短編②
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「アコーこの後うち寄ってかねェ?」
「行かない」
「・・・・そんなに嫌かよ」
「・・・・・・嫌」
私とエースは恋人同士。
普通なら相手の家に行ったりするのも嫌じゃない。
・・・・私が嫌なのは、
「ルフィはお前のこと好きなんだぜ?」
エースの弟のルフィ。
「だから行かない」
行ったらルフィもエースも傷つけるから。
そこは弁えてる。
「何でそんなに嫌なんだよ」
「・・・・ルフィがエースのこと好きだから」
そしてエースも、ルフィのことが好きだから。
「ってもアコへの好きとルフィへの好きは違うだろ?」
「それでも嫌なの」
特にエースが居る時のルフィが。
ルフィ1人で居る時ならそこそこ優しく出来る自信もあるし、
そんなに嫌だとも思わない。
でも、
エースとルフィが居るのは。
・・・・・その場に居たくない。
辛いだけだから。
「もしエースがそんな私じゃ嫌だっていうなら・・・」
「別れるつもりはねェからな」
私が言う前にエースが言ってくれた。
「・・・・ほんとに?」
「嫌じゃねェ。・・・困っちゃいるけどよ」
「うん、ごめん」
ほんとはエースを困らせたくない。
・・・・でも駄目なの。
「っていうかエース明後日レポートの提出期限だけど大丈夫?」
「あー明日は自主休講だな」
「・・・・単位大丈夫?」
「何とかなるだろ」
「頑張ってよエース」
「おう、任せろ」
お互い同じ大学で。
・・・・知り合ったのは高校。
卒業と同時に付き合い始めた私たちだけど。
エースのことは本当に好きだし、
愛してる。
「アコ、愛してる」
「・・・どしたの急に?」
「別に、何となくな」
横に並んで歩くエースがひひっと笑った。
そして、
手が繋がれる。
「・・・私も愛してるよ。エース」
だから別れたくない。
・・・・それでも譲れないのは、
私がエースのことを愛してるから。
「あんたねーそんなんじゃいつかフられるわよ」
「・・・わかってるけど」
「ルフィは阿呆だし無茶やるけどいい奴よ?」
「知ってる」
私の友達のナミは、
ルフィの友達。
「ルフィ1人だけだったらそこそこ優しく出来る自信あるんだけどなぁ」
「ホントに?」
「抱きしめてもいいよ」
「やめときなさい。エースに見られたら大惨事よ」
「・・・じゃあさ、ルフィが転んでて私が手出してたらエースにはどう見られるかな」
ルフィを苦手と普段言っている私が、
ルフィに手を出したと言われかねない。
「・・・あんた相当重症ね」
「全部自業自得なんだけどね」
「・・・馬鹿ね」
「うん」
馬鹿です。
休みの日。スーパーに買い物に行ったら、
たまたまエースの姿を見かけた。
でも声はかけなかった。
エースが目で追っていたのが、ルフィだとわかったから。
大量のお肉とお菓子を抱えたルフィをエースが怒ってて。
・・・・それでも、
ふて腐れながら戻しに行くルフィを見つめるエースの顔に。
・・・・・・・・・・寂しくなった。
もう今日の夕飯カップ麺でいいや。
・・・・さよならハンバーグ。
「アコ?」
「・・・・あ」
帰ろうと思ったのにエースに見つかってしまった。
「アコも買い物か?今日飯何?」
「・・・・カップ麺にでもしようかと」
「・・・昨日もカップ麺だったんじゃねェの?」
「昨日はカップうどんよ!」
「いや同じだろ」
びしっとツッコミが入ったところでルフィが戻って来た。
「アコ-!!」
「・・・・こんにちはルフィ」
「アコアコっ今日うち来いよ!一緒に飯食おう!」
「や、でも」
「エースの作る飯美味ェからな!な、エース!」
無邪気に笑うルフィに胸が痛む。
「こらルフィ、アコが困ってんだろ」
「飯は皆で食った方が美味いんだ!」
「じゃあご馳走になろうかな」
このままじゃ埒が明かないので仕方なくそう答えたらエースが、
「いいのか?無理しなくていいんだぜ?」
気を遣ってくれた。
「うーん・・・・」
・・・出来ることなら行きたくないけど。
