短編②
夢小説設定
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ふ、と目が覚めた。
カーテンの隙間から漏れて来る明かりでもう朝なんだなあと思った。
何時なのか時計を見たいけど、
太く逞しい2本の腕に拘束されて身動きが取れない。
もぞもぞ、と身体を動かしてみる。
・・・・腕の力は緩みそうにない。
寝づらくない?と1回聞いてみたことがあったけど、
落ち着くんだ、と笑顔で答えが返って来たのでもう言うことはない。
同棲中の恋人、シャンクス。
もう半年になるかな。
この腕と違って束縛されたことはほとんどない。
本音はどう思ってるのかわからないけど、私を自由にしてくれる。
「起きるのか・・・・?」
「・・・・ううん、今何時かなって。起こしちゃった?」
まだ眠そうなシャンクスの声にドキッとした。
「いや、目は覚めてた」
「そうなの?今何時?」
「・・・・6時半、だ」
「そろそろ起きる?」
「・・・・今日は休み、だったな?」
「そうだけど」
「まだ寝てよう」
あっさりとシャンクスが出した答えに思わず、
「あははっ、そう言うと思った」
と笑ったら、一層強くぎゅうと抱きしめられた。
「せっかくこうしてアコを抱きしめていられるんだ、邪魔ものもいない」
「普段だっていないでしょ?」
「いるさ」
「・・・・・誰?」
「目覚まし時計」
「・・・・・・・・・仕事だから仕方ないでしょ?」
「わかっちゃいるが。時計が鳴るとアコは俺から離れていく」
「・・・そうね、今日はこのまま2度寝っていうのも悪くないかも」
私のこの言葉に機嫌を良くしたらしいシャンクスは、
ゆっくりと優しく私の髪を撫でてくれた。
「アコ」
「・・・・・ん」
「可愛いな」
「・・・・・ありがと」
「柔らかい・・・・それにいい匂いだ」
「・・・・シャンプーの匂い?」
「・・・・いや、アコの匂いだ」
ちゅ、と頬に唇が落とされた。
「・・・くすぐったい」
「・・・・可愛いなァ」
「さっきも聞いた」
「何度でも言うさ、アコは可愛い」
「じゃあ私も言う」
「ん?」
「シャンクスはカッコイイよ」
「・・・・参ったな」
「程よくあったかいし・・・ごついけど」
身体が固いのはフクザツだけど。
「痛いか?」
「ううん、平気。すっぽり包み込んでくれるし」
お布団よりも、温かくて。居心地がいい。
「1日このままってのも悪くねェなァ」
「お腹すいちゃう」
「朝飯はパンがあったな」
「お昼は?」
「たまには出かけるか?」
「あ、じゃあ久しぶりにお寿司とか」
「いいな、冷酒できゅっと」
シャンクスがお酒の話しをしたので思い出した。
「そういえば私明日飲み会あるんだった」
「おっと・・・帰りは連絡くれるか?」
「いいけど・・・・いいの?」
「心配なんだ」
言いながらまたぎゅうっと抱きしめられた。
「んー・・・・有難いけど」
「けど?」
ずっと気になってたこと、この際だから聞いてみる。
「行くな、とは言わないんだね」
思い切って聞いてみたら、シャンクスは何故か困ったように笑った。
「・・・・言って欲しいのか?」
「・・・・・うーん、言われたら困る・・・かも」
でも言われたら少し嬉しくもある、気もする。
シャンクスは私がいつ誰と何処に行く、と言っても気を付けて行って来い、
何なら帰りは迎えに行くとさえ言ってくれる。
・・・・でもちゃんと愛されてることは伝わってるし、いいんだけど。
「正直を言えば行って欲しくはねェが・・・愛する恋人の悲しい顔を見るのは俺の本意じゃないからな」
「・・・・・そうなの?」
「おいおい、俺がアコの悲しい顔を望むような酷い男に見えるか?」
「そうじゃなくて。・・・・行って欲しくなかった?」
「そりゃあまあ・・・・ずっとこうしていたいくらい愛してるからなァ」
今までそんなこと一言も言わなかったのに。
・・・・私の為に今まで我慢してくれてたんだ。
「・・・そっかぁ」
「アコも俺が飲み会に行くのを止めたりはしてないだろう?」
「シャンクスお酒好きだし。仲間と飲むお酒は格別だしね」
「アコと飲む酒が1番だ」
「あはは、ありがと。・・・飲みに行ってもシャンクスは絶対帰ってきてくれるもんね」
「勿論だ、こんなに可愛い恋人がいるのに帰ってこない訳ねェさ」
「私も一緒。シャンクスが居てくれるから安心して出かけられる」
・・・・とはいえ少し自嘲しようと思った。
「・・・幸せだなあ、俺は」
「・・・・ん。でもちょっと、離してシャンクス」
「すまん、苦しかったか?」
「そうじゃないけど・・・シャンクスの顔見れないの寂しい」
「ははっ、可愛いことを言ってくれる」
「普段なかなかこの角度からシャンクスの顔ゆっくり見ることないし」
「それもそうだな・・・俺もアコの顔をじっくり見ておこう」
「やめて恥ずかしい」
言いながらじっと見つめ合った。
そのうちそのまま、
「・・・・・・・・・・ん」
2人の唇がゆっくり重なった。
「・・・・俺の良く知ってるアコの顔だ」
「・・・・・私も良く知ってるシャンクスの顔」
言った直後に2人で笑った。
「ふふ、あははっ」
「はははっ、可愛いな・・・アコは」
幸せそうなシャンクスに私も幸せだなあとしみじみ目を閉じた。
「・・・・寝よっか」
「そうだな・・・・次に目が覚めても俺の腕の中に居てくれるか?」
「勿論」
それが私の幸せ、だからね。
なんて。