短編③
夢小説設定
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こんな出会いじゃなきゃ、
良かった。
「お、アコ!今日も来てくれて有難うな!」
「今日もとってもカッコ良かったです!」
俺がバンドなんか、やってなければ、
「明日も来てくれるよな?」
「勿論です!!」
壊れるほど愛しても
1/3も伝わらない
「・・・待ってる」
純情な感情は空回り
I Love You さえ言えないでいる my heart
客席に居れば絶対わかる。
俺をキラキラした目で見てるから。
だから俺が指させば可愛い顔を真っ赤にさせて、
誰よりも大きい声を出そうと頑張ってくれる。
バレねェように、
特別にならないように、アコにアイコンタクト。
俺以外の奴なんか見ないように。
俺だけを見るように。
メジャーになりたくて頑張って来たバンド。
ファンとの握手会も出来るくらいには有名になって来た。
・・・アコはファンの1人。
1人に、こんなに強く惹かれるなんて思ってもみなかった。
・・・ファンの、1人。
夜部屋でくつろぎながらSNSをチェック。
おーあのバンドも今度フェス出るのか、負けてらんねェな。
あ、マルコの奴また酒飲んでら。
喉潰さない程度にしとけよってコメントしとくか。
・・・・自然と指がアコの名前を触る。
【エース君、今日もカッコ良くて優しかった・・・!!】
そんな呟きに思わず笑みが零れる。
・・・人の気持ちも知らねェで。
疲れてるし明日もまたライブだし、もうそろそろ寝ないといけねェのはわかる。
・・・・でも、アコと会った日の夜はだいたい眠れねェ。
長くて眠れない夜が 君への想い
「それは恋なんです」と囁くよ
とめどなく語りかける 揺れる鼓動は
微熱混じりのため息へと変わる
「・・・ああ、認めてやるよ」
これは恋だ。
もうファンとしてなんて見れねェ。
アコの笑顔の止めなら何だってやってやる。
Give me smile and shine days
君のsmileで
凍てつく夜も寒さもGoodこらえられる
「はああああ今日もエース君素敵だったぁぁぁ・・・!!!」
でもな。
私がどれだけカッコイイです!好きです!って伝えても。
・・・本気にはしてもらえない。
彼はバンドのギター&ボーカル。
夢を追いかけてる素敵な人。
私はどんなに頑張っても『ファン』から抜け出せることはないもの。
・・・・好き、じゃなくて。
愛してる、と伝えることが出来たら。
壊れるほど愛しても 1/3も伝わらない
純情な感情は空回り
「皆!今日も楽しんでってくれよな!!」
湧き上がる黄色い悲鳴とアコの笑顔。
それだけが、俺の心を満たしていく。
真夏の雨のように 渇いた素肌
潤す君の笑顔がまぶしくて
「あ、あのエース君・・・・っ」
「・・・どした?」
握手会に来てくれたアコの真剣な顔。
・・・つーか、何か変だ。
「・・・・応援、してます」
俯いてぽつりと一言。
「アコ?」
「あ、有難う御座いました・・・っ!!」
まだ時間大丈夫なのに、アコは言い逃げ。
・・・・何だよ、これ。
その日はアコだけじゃない、
何人かが怒ってるような悲しんでるような顔で俺との握手を終えた。
理由がわかったのは夜。
マルコからの連絡で。
私、エースの彼女。と自称してる女が居るらしい。
誰だよ。
俺にはそんなのいねェよ。
・・・彼女にしたい女なんて、
アコしかいねェよ。
アコしか、いねェのに。
好きなんて言えねェ。
・・・・好きと言ったって、最高のファンサービスにしかならねェんだよ。
・・・キラキラした目で俺を見るアコに、
愛してると言えたら伝わるのか?
時間なんて関係なくもっと見ていたい。
周りの目なんて関係なく、もっと。
・・・・もっと、近くにいてェよ。
・・・・アコ。
give me smile and shine days
急に澄まさないで
どんなに困難で難関な壁も越えるから
どれだけ君を愛したら この想い届くのだろう
見つめられると言えない 言葉が宙に舞う
離れれば離れるほど 愛しい人だと気付く
求めれば求める程に 切ない距離を感じてる My heart
「あの、エース君喉大丈夫ですか・・・?」
「喉?ああ、ちっとやられたかもな。聞き苦しかったか?」
「全然!むしろセクシーでした!!」
「さんきゅな!」
「っじゃなくて!大事にして下さい、あの・・・今度喉によく効く飴差し入れします!」
「俺のことよく見てくれてありがとな、アコ」
嬉しさに頭を撫でたら、
「そっそういうのは彼女だけにした方がいいと思います!!」
と顔を真っ赤にさせた。
・・・・胸がちくりと痛む。
「いねェよ、彼女なんて」
「えっそうなんですか!?」
「ありゃデマ。信じんなよ?」
「は、はいっ!!あ、あのっ今日も楽しかったです!」
「そりゃ良かった。いい夢見れそうか?」
「エース君の夢見ます!!」
「じゃ俺の夢にも出てきてくれよ」
「是非!!」
・・・なんてな。
昨日見た夢ではちゃんと出てきてくれたもんな。
夢の中の俺はちゃんと愛してるって言えた。
柔らかいアコの身体を抱きしめることも出来た。
「じゃあ、またな」
「はい・・・・あのっエース君」
「ん?」
Give me smile and shine days
Give me smile and nice days
もしもこの腕で君と抱きしめ合えたなら…
どれだけ君を愛したら この想い届くのだろう
夢の中では確かに 言えた筈なのに
壊れるほど愛しても 1/3も伝わらない
純情な感情は空回り I Love You さえ言えないでいる My heart My heart
「何があっても好きでいていいですか?」
なんて、恥ずかしい。
あの噂はデマだとエース君の口から直接聞けて。
思わず口から出てた。
エース君は目を細めて本当に嬉しそうに笑ってくれた。
・・・・恥ずかしかったけど、言えて良かった。
いつもはライブ終わるとすぐ帰るんだけど、
今日は何となくまだ帰りたくなくて、
駅前のカフェで一休みして帰ろうと、
ケーキを楽しんでた時だった。
カラン、とドアの鈴が鳴って入って来た人に無意識に視線が行き、
驚いた。
「相席、いいか?」
「ええええええええエースく、ええええ!?」
「ははっ、驚き過ぎ!」
「だだだだって、えっと、ええええ!?」
「なァ、アコ」
「は・・・・い」
エース君は私の向かいに座ると、
「何があっても俺のこと好きって言ってくれたよな」
「女に二言はありません!」
「そっか。・・・今から言うことは発表があるまで他言無用で頼みたい」
「何なら墓まで持って行きます!」
「ははっサンキュ!・・・俺、あのバンド辞める」
「へ。えええええええ!?どどどどうしっ、ゆ、夢は目標は!?」
「俺1人でまた再スタートだ。・・・んで、出来ればそん時アコに隣に居て欲しいんだ」
「・・・隣、に?」
「あァ・・・出来れば彼女として」
「かっ・・・・・・・・・!!!!」
「・・・・駄目か?」
「私、でいいんですか・・・?」
「アコがいい。今度はちゃんと彼女として紹介してからスタートしてェから」
危険な目にも遭うかもしれねェけど、
とエース君が私の顔を心配そうに覗きこむ。
「平気です」
「絶対、守るから」
「エース君・・・好き、って言ってもいいですか?」
この好きの意味、伝わりますか?
「俺も好き・・・っつーか、愛してる」
ああどうか伝わって。
貴方の為なら、
2人なら。
'どんなに困難で難関な壁も越えるから'