短編③
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『好きだ』と言われた。
友達のナミの紹介で知り合ったルフィの、
更に知り合いのシャンクスさんに。
驚いて私は何も言えなくて、
シャンクスさんは笑って返事は今すぐじゃなくていいと言ってくれたけど。
・・・・・こんなことになるなんて、
考えてもみなかった。
ナミにそう言ったら、
『あり得ないわ。あんだけアプローチされて何も思わなかった訳?』
と怒られてしまった。
・・・・されてた?
確かに2人きりで出かけようと誘われたり、
夜景の綺麗なレストランに行ったりした。
・・・・何となく距離も近いような気は、してた。
でも、まさか。
・・・まさか、私のことをそんな風に思ってくれてたなんて。
戸惑う私に返事はいつでもいいと笑ってくれたシャンクスさん。
いい人、なんだけどな。
恋人にって考えるとピンと来ないっていうのが正直なとこなんだよね・・・。
というか、シャンクスさんが素敵過ぎて。
例えるなら、王子と一般市民A。
そんな感じ。
でももう・・・答え決めるまで会えないな。
ちょっと残念。
・・・・なんて思ってたのに。
「餃子は好きか?」
「好きです」
「美味い餃子を食わせるラーメン屋を見つけたんだが、今夜どうだ?」
告白されて3日後。
シャンクスさんにラーメン屋に誘われた。
いや、餃子は好きよ?
好きだけどね?
「何コレ美味しい・・・・!」
好きだけど何この状況。
まさか告白されて保留してる相手とラーメン屋で餃子を食べることになるなんて思わなかった。
いや美味しいんだけども。
「美味いだろう?」
「ご飯が欲しくなります・・・・!」
「俺の半分食えばいい」
私が注文したのはラーメンと餃子。
だけど彼が注文したのは、
ラーメン餃子+ライス。
まあなんて食べる人、と思ったけど今なら納得。
この餃子はご飯と食べてこそだ。
「いいんですか?」
「その為に注文したんだ。遠慮する必要はねェさ」
「い・・・いただきます」
餃子をぱくり、それからご飯をぱくり。
ああ・・・・っ美味しい・・・・!!
「うまぁ・・・・・!!」
カリッとした生地にジューシーな中身。
これはヤバい。
でもはっと気づいたらシャンクスさんの微笑まし気な視線。
「ぁ・・・・・」
・・・・・恥ずかしい。
「す・・・すみません食べ過ぎました」
「いや、構わない」
・・・気まずいと思ってたのは私だけ?
っていうか返事、しなきゃいけないのかな。
どうしよう。
「返事のことを気にしてるなら、気にしなくていい」
「え」
私の心を読んだかのようにシャンクスさんがそう言って笑った。
「俺がただ・・・アコと一緒に居たいだけだからな」
きゅん。
・・・・・あれ、今きゅんってなった。
「でもシャンクスさんてラーメンも食べるんですね」
「好物だが」
「今まであまり行かなかったので・・・」
「あー・・・・まあ、それは・・・・」
珍しく言いにくそうに淀んだシャンクスさんに興味を持った。
「何ですか!?」
「惚れた女の前ではカッコつけたいっつー・・・逆に情けねェな、はは」
・・・・・・きゅんきゅん。
・・・・・あれ。
何か今胸が締め付けられたぞ。
2回くらい。
「ら・・・ラーメンと餃子好きな人、好き・・・です」
ラーメンと餃子を愛する人に悪い人はいないと信じてる。
「俺もだ」
少し照れくさそうに笑った姿は、
何となく今までの彼のイメージと少し違っていて、
実際の年齢より少し幼く見えた。
・・・・・可愛い、とか。
思ってしまった。
私より7つも上の人なのに。
「・・・・あの、私今まで・・・シャンクスさんのお気持ちに気づかなくて」
すみません、と今更ながらに謝ってみた。
シャンクスさんはそんな私に苦笑した。
「俺の力不足だ、アコは謝らないでくれ」
「いやいやいや!私が鈍感、で」
ナミにも怒られたし。
餃子を全部食べ終えてお茶を飲んだところで、
ようやく落ち着けるかと思ったら。
テーブルの下で、
手が。
・・・・シャンクスさんの手が、私の手をそっと握って来た。
「しゃっ」
シャンクスさん!?
「柔らかいな・・・手」
「てっててててて・・・・・っ」
「もっと触れていたくなる」
熱の籠った声、
視線。
・・・・待ってまだ私たち付き合ってないですよね!?
「好きだと伝える前より・・・伝えた後の今の方が愛しく感じるんだ、不思議なもんだな」
どきどきどきと段々大きくなっていく心臓の音。
・・・・不思議なのはこっちなんですけど。
さっきからまるで私の思っていることがわかっているかのようなシャンクスさん。
何か、イメージ変わった・・・・かも。
さっきまで王子様みたいな人だったのに、
今じゃまるで、
「だがラーメンと餃子じゃ普通のおっさん過ぎたか」
・・・・・普通の人、で。
何だかその方が安心する。
「ふ・・・普通の方が、私は好きですよ・・・?」
「そうか?なら良かった」
・・・こんなことでこんな嬉しそうに笑うんだ、この人。
今までは緊張してたりしたのかな?
「俺も・・・自信があって思いを告げた訳じゃねェんで、喜んでもらえるんならそれだけで嬉しいんだ」
疑問に思った途端、
まるでそれに答えるかのような発言。
・・・・不思議な、人。
手は繋がれたまま。
でも振りほどく気はしなくて。
ああどうしよう私、
さっきまでの、
「にしてもここの餃子は本当に美味いな」
・・・・餃子の味なんか、忘れちゃった。
「他にも美味しいお店あったら・・・連れてって欲しいです」
「ああ、喜んで連れて行こう」
これからもっとこの人と出かけたい。
そう思った。
・・・・そして同時に。
「・・・シャンクスさん」
「ん?」
「私が今言いたいこと、わかりますか?」
「・・・・さあ、俺が言いたいことならあるんだが、わかるか?」
逆に返されてしまって考える。
「・・・・すみませんちっともわかりません」
ああ悔しいなあ。
「このままずっと・・・・アコとここに居たい、だ」
「・・・・このまま?」
手を繋いだまま、ということ。
「こんな幸せな時間はなかなかない」
「・・・・私の正解、聞きたいです?」
「是非聞きたい」
「またここで・・・こんな風に出来たらいいなって」
「お安い御用だ」
ふ、と笑った彼にはもうわかってるのかもしれない。
俺のことを好きになってくれたか?
と聞かれるまであと数日。
まだ、ドキドキのままで。