短編②
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「何を今更」
「今だから必要なんだ」
「・・・・そう?」
私は今シャンクスの真剣な相談を受けているはずだった。
だってシャンクスがそう言ったから。
『真剣な相談があるんだ』って。
だから私も真剣に耳を傾けてたのに。
・・・・がっくりだよ。
「頼む、アコ」
「・・・今?」
「今だ」
「・・・でもさ、シャンクス。私今料理中だし」
・・・・いいんだけど、別に。
でも私たち、
「私たちもう結婚して1年だよね」
「まだ1年だろう」
「・・・・でも今更じゃない?」
「俺はいつ何時でも言えるが」
「・・・・いや、いいんだけど本当に」
ちょっと、恥ずかしいけど。
「アコ・・・・」
「好きよシャンクス」
シャンクスは、
私に好きだと言って欲しいらしい。
「・・・・違うな」
だから好きだって言ったのに、シャンクスは納得いかないらしい。
「・・・何が違うの」
「1年前はもっと色っぽい視線で俺を見つめてくれてた」
じっと見つめるシャンクスの瞳の真剣なこと。
「・・・そっそれはホラ、去年は去年。今は今」
「アコ・・・もう駄目なのか、俺達は」
途端悲しそうな目をするシャンクスにドキリ。
「駄目・・・ってそんな大袈裟な」
「俺への気持ちが変わっちまったのか?」
「変わってないよ、好き」
「なら」
ぐい、っと腰を引き寄せられた。
「シャンクス!火!火!!」
私今料理中なの!!
危ない!!
「俺より料理の方が大事なんだな、アコは・・・」
耳元で小さく、はぁ、とため息が聞こえた。
「今シャンクスの為に料理してるんだけどなー」
「わかってる。感謝もしてる。・・・だがそれより何より聞きたいんだ」
・・・言ったのに。
「何がそんなに不安なの?」
エース君やルフィだったら純粋だから、
誰かに何か言われて不安になるってことはわかるんだけど。
シャンクスがこんなに不安になってるなんて珍しい。
けれど答えの代わりに、
唇が重なった。
重なるだけの口づけは、
すぐには離れなかった。
「・・・・シャンクス?」
ゆっくりと名残惜しそうに唇が離れた後、寂しそうな目で私を見つめた。
「仕事の途中、車の中でお前を見かけた」
「うん、私何してた?」
「俺の知らない男と居た。・・・何度か、見かけた」
「シャンクスの知らない男の人?・・・・誰だろ」
歩いてたっけ私。
全然記憶にないんだけどな。
「アコ、誤魔化さねェで聞かせてくれ」
「ちょっ・・・・ちょっと待ってシャンクス、火、止めるから・・・っ」
再び唇が迫って来たので慌てて待ったをかけたら、
それも気に食わなかったようで。
「・・・・や、んっ・・・・・」
今度はさっきとは違う深いキス。
舌が入り込んできて、
歯をなぞり、
口の中を暴れまわる。
「・・・・ん、ぁ・・・・っ」
「・・・これ以上誤魔化す気なら、身体に聞くしかないな、アコ?」
・・・・あ、これ本気で怒ってる。
「・・・別に、今シャンクスに無理やりされても嫌いになったりはしないけど」
「けど?」
「シャンクスはそれで安心するの?」
「・・・・っ」
珍しくシャンクスが言葉に詰まって、
腕の力が緩んだので、
そのすきに火を止めた。
これで一安心。
「シャンクス?」
「・・・すまん」
「・・・今日、一緒に寝る?」
「・・・寝るだけか?」
「寝なさい。最近あんまり寝てないでしょ、忙しくて」
「・・・そうだな」
一瞬不満そうな顔を見せたシャンクスだけど、私の言葉に苦笑して頷いた。
ただでさえ社長のシャンクスは忙しい。
でも最近は今までの中で1番忙しそうだ。
今日は久しぶりの休み。
「夕飯、作っちゃうね?」
「最近会えなくて寂しかったのは俺だけか?」
「え?」
「久しぶりの休みにどっか行こうって言っても家でいいって言われてショック受けたんだが?」
「久しぶりの休みだから休ませてあげようと思ったんだけど」
この言葉にシャンクスは固まった。
「・・・やっぱり疲れてるな、俺は」
「そりゃそうだよ。頑張ってるもんね。だからほら、見て。ビーフストロガノフ」
「・・・美味そうだ」
「一緒にご飯食べて、いっぱい話そう?そしたら思い出すかも、誰と居たか」
「俺はアコしか居ない。・・・愛してる」
ぎゅう、っと優しく包まれる。
「私も。・・・大好き、シャンクス」
だから私も精一杯の力で返す。
「聞きたいんだ、アコの声で」
「好きよシャンクス。大好き」
「もっと」
「・・・愛してる、シャンクスだけ」
「アコ」
それからちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスを繰り返した。
「ねえシャンクス」
「・・・ん?」
「私のシャンクスへの好きは去年とは違うよ?」
「・・・違うのか?」
「去年よりもっと好き」
「・・・ああ、俺もだ」
こつん、と額を合わせた。
目を見て、お互いに笑い合う。
うん、今なら言える。
私の言いたいこと。
「私にとってシャンクスは、最愛の旦那様で、素敵なパパよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ぱぱ?」
「お父さん、ってこと」
「・・・・お父さん?」
呆然として目を丸くするシャンクスがおかしい。
「あのね。この間病院行ってきたら・・・そうだって」
「・・・俺の・・・・こども・・・・か?」
「うん。よろしくね、パパ」
「アコ・・・!」
シャンクスが感極まったところで、
「あ。思い出した!私が会ってた人、シャンクスの知ってる人だよー」
思い出した。
思い当たる人はこの人しかいない。
「俺の知ってる?・・・誰だ」
「ヤソップさん」
「ヤソップ?・・・あんな恰好しないだろあいつ」
「奥さん怒らせちゃったんだって。それで奥さんにプレゼントしたいからアドバイスくれって」
それに付き合ってたの。
「しかし何だってあんな恰好・・・」
「バレたら絶対からかわれるから内緒にしてくれって言われた」
「何回も会ってたのは?」
「これじゃ駄目って言われたり、息子さんにも用意しろって言われたらしくて」
「・・・・あいつ」
「ごめんね、黙ってて。もっと早く言えば良かった」
そしたらシャンクスをこんなに不安にさせずに済んだのに。
「いや、俺が悪かった。・・・近いうち2人目も生んでくれ」
「・・・気が早いよ」
でも、
シャンクスに笑顔が戻って何よりでした。