短編③
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「私マルコさんと付き合うことになったの」
「へェ、良かったなアコ」
「うん、色々ありがとねエース」
「今度何か美味いモン作ってくれよ」
「勿論!」
・・・・・・なんて、
にこにことエースと会話してますけど。
心は大嵐なうです。
・・・・・おかしい。
こんなはずじゃ、なかったのに。
どうしてくれるのマルコさん。
私たち付き合ってもいないのに付き合ってることになっちゃいましたよ!?
「エースは素直に喜んでくれやがりましたマルコさん」
「・・・・嘘だろい」
「マルコに幸せにしてもらえよ、ですって!」
「・・・・・おかしいねい」
「おかしいんですよ」
エースのことが好きな私。
なるべく誰にも知られないように、と思ってやってきたけど、
結構皆に知られていたようで。
サッチさんとマルコさんにキューピッドになってあげようか?と(主にサッチさんに)言われた。
で、サッチさんはお断りしてマルコさんだけにお願いしたのだ。
サッチさんにお願いするとロクなことにならなさそうだったから。
マルコさんはあまり乗り気ではなさそうだけど、
『見てて苛々するんだよいさっさとくっついちまえ』
と協力してくれるようだ。
そのマルコさん曰く、
「脈はあるはずなんだがよい・・・・」
とのことで。
「エースの恋心はまだ駄目なんですかね」
「ったく面倒な奴だよい」
エースは食欲と弟のことしか考えて生きてこなかったから、
エースの中にある恋心を引き出す為にと私とマルコさんが考えた作戦。
それが、
『私とマルコさん付き合うことになりました』作戦。
・・・・だったのに。
見事玉砕しました。
さあどうする。
「様子見るしかねェだろい」
「・・・・マジすか」
「お前も自分からもっといけよい」
「・・・・はーい」
それが出来るならマルコさんの手煩わせてないんですけどね・・・・!
「はいエース、お礼のお好み焼き」
「美味そうだ、サンキュ」
「ううん、たくさん作ったから気にしないでいっぱい食べてね」
エースと2人きりで嬉しいはずの時間なのに、
何処か悲しい。
「マルコとは上手くやれてんの?」
「うー・・・・・ん、まあ」
「・・・早速喧嘩したのか?」
「ううん、そんなことないよ」
「何かあったら俺に言えよ?」
「・・・・うん」
優しい言葉が今は嬉しくない。
「あ、エース」
「ん?」
「ほっぺにソースついてる」
私の言葉を受けてエースは探ろうとしたけど、
全然当たらないので私がそこを指で拭った。
「ほら、これ」
するとエースは、
「ありがとな」
「え」
嬉しそうにそう言った後私の指をぺろりと舐めた。
「ん、美味ェ」
「・・・・・・・ありがと」
ああ、幸せ。
「ってなことがあったのにも関わらず進展なしで御座います」
「・・・・やっぱり脈はあるだろい」
「と思いますよね!?」
「でもエースがヤキモチ妬いてくれてる感じもないし・・・」
「あんなにわかりやすい奴が顔に出ねェ筈はねェよい・・・・」
「駄目なのかも・・・・」
「・・・もっと攻めろよいアコ」
「・・・・・あい」
そうだよね、私も自分からいかないと!
マルコさんに頼ってばかりじゃ駄目だよね!
「エースっ」
「ん?どした?」
今度船は島に着く。
だから。
「こ・・・っ今度、島に着いたら・・・一緒に行かない?」
「・・・・マルコは?」
「え?」
「マルコと行かねェの?」
「・・・・っマルコさんとは予定が、合わなくて」
「そうなのか?・・・・ちゃんと付き合えてんだよな?」
「・・・・・・うん」
「俺から言ってやるよ、な?」
「・・・・・・・・・・有難う」
・・・・私エースに有難うしか言ってない。
言わなきゃいけないことは、こんなことじゃないのに。
「もう駄目です」
「・・・・諦めるのかい」
「だってエース本気で応援してくれてるし」
「・・・エースだからねい」
「だからもういいんです、変に皆に噂が伝わる前に」
私とマルコさんが付き合ってるなんて噂が、出回る前に。
「・・・・いいのかい?」
「・・・・・・っはい」
・・・・熱くなった目頭から、
ついにぽろりと雫が落ちた。
「おーいマルコー」
とそこにタイミング良くか悪くかエースがノックもなしに入って来て。
「・・・・あ」
見られた。
ああ、でもこれはアレね!?
ここでエースがマルコさんに何泣かせてんだよみたいな感じで迫るのね!?
「悪ィ」
・・・・私の期待も虚しくバタン、とドアが閉まった。
「・・・・・・・・・マルコさん今まで有難う御座いました」
「・・・・ったく」
マルコさんのため息を聞いて部屋を出た。
・・・・その瞬間、
がばっと何かに閉じ込められた。
「やっ、なっ」
声を出そうとして、
「俺に何が出来る?」
「・・・・・エース?」
聞き慣れた声に身体全身の力が抜けた。
「あんま言わねェ方がいいんだろ?でも・・・このままじゃアコが1番、辛いだろ」
「エース、違うの」
「何が違うんだよ。マルコに泣かされたんじゃねェのか?」
ぎゅ、っと腕の力が強くなった。
「・・・違うの、ホントに。有難うエース、いつも」
「・・・・ったり前だろ、好きなんだから」
「・・・・・・・・・・・・ん?」
「・・・・・いつだって何からだって助けるからな、俺が」
「・・・・・・・・・・・・・・どうして?」
もう1回、聞きたい。
私の、聞き間違いでなければ。
「・・・・好きだから」
ぼそっと小さい声で、
でも確実にエースは言った。
「・・・・ほんと、に?」
「あァ。だからアコがマルコが好きだってんなら本気で応援してやる」
「じゃっじゃあ・・・・応援、してくれる?」
「してやるよ」
「私と・・・・エースとの、恋でも?」
「・・・・・・・は?」
「エースにヤキモチ妬いて欲しいっていう私の願いも、応援してくれる?」
「・・・・・・・・ずっと、妬いてたっつーんだこっちは」
「ほんと、に?」
「本気で好きな奴には笑ってて欲しいだろ?だから・・・我慢してた」
「・・・じゃあ、お願い」
もう我慢しないで。
私もしないから。
私もこれからは好きって言うから。
「マルコと付き合ってねェの?」
「ません!」
「・・・・ンだ、じゃあこれから何でもしていいんだな!」
「その前にマルコさんに一緒に怒られてね」
世話焼かせやがって、って。
きっと優しく笑いながら怒るマルコさんに。