短編③
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「寝てた」
「うん、おはようエース」
がばっと顔を上げたエースに苦笑して珈琲を飲み干した。
いつもの朝。
・・・今日もいつもの忙しい時間は終わった。
ゆっくり出来る私の時間。
エースの寝顔の隣でゆっくり朝ごはんを終えたところでエースが起きる。
いつもの毎日が始まる。
・・・・・と思ってたんだけど。
「・・・・あれ、エース」
「んー?」
ふとエースを見て思った。
「髪伸びたね?」
エースのくせっ毛のある髪。
ちょっと伸びてる。
「そっか?」
「前髪もちょっと長くなってる」
そっとエースの前髪に手を伸ばしたら、
思いっきり避けられた。
「ありゃ」
「・・・・ソース、ついてっから」
赤い顔のエースの前髪を見れば確かに少しついてるソース。
寝た時に顔突っ込んでついちゃったのねきっと。
子供みたいな可愛さに思わずくすくすと笑ったらエースがぶすっとした。
「はい、ティッシュ」
「・・・・・・ん」
ティッシュを渡したら大人しく受け取ったエースは、
自身の髪の毛についたソースをふき取り。
それからふき取ったそれをじーっと見つめた。
「・・・・どしたの?」
「勿体ねェよな、これ捨てんの」
「いや捨てなさい。また作るから」
そんな風に言ってくれるのは嬉しいけど。
「・・・・髪、切らねェと駄目か」
何だかエース寂しそう。
「切りたくないの?」
「・・・・・いや、今日切る」
「じゃあ私後で切ってあげよっか?」
「アコが切ってくれんの?」
「いいよ、私で良ければ」
「じゃ、頼む」
女の子の髪はカット出来ないけど、
エースのだったら何とか出来そう。
「後で部屋に行くね」
「ああ、待ってる」
と言うことで。
散髪道具を持ってエースの部屋へ。
「エース、入るよ?」
「おー」
エースの返事を聞いて入ったら、
部屋中に新聞が敷き詰められていた。
「・・・・準備万端だね?」
「あぁ、色々な」
「色々?」
「こっちの話し。早速いいか?」
「うん、大丈夫。エース座って」
エースを机に座らせて、
鏡を置いて。
「はいこれ着て」
「・・・・・着なきゃ駄目か?」
「髪の毛散るよ?」
「すぐ風呂入るからいい」
「・・・お風呂行くまでに床にばらばらーって」
「・・・・まずいか?」
「マルコさんには怒られるだろうね」
「・・・・マジか」
「っていうかお風呂苦手なくせに」
「能力者だから仕方ねェんだよ。・・・アコが一緒に入ってくれるっつーんなら」
「却下」
「だよな」
「・・・・どうする?」
冗談はとりあえず置いといて。
真面目に聞いてみたら、
「このまんまでいい。やってくれ」
とのこと。
・・・・・いいんだ。
「じゃあやるよ?」
「おう」
いざハサミに手をかけて。
緊張するけどエースの髪に片方の手を伸ばした。
「わ、さらさら」
わーちょっと感動。
エースの髪ってこんなさらさらだったんだ。
感触が楽しくて何度も触ってたら、
「・・・・いつまでやってんだよ」
・・・・怒られた。
「ごめんごめん、適当だけどやっちゃうね」
改めて気合を入れて。
よし。
ちょき、とハサミを入れて切ってみる。
ちょき、ちょき。
・・・・うん、いい感じ。
集中。
・・・・と思いきや、
「アコって手先器用だな」
エースが話しかけて来た。
でも、うん。話しながらでももう大丈夫そう。
「そう?料理は凝ったの好きだけど」
「痛くねェし、気持ちいい」
「任せて!カッコイイ髪形にしてあげる!」
エースの褒め言葉にご機嫌でハサミを入れ続ける。
「・・・・アコってさ」
「うん?」
「好きな奴とかいんの?」
と、さすがにこれには手を止めた。
「・・・・何いきなり」
「なぁ、どっち?」
「・・・・・・・居ないこともない」
ぽつりと答えたら速攻で、
「誰」
短く飛んできた核心を突く質問。
もうやめて欲しいなぁ刃物扱ってる時に。
心臓に悪い。
「・・・言える訳ないじゃんそんなの」
「・・・言えねェってことは敵船か?まさか赤髪か!?」
「違う」
「じゃあ海軍か!?」
「違います!」
「・・・・・まさか・・・・」
「何」
「・・・・ルフィじゃねェだろうな」
「そんな訳ないでしょ、もう」
「じゃあ誰だよ」
落ち着きを取り戻してから、私は再びハサミを動かし始めた。
そんな私にエースの機嫌は悪くなる一方。
「エースこそ好きな人居ないの?」
誤魔化そうと必死でエースの方に話題を移した。
「居るぜ」
そしてエースはアッサリ。
「・・・・・居るんだ。告白しないの?」
「する」
「するの!?」
「今日する」
「しかも今日!?」
まさかの発言に驚きを隠せない。
「ずっとアプローチしてたんだけど気づいてくれねェから、髪切ったらするつもりでいたんだ」
「じゃあ私が切ったら駄目じゃん!?」
「アコがいいように切れよ。それでいいから」
いいの!?
「だ・・・大丈夫なの?」
「ん。頼む」
「でもそれならなおのことお風呂入らないと」
「いい、そのまま押し倒す」
「ベッド汚れるよ!?」
「新聞敷いてある」
・・・・・すごい気迫をエースから感じる。
怯みながらも何とか毛先を整えて、
「うん、こんなもんかな。どう?」
鏡でエース見せた。
「サンキュ、助かった」
満足気に頷いたエースを見て、
「じゃあ私行くね?頑張って!」
ぱぱっと片付けてエースの部屋を出ようとした。
「アコ」
「え?」
立ち上がったエースにいきなり肩を掴まれてそのまま、
「・・・・天井が見える」
ベッドに押し倒された模様。
「言っただろ?押し倒すって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・私じゃないでしょ?」
「今押し倒されてんのはアコだろ?」
「エースの好きな人って」
「好きだアコ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私だったの!?
「えええええええ!?」
「悪ィけど誰にも渡さねェ。・・・好きだ」
2回目の好きだ、の後すぐに唇が重なった。
「わ・・・・・私も好き・・・・だよ?」
「・・・・え」
「え?」
「ほ・・・ほんとか?」
「うん、ほんと」
「じゃあ続き・・・していいよな?」
「それは却下」
思わぬエースの告白。
嬉しいけど、でも。
「何でだよ」
「・・・・髪の毛口に入ったから。シャワー、浴びてきてくれたら・・・・いいよ」
「一緒に、」
「それは嫌」
「っすぐ戻る!!」
真っ赤なエースの後ろ姿は、
いつも通りなようでいて少し違う。
これからの私たちの関係も。
いつも通りじゃ、なくなった。