短編③
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「はあ・・・・・・疲れたぁ・・・・・」
かろうじて終電間に合って良かった。
仕事が遅くなってこんな時間。
さて。
問題はここからだ。
・・・・最寄り駅には無事に着いた、けど。
ここから家までは徒歩で15分程度。
裏道を使えば10分かからないくらいで家に帰れる。
・・・・いつもなら迷わず裏道を使う。
そう、いつもなら。
最近妙な噂を聞いた。
若い女性を襲う事件がこの辺で頻繁に起こってるとのこと。
裏道は暗い。
普通に帰ればまあそこそこ明るいし人通りもある。
・・・・今裏道を使うのは危険。
でも。
疲れてるし。・・・・10分だし。
早く帰りたい。
仕事が大変だったから早く帰って安心したい。
結局欲に負けて裏道を通ることにした。
早足で、周りを警戒しながら。
・・・・まあ、噂になってるくらいだしきっとパトカーも巡回してるよね。
と自分に言い聞かせて。
この角を曲がれば少しは灯りのある道に出れる、というところで。
「え」
後ろから誰かに強く腕を引かれた。
「や、な・・・・・っ」
「へーなかなか上玉じゃん」
「・・・・・・・・っやめ・・・・!!」
「はーい騒ぐのナシね」
見知らぬ男に腕や足を触られ始めた。
「・・・・っ」
気持ち悪い!!
ぞくりと粟立つ背中。
たすけて・・・・・助けてシャンクス・・・・っ!!
心の中で恋人を呼んだって来てくれないのはわかってる。
でもこんな奴の前でシャンクスの名前呼べない。
せめて、と睨み付けるけど、
「いいねえ・・・そそるよ」
・・・・逆効果だったらしい。
顔が近づいてもうすぐでキスされてしまう、
やばい、と必死に顔を背けるも力強い腕でどうにもならなくて。
「や・・・・め・・・・・・っ」
目を閉じた瞬間、突然身体が軽くなった。
「俺の女に何をしてるかわかってるか?」
聞き慣れた声。
でも少し低い声音が、彼が怒っていることを知らせる。
「・・・・しゃん、くす」
目の前には怒ったシャンクスと、
シャンクスに殴られたであろう男の人が地面に転がっていた。
「困ったな・・・これ以上お前がここに留まるつもりなら命の保証は出来ねェ」
「ひ・・・・・・っ」
男は這いずりながら逃げて行った。
「アコ!!」
「・・・・・シャンクス」
名前を呼んだら強く抱きしめられた。
その強さと、匂いに安心したら涙が出て来た。
「すぐに助けに来れなくてすまん・・・怖かっただろ?あいつにどこを触られた?」
「怖かっ・・・・たぁ・・・・っ」
「ああ・・・・怖かったな、もう大丈夫だ」
「・・・・・ありがと・・・・っ」
それからシャンクスに家まで送ってもらった。
「でもシャンクス何であそこに・・・・?」
「アコに連絡しても返事がなかったから念の為迎えに行こうと・・・」
「・・・・そっかぁ、良かった・・・来てくれて」
今度こそ本当に安堵してたら、
「・・・・ん」
シャンクスからの深く優しい口づけ。
「シャンクス・・・・?」
「あの男に触られたままのアコは我慢できない・・・・優しくすると約束する」
「・・・・・うん」
ベッドに連れて行かれて、
腕、足。
あいつに触られたところをシャンクスが優しい記憶に塗り替えてくれる。
「・・・・ふふっ」
「・・・アコ?どうした?」
「だってシャンクス・・・さっき優しくするって言ってくれたけど」
「・・・・まだ怖いか?」
「ううん。いつも優しいのにって思って」
「・・・そりゃ光栄だな」
腕に足に。
首に。
シャンクスの愛が刻まれて行く。
「有難うシャンクス」
大好きよ。
「愛してる、アコ」
翌日。
「一緒に住まないか?」
とシャンクスが言いだした。
「な・・・・・何で?」
「昨日みたいなことが今後ないとは言い切れねェだろう?」
「そうだけど・・・・それは私が危険な道を通らなければ大丈夫だし」
「仕事の送り迎えもしてやれる、何かあった時すぐに助けられる」
「・・・・悪いよ」
「俺がしたいんだ」
・・・・こうなったらシャンクスはもう駄目。
1度の軽い気持ちがこんなことに。
・・・・反省しよう。
でもまあ、シャンクスといれる時間が増えるのは嬉しいし。
「じゃあ・・・・うん。よろしくお願いします」
反省とお礼の意味をこめて、
私からキスをした。
「必ず守る」
「・・・・有難う、私も気を付ける」
あの時、1番怖かったのは。
キスされそうになった時だった。
唇だけは。
守りたい。
・・・・そう心から願った。
守ってくれたシャンクスに、
もう1度口づけて。
「今日はベッドから離せそうにねェ」
「はいはい」
大好きよ、私の王子様。