味いぞ」
「・・・・・有難う御座います」
シャンクス先輩がくれた、ポテトチップスの袋(小)。
この時間に食べるのは少し抵抗があるけど。
・・・嬉しい。
・・・・・いやいや勘違いなんてしませんよ先輩。
「・・・・はあ、うま・・・・」
残業中のポテトチップスがこんなに美味しいなんて!!
「俺も1つ」
「あ、どぞ」
シャンクス先輩が手を伸ばしたので慌てて袋をを出そうとしたけど、
シャンクス先輩は私が手に持っていたポテトチップスをそのまま、
ぱくり。
「・・・・・・っ」
「美味いな」
「・・・カロリーがちょっと気になるところですけどね」
「少しくらい問題ねェさ。頑張ってるご褒美だ」
「・・・ですね」
「こうなったら甘いモンも欲しいな。珈琲も」
「あーいいですねえ」
「よし、買って来る」
「へ」
「待ってろ」
「あ」
あー・・・・・・!!!
何処へ行くのシャンクス先輩!!
私帰れないじゃないですか!
いやもとから帰れないけど!仕事残ってるから!
仕方なく仕事をしながら待つこと数分。
ご機嫌な顔でシャンクス先輩は帰って来た。
「シュークリームにケーキに饅頭。飲み物は缶コーヒーしかなかったが」
どれも美味しそうなラインナップに胸が高鳴る。
「うわあ・・・!」
じゅるり、と涎が垂れそう。
「2人きりのパーティだ、楽しもう」
・・・・・・しませんよ、勘違いなんて。
これはアレね、危険な橋を一緒に渡るとときめく現象ですね。
これはもう割り切って楽しむしかない。
「ご馳走さまです!」
「おう、食え食え」
「シャンクス先輩はいいですよね食べても太らなさそうで」
「鍛えてるからそんなにはな」
「・・・・・やっぱり」
「でもおっさんだからなァ、油断するとやばい」
「私なんか油断しなくてもやばいですから」
「そうは見えねェが・・・今日は特別だ。乾杯」
「・・・お疲れ様でーす」
缶コーヒーで乾杯。
まずお饅頭。
あー餡子最高。
「ケーキも美味いぞ」
「頂きまーす」
チョコレートケーキ。
これも美味しい。
「はあ、もう仕事戻れません」
「このまま2人きりで夜を明かすってのも悪くないな」
「またまたァ、怒られちゃいますよ」
「アコとなら悪くない話だ」
・・・・・うん。だから。
・・・・・勘違いなんか、しませんよ。
シャンクス先輩は仕事が出来て上からの信頼もあって後輩からも慕われてて。
・・・皆に、優しい。
私だけ、なんて思っちゃダメ。
「・・・私が三毛子先輩に怒られちゃいます」
「俺も一緒に怒られよう」
「シャンクス先輩は怒られませんよ」
たぶん私だけ別室に呼び出されて怒られるんだ。
「そんなことさせねェよ」
・・・・・すぐにそう答えたシャンクス先輩の瞳はまっすぐで。
・・・・・・駄目。
「・・・っていうか食べたら眠くなっちゃいました」
「それもいいな。一緒に寝るか」
「仮眠室、ベッド1台ですよ」
「一緒に、って言っただろうアコ?」
「・・・・シャンクス先輩」
「皆来たらびっくりするだろうな。ああ、腕枕には自信があるぞ」
いつの間にか距離が近くなってた。
肩と肩が、ぶつかる。
駄目、駄目。
「枕は柔らかいのが好き、なので」
「ほーそうなのか。じゃあ好きな男のタイプは?」
いきなり飛びますね!!
でも私は勘違いなんかしませんからね!
勘違い、なんか。
「・・・私だけに、優しい人」
「それから?」
「仕事を続けさせてくれる人。・・・好きなんです、この仕事」
「・・・それだけか?」
「・・・・あとは・・・・勘違いじゃないって、言ってくれる人」
でないと私勘違いしてしまう。
・・・・私の好きな人が、
私のことを好きなんじゃないかって。
「・・・そうか」
シャンクス先輩が満足そうに微笑みながら頭を撫でて来たので、
「シャンクス先輩の好みの女性のタイプはなんですか?」
聞いてみた。
「そうだな・・・・勘違いしないように必死になってる可愛い後輩だな」
・・・・ほらまた。
勘違いしそうになる。
「・・・・難しいですね」
「そうだなァ・・・必死になってる姿が可愛くて今までは何もしなかったが、いい機会だ」
そっとシャンクス先輩の両手が私の頬を包んだ。
「俺は勘違いじゃないと思ってる」
そう言った彼はそのまま私の額にちゅ、と唇を落として。
「片割れには嫌われてるようだが俺は本気だ。考えておいてくれ」
「な・・・・何を、ですか」
「俺と付き合うこと」
・・・・え、ちょっと待って。
「さて、さすがに仕事しないとまずいな」
・・・・・・シャンクス先輩は何事もなかったかのように仕事に戻って行った。
嫌われてる?片割れ?・・・・誰のこと?
・・・・ああ、駄目だこれは仕事にならない。
「あー・・・・えっとお先に失礼します」
「気を付けて帰れよ」
「お疲れ様でした・・・・・・・」
・・・・・・・・・何だったの。
結局家に帰っても眠れないまま翌日出勤してすべてがわかった。
「ちょっとうちの可愛い後輩に何してくれたのよ!!シャンクス先輩と言えど許さないから!!」
「みっ三毛子先輩!!」
「だから勘違いしちゃ駄目って散々言ってたでしょ!?この人女タラシなんだから!」
シャンクス先輩に怒る三毛子先輩。
「目の前で求婚すれば信じてくれるのか?可愛い後輩なら幸せを祈ってやるべきだと思うが」
「可愛い後輩だから守るのよ!」
「・・・・・・三毛子先輩シャンクス先輩のこと」
「大っ嫌いよこんな奴!!」
・・・・・・・・・・・勘違いしてました。