短編③
夢小説設定
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「でね、たった2泊なのに旦那さんが言うんだって。その間の俺の飯や洗濯は誰がするんだって」
「そりゃ酷いな」
「でしょ!?お前がやれ!って言えば良かったのに諦めちゃったんだよそのコ」
「・・・・それで、行きたいのか?」
新婚ほやほや、という私たち。
それでもさすがシャンクス、というべきか。
私の旦那様は。
私の言いたいことを悟ってくれた様子。
「・・・・うん」
苦笑したシャンクスにゆっくり頷いた。
「俺のことは気にするな行って来い、と言いたいところだが」
「・・・駄目なの?」
「駄目だ」
短く告げられた言葉にガン、と頭に軽い衝撃。
「・・・・・どうして、って聞いてもいい?」
シャンクスなら笑顔で行って来いって言ってくれると思ってた。
「俺は自分のことは自分でするし、別にそれは問題ねェが・・・・」
「じゃあ何が駄目?」
「第一の問題は・・・」
「問題は?」
「俺が寂しい」
どん。
「1泊だけだから!女友達だし!」
「俺のことだけじゃない、アコが心配だ」
「・・・・お願い」
「お前の願いは何でも聞いてやりてェが・・・こればっかりはな」
眉をしかめて難しい顔のシャンクス。
「普通に出かけるときは何も言わないよね?」
「何も言わないだけで心配はしてるさ」
「信用ない?私」
「信用はしてる。だがそれとこれとは別だ」
必死に縋る私にシャンクスは冷たい。
「絶対、駄目?」
「一緒に行く相手は?」
「シャンクスも知ってると思うけど、ビビちゃん」
結婚する前からの大親友。
「ああ、知ってる。だがそれなら相手の方も駄目なんじゃないのか?」
「・・・・今説得中」
お互いに説得しないといけない相手が居る。
ビビちゃんはお父さん。
私はシャンクス。
「で、何処に行くんだ」
「・・・・夢の国」
「夢の国?・・・ああ、テーマパークか」
夢の国、という遊園地。
「シャンクスとも付き合ってた時行ったでしょう?」
「うちからもそう遠くはないな。泊まる必要ないだろう?」
「そうだけど・・・っギリギリまで遊んで満員電車に乗って帰るの大変だし」
「俺が迎えに行く」
「すっごく素敵なホテルでね、女子会プランっていうのがあって安くて!」
「・・・・そんなに行きたいのか?」
必死に訴える私にシャンクスの反応は冷たい。
でも。
「行きたい。シャンクスがどうしても駄目って言うなら私にも考えがあるから」
「考え?」
絶対、行きたい。だから。
「今日から1年間私に触るの禁止」
「何?」
「キスも駄目」
「・・・・おいおい」
「もし無理やりしようとしたり、実際にしたら」
「・・・・したら?」
「本気で離婚考える」
「・・・本気か?」
「本気。シャンクスのことは好きだし気持ちも大事にしたいけど、友達だって大事」
これには衝撃を受けた様子のシャンクス。
でも全部本音だから。
「・・・・保留させてくれ」
「・・・保留なの?」
「向こうがOKならこちらも考える」
シャンクスにしては珍しく眉間に皺を寄せて、
本当に悩んでるみたい。
「・・・・わかった」
「なかなか手強いのね、シャンクスさん」
「まさかここまでとは・・・」
お互いに第一回目の報告会。
「心配する気持ちも寂しい気持ちもわかるわ」
「でも1泊くらい・・・・ビビちゃんの方はどう?」
ビビちゃんは首を横に振った。
「うちも難しいわ。諦めないけど」
「難しいよねー・・・」
はあ、と2人同時にため息を吐いた。
「シャンクスさんは付き合う前からそんな感じだったの?」
「うーん、まあ」
過保護というか、心配性というか。
でも私のことを本当に思ってくれて、守ってくれてる。
それには感謝。
だから本当は脅しみたいなことはしたくなかったんだけど。
・・・・どうしても、行きたいから。
そして、シャンクスの回答は相変わらず保留のままの2回目の報告会で、
「アコちゃん!パパからOKもらえたの!」
・・・・ビビちゃんは難題クリアしたみたい。
あとはうちだけ!
「ビビちゃんとこがオッケーもらえたらシャンクスもきっと・・・!」
「頑張って!」
「頑張る!」
「ただいま」
その日の夜。
私は気合を入れて仕事から帰って来たシャンクスをお迎え。
「おかえりなさいシャンクス、お疲れ様」
シャンクスから鞄を預かって、おかえりのキス。
「久しぶりだな、出迎えなんて」
「今日はね、シャンクスの大好きな私手作りのハンバーグだから」
「ほう、楽しみだ」
「海鮮サラダもあるし、デザートもあるからねっ」
「デザートは私、ってやつか?」
・・・そう来たか。用意したのはプリンなのに。
「・・・いいよ?」
「いいのか?仕事頑張って来た甲斐があるな」
うん、いい感じ。
ご機嫌のシャンクスを見ながら次の作戦にいかねば。
「はい、シャンクスお酒どうぞっ」
シャンクスの大好きなお酒をグラスに注ぐ。
「愛しい妻に注いでもらう酒より美味いモンはねェな」
「ホント?嬉しい」
「今日は格別に可愛いな。このまま喰っちまいたいくらいだ」
「今はお夕飯食べて。腕によりをかけて作ったんだからね」
「わかってるさ。美味い」
笑顔で食事中のシャンクスに腕を絡めた。
「それでね、シャンクス」
「お、来たな。本題が」
・・・・やっぱりわかってたんだ。
「・・・ビビちゃんのお父さんはOKだって」
「・・・・・そうか」
シャンクスの顔つきが急に変わった。
・・・やっぱり反対なのかなぁ。
「贅沢はしない。危険なとこにも行かないし、早めにホテルに行くし電話来たらなるべくすぐ出る」
「・・・・結婚前に行った時、楽しかったな」
「・・・うん」
お酒を飲みながらシャンクスがしみじみと呟いた。
「アコはずっと笑ってて、部屋もいい部屋だった」
「・・・シャンクスと行って楽しかったから、ビビちゃんとも行きたいなぁって」
「この際だから言うが」
「・・・・・・・うん」
「あの笑顔を独り占めしてェんだ、俺は」
「・・・・・・・・え?」
へらぁ、と力なく笑ったシャンクス。
「心の狭い男だなァ、俺は」
「・・・シャンクス」
「こんなんじゃ嫌われても仕方ねェか。離婚は絶対承諾しないが」
「・・・・・ごめんね、シャンクス。気づかなくて」
シャンクスの妻なのに、気づけなかったシャンクスの気持ち。
シャンクスは私の頬に手を当てて、
ちゅ、と軽いキスをした。
「金のことは気にしなくていい。思いっきり贅沢して来くればいい」
「行って来ていいの!?」
「ああ。その代り写真をたくさん撮って俺に見せてくれ」
「有難うシャンクス・・・!」
シャンクスの大きい身体に抱き着いて、
シャンクスはちゃんと私を受け止めてくれた。
「このまま押し倒して、俺しか見られないアコの顔を見てもいいか?」
いいか、なんて聞きながらもうゆっくりと押し倒されてる状態。
「・・・デザートにはまだ早くない?」
「会えない分もたっぷり愛させてくれ」
そんなこと言われちゃ、嫌なんて言えない。
「・・・・・ん」
ビビちゃんとの初夢の国お泊りは、
とても楽しかったけど。
ホテルに着いてシャンクスに電話したら1時間付き合わされてビビちゃんが苦笑してました。