「何なら飯持って行くから、それでもいいし」
「それは悪いから」
「カップ麺ばっかの方が体に悪いだろ」
「・・・じゃあハンバーグね」
「任せろ、すっげェの作ってやるよ」
「肉だー!!」
・・・エースもルフィも喜んでるし、まあいっか。
ご飯だけ食べてさっさと帰ろう。
・・・・っていうか、
「何か手伝う?」
「いいから座ってろって」
エースがすんごく喜んでる。
「嬉しそうだね、エース」
「お前うち来るの2回目だからな」
「・・・1回目来た時衝撃だったから」
「何がだよ?」
「部屋の散らかりようとか、エースの昔の写真とか」
ルフィに見せられた昔の写真。
エースは昔、ツンだった。
俺に近寄るなオーラを常に発していて、
ルフィ曰く、
『唾かけられた!』
こともあったそう。
・・・・でもそんなエースを変えたのはルフィ。
だからエースにとってルフィは特別。
ルフィにとっても。
2人の絆が大きすぎて辛い。
「写真?見たのか!?」
「ルフィが見せて来た」
「・・・・ったく」
「可愛かったよ?グレてるエース」
「・・・別にグレてた訳じゃねェ」
気まずさそうな、恥ずかしそうなエースが可愛い。
「とりあえずやることないんなら今日も片付けしとくね」
「ルフィにもやらせてくれな」
「はーい」
・・・・ルフィとやるのか。
「ルフィー片付けるよー」
仕方なくルフィに声をかけて、
片付け開始。
「片付けって言ってもよォ、アコ」
「何」
「手の付けようがねェ!」
どん!
・・・・じゃなくてさ。
思わず笑っちゃうとこだった。
「ペンはペン立てに!本は本棚に!はいやる!」
「わかった!」
・・・素直で、いい子なんだけどな。
わかってるんだけど。
でもルフィは私の知らないエースを知っていて。
・・・エースを、救った。
「ってルフィ、そこは届かないでしょ?無理しなくても」
ルフィが上に置く本を手に取ったので忠告したらにしし!と笑った。
あ、この笑い方エースに似てる。
「大丈夫だ!これがあるからなっ」
「・・・・手作り?」
「ああ!俺とエースのケッサクだ!」
ルフィが自慢げに取り出した踏み台。
木製の・・・ちょっと、いやかなり危なげだ。
「ルフィ、それは使わない方がいいと思うよ?」
「便利だぞ!」
「でも・・・・あ、危なっ」
ルフィは平気だと楽しそうに踏み台に乗った。
瞬間だった。
バキッ、という嫌な音がしてルフィが倒れた。
「ルフィ!」
「どうした!?」
エースが今の音を聞いて駆け付けた。
「あ・・・・エース、っこれ、は」
最悪の状況。
もう駄目だと思った。
「それは使うなって言っただろルフィ!アコに怪我させてねェだろうな?」
「いけると思ったんだけどなー、アコとエースの言う通りだったな!」
「アコ、怪我ねェか?」
「あ・・・・うん、私は大丈夫。でもルフィが、」
「俺もアコも使うなって言ったのに使ったんだからルフィが悪い」
それからエースはルフィに壊れた踏み台だったものを片付けるように言って。
「もうすぐ出来るから座ってろよ、な?」
「・・・・・・真っ先にルフィの心配すると思ってた」
呆然と思ったままを呟いたら、
ゆっくりと頭を撫でられた。
「言っただろ?ルフィとアコは違う」
「・・・・私が弱い?」
「それも違う。ルフィは確かに可愛い弟かもしれねェけど、アコは特別で、大事で・・・愛しい、っつーか」
そして優しく抱きしめられる。
「俺にとってはアコもルフィも・・・居ないなんて考えられねェ」
「アコと付き合いだしてからエース優しくなったもんな!喧嘩してる時は怖ェけど!」
「っルフィ!?」
いつの間にかルフィが戻って来てて、慌てて離れた。
でも、
「エース大好き」
もう1回エースにぎゅっとして。
それから、
「ルフィも大好き」
ルフィにもぎゅっ。
私にとってルフィはまだまだライバルだけど。
「アコがそう言ってくれんのは嬉しいけどな、抱きしめるのは俺だけでいいだろ!?」
「だって2人とも大好きなんだもん」
まだまだ、これから大好きになる予定であります。