短編②
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お頭は基本的にいつも楽しそうだけど、
宴の時の笑顔は格別。
皆と飲んで騒いで。
楽しそうで、嬉しそうで。
私にとっても大切な時間。
「アコー酒がなくなってるじゃねーかァ」
「はいはいヤソップさん有難う御座いますー」
「おいアコこれも美味いぞー」
「はいはいルゥさん、頂きますよー」
賑やかな宴に皆ご機嫌。
「アコはモテモテだなァ」
「・・・変なこと言わないでください、お頭」
「よぉーしお前ら、アコの可愛さに乾杯だ!」
・・・・要は乾杯の口実だから、何でもいいのよね。
ほんと、楽しそう。
・・・子供みたいなお頭の笑顔、好きだなあ。
「何だ、アコ。酒よりお頭に酔ってるのか?」
不意にベンさんからそんな言葉をかけられて、
「そ・・・・・っそんなこと!!!」
すっごく驚いて、すっごく恥ずかしかった。
そんなこと・・・・・あるけど。
「ははっ、アコは俺が好きだからな」
「・・・・お頭っ!!」
好きだけど!!
・・・・もう、そんなに飲んでないのに顔が熱い。
おつまみの卵焼きに手を伸ばしながら楽しそうな皆を見つめる。
・・・・美味しいし、楽しいし。
幸せだ、私。
「あっほらそこー!!喧嘩しないのー!!」
油断するとすぐ喧嘩が勃発。
本気のやつはほとんどないからいいけど。
・・・・というか。
喧嘩も、
こうやって喧嘩を止めるのも楽しかったりするし。
「姐さぁぁん・・・・!!」
「もうっ!!お酒没収!!」
「そんなぁぁぁ・・・・!!」
「はい、卵焼ききあげるから!」
「酒も!!」
「仲直りは!?」
「するッスー!!!」
「よろしい!!」
ふぅ、ひと段落。
私のお酒は、と。
「アコ」
「はい?」
振り向けばそこにお頭が居て、
「俺の部屋で待ってる」
「え?」
「ちょっとしたら抜けて来られるか?」
「ええええ!?」
驚いて声をあげたら、人差し指でしぃ、とされた。
「俺は先に抜ける」
「でっでも・・・・・」
バレるかも・・・・。
「これだけ盛り上がってりゃ大丈夫だ」
「・・・・・そう、でしょうか」
「待ってる」
お頭は優しい笑みでそれだけ言って、
すっと居なくなった。
・・・・・抜けられる、かなあ。
ちびりちびりとお酒を含んで。
周りを観察。
ヤソップさんが阿呆なこと言って。
皆がどっと沸いた、その瞬間。
私はそっと宴を抜け出すことに成功した。
「お頭ー」
失礼します、と部屋に入れば。
「お、来たな」
「ハラハラしちゃいました。バレてないかなあ・・・・」
「ベンあたりは気づいてるかもしれねェな」
「・・・・・やっぱり?」
「まあ、気にするな。それよりほら、乾杯だ」
目の前には2人分のお酒と、
少しのおつまみ。
「いいんですか?皆と一緒に飲まなくて」
「たまにはアコと2人きりにしてくれても罰は当たらねェだろう?」
なんて悪戯っ子のような笑みで見つめられたら。
「・・・・ですね。乾杯」
嬉しくて何でも許しちゃいそう。
「賑やかなのも好きだが、惚れた女と2人で飲む酒は格別だ」
「はいはい、お酒はいつでも美味しいですね」
「・・・・わかってねェな?」
お酒が入ってるお頭の戯言。
そうだとわかってはいてもドキドキしてしまうのは、
お頭に恋をしていることを自覚してるからなんだろうなあ。
お頭と2人きり。
それだけでも、また顔が熱くなる。
「わかってますよう、お頭がお酒好きなことくらい」
「・・・・つれねェなァ、アコは」
「はい、どーぞ」
不服そうな顔をしていても、
空っぽになったグラスにお酒を注いであげれば、
「ん。ありがとな」
嬉しそうに笑ってくれる。
その笑顔にまた見惚れる。
「静かですね」
「2人だけだからなァ」
さっきみたいに賑やかなのも好きだけど、
こうしてお頭と2人静かに飲むのも好きだなあ。
何より、
「これくらいでいいのかな・・・・」
「ん?」
「お酒も、おつまみも。このくらいの量で」
「物足りないんじゃないか?」
「皆と居ると色んな人が何だかんだで飲め食えーって持ち寄って来るし、
コックさんの料理美味しいからつい食べちゃうんですよ」
「嫌なのか?」
「嫌じゃないですけど・・・・・・」
「けど?」
・・・・乙女としてはフクザツで。
「・・・・・・太るじゃないですか」
ああ、恥ずかしい。
「だっはっは!随分と可愛い悩みだな!」
「可愛くないです・・・・」
「それならたまにこうして俺と2人で飲むってのはどうだ?」
「え、いいんですか?」
「勿論だ。俺としてもアコを独り占めできるのは有難い」
「・・・それ、逆です」
「逆?」
「私がお頭を独り占め出来るんです」
「ははっ、そうか!嬉しいな」
・・・・うっかりまた見惚れてしまった。
大好きな、笑顔。
「・・・美味しいですね、お頭」
「ああ、美味いな」
「幸せですね、お頭」
「・・・・ああ、幸せだ」
美味しいお酒とおつまみと。
大好きな人を独り占めして。
2人きりの宴。
これまた、特別。
誰にも奪われたくない。
・・・・・格別中の格別。
かけがえのない時間。
また2人でこっそり、抜けだして。