短編③
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昨日は何杯飲んだんだったか。
いちいち数えちゃいねェが、
飲み過ぎたのは確かだ。
アコが可愛い顔で飲みすぎです、と怒ってたっけか。
あんな顔で睨んでも逆効果だってわかんねェか。
可愛かったなーなんて思いながら食堂に顔を出す。
いつもなら、やっと起きたんですかお頭、なんてやっぱり怒りながら、それでも水を出してくれるアコが居る。
・・・・・・今日もそのつもりで来たんだが。
「何間抜け面で突っ立ってるんだ、頭」
「お、ベン。アコは?」
「アコ?まだ見てないが」
「・・・・まだ部屋で寝てんのか?」
「アコが?二日酔いのあんたよりは早く起きるだろう」
「具合悪くても言わない奴だからな・・・ちょっと様子見てくる」
過保護と言われても、心配なもんは仕方ない。
部屋に行ってノックしてみるも、返事はない。
「アコ?居ねえのか」
具合悪くて船医んとこでも行ったのか?
段々と不安が増してきて、
進む足が自然と速くなる。
「お頭?」
聞こえたいつもの声にほっと胸を撫で下ろした。
「アコ、ここに居たのか」
「あら、お頭ったらどうなさいましたの?」
にこりと愛らしく微笑む姿。
「・・・・・・・・いや、姿が見えなかったんで探してたんだ。具合でも悪ィのか?」
「ふふ、心配して下さったんですね。私はこの通り元気ですよ?」
「あ・・・・・ああ」
何かおかしい。
いつものアコじゃない。
「私よりお頭の方が心配です。昨日お酒がだいぶ進んでらしたようですもの。お辛くありません?」
「・・・・・・・・・アコ?」
「はあい?」
違う。
アコはこんな女じゃなかった。
「やっぱり、具合悪いんだろう?おかしいぞお前」
「おかしいだなんて酷いです・・・・私はただお頭のことが心配なだけで」
うるっと目に涙を溜めるアコはそりゃあもう可愛いが、
「いつもならまず怒るだろ?飲みすぎだーって」
いつものアコなら絶対怒る。
怒りながらも、心配してくれて。
しかもこんなことで泣いたりはしねェ。
「大好きなお頭に怒ったりなんかしないわ」
「・・・・・・・・・・いや、でもな」
「お頭は私のことお嫌いなんですか?」
上目遣いで不安そうに見上げてくるアコを、思わず片腕で抱きしめた。
・・・・・・・この感触も、
匂いも、
間違いなくアコだ。
間違える訳がねえ。
「好きに決まってるだろう」
戸惑いながらもそう答えれば、
「・・・・嬉しい」
幸せそうに微笑むアコ。
「あー・・・・・・駄目だな俺は」
「え?」
こんなに可愛いのに、
アコであることは間違いないのに。
物足りねェ。
いつものアコが、いい。
「よし、船医んとこ行くぞ」
「はい、お頭のご命令なら何処へでも」
「・・・・・・・・・・・今の俺の前であんまそういうこと言わない方がいい」
ベッドに連れてかれても文句言えないんだぞ、と言うのをぐっと堪えて。
船医のとこへ連れて行った。
「熱はない。変な物も口にはしておらんな?」
「変な物は食べておりません。ヤソップさんから美味しい飴は頂きましたけれど」
にこにこと答えたアコに、船医と2人で固まった。
・・・・・・・・・・そうか、犯人はヤソップか。
「呼んだか?」
都合よく部屋の前を通りかかったらしいヤソップがドアから顔を覗かせた。
「何を食わせた」
「は?」
「昨日アコに何を食わせた?今すぐ言え」
「・・・・・・・・・・・・はひ」
ヤソップから聞いた話では、
飴は一種の惚れ薬のようなものだと言う。
面白がって食わせたんだと。
「で、戻るんだな?」
「1回寝ちまえば戻ると聞いてる」
「・・・・・・・・・・わかった」
何が起きているのかわかっていないアコを連れて、今度はアコの部屋へ。
「お頭?」
「寝るぞ、アコ」
「・・・・・・寝るんですか?」
「そうだ。一緒に寝てやるから、おいで」
「お頭と一緒?まあ、嬉しいです」
普段のアコならこんな時、
『1人で寝れます!』なんて顔真っ赤にすんだよなァ。
耳まで真っ赤で、可愛い顔で。
嬉しそうにベッドに入ったアコの頭をゆっくりと撫でてやると、アコはくすぐったそうにしながら静かに目を閉じた。
「・・・・・・・う」
ふと目が覚めて、枕もとの時計を見た。
「え!?」
指していた時間は、もうお昼。
寝坊した!慌てて起き上がる、けど。
・・・・・・・・・・・あれ、服着てる。
寝巻きじゃない。
「目が覚めたか?アコ」
「・・・・・・・・・あれ、お頭?」
何故かお頭が私の部屋に居て。
わかんないことばっかり。
「覚えてないか?」
「・・・・・・・・・まったく」
「朝起きて来た時、熱があったみてェでな、部屋に連れてきたらそのまんま寝ちまったんだよ」
「ええええ!?」
熱なんかあったっけ!?
「ま、もう大丈夫みたいだな」
「あ・・・・・有り難う御座いました。ていうかお頭こそ大丈夫なんですか?昨日飲みすぎてたじゃないですか」
「ちっと頭は痛むが、いつものことだ」
「もう!だから言ったのにー!二日酔いどこじゃないですよね?今日は宴禁止にしてくださいよ!?」
いくら身体が丈夫だって心配なのに、といつものように怒れば、
お頭はすごーく嬉しそうな笑みを浮かべた。
え、何?
「・・・・アコ、愛してる」
「・・・・・・何で!?」
その後、
お頭からヤソップさんからもらったものは絶対に口にするなときつーく言われました。
・・・・・・・・・・・・・何で?