短編①
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
がしゃん、と
それは無情にも地に落ちた。
「・・・・・!」
皿洗いの途中、
私の手から滑り落ちたそれは。
「サッチさぁぁん!どうしよう私!」
「あー、とりあえず落ち着け。アコちゃん怪我はしてないよな?」
「私は大丈夫なんです!でも、でもっ」
今にも泣きそうな私の頭をよしよしと撫でてくれるサッチさん。
「マルコさんのマグカップぅ・・・・っ」
「落ち着けって。アイツ物に執着しねえタイプだから」
「でもこれマルコさんのお気に入りでした・・・!」
深い青のラインの入ったシンプルなマグカップ。
珍しく気に入っているのだと本人の口から聞いていた。
それを、私は。
「私っ!今マルコさんに謝ってきます!」
「んーそっか。多分今なら部屋だと思うけど」
ヤバそうだったら俺んとこに逃げてこいよ、
と言ってくれるサッチさんにお礼を言って、
私はマルコさんの部屋へと向かった。
マルコさんの部屋まで着くと、
心臓の音がうるさいくらいに聞こえる。
深く深呼吸。
コンコン、とドアをノック。
「マルコさん、アコです」
「ああ、入れよい」
何も知らないマルコさんの優しい声。
胸が、痛い。
「・・・失礼します」
ドアを開けて中に入るけれど、
顔があげられない。
俯いたまま私は泣きそうになるのを堪える。
マルコさんは机に向かっていた。
「とりあえず座れよい」
立ったままの私。
ああ、どうしよう。
声が出ない。
「アコ?」
っでも言わないと。
私は覚悟を決めて、顔を上げる。
困惑しているマルコさんの顔を見つめて。
「マルコさん、あのッ、私・・・マルコさんのお気に入りのマグカップ割っちゃいました!」
ごめんなさい!
と勢い良く頭を下げる。
どんな叱責ももう覚悟の上だ。
と、
「そんなことかい」
と頭を撫でられた。
大きくて優しい手。
「顔、あげろよい、アコ」
変わらず優しい声。
でも私は顔を上げられないまま。
「でもあれ、マルコさんのお気に入りでしたよね・・・?」
なのに私は、と唇を噛み締める。
しかし次に発せられたマルコさんの言葉に私は目を丸くした。
「別にそんなことはねえよい」
「・・・・・・へ?」
思わず勢い良く顔を上げる。
と、楽しそうな顔のマルコさんが見えた。
「知ってると思うが、俺ァ別に物に執着はしねえ。使えりゃいい」
「・・・・はあ」
「あのマグカップもたまたま目に入ったから買っただけだよい」
「え、でもマルコさん前にあのマグカップ」
『これぁ気に入って使ってんだ』
そう、誰かに言っているのを私は確かに聞いた。
「ああ、そりゃあアレだ」
どれだ。
「アコが綺麗だって言ったろい?」
「え」
「あのマグカップを見て、お前ェが綺麗だって言ったからだよい」
言われてみれば、
そんなこと言った気がする。
『綺麗な青ですね、このカップ』
「だから気にするこたぁねえよい」
言って、マルコさんは立ち上がる。
そして言葉が出てこない私を、
力強い腕で、
捕まえて。
「ああ、でも、アコがどうしても気になるってんなら」
さっきとは違う意味で
心臓が大変なことになっている私を、
優しい腕で、
抱きしめて。
「詫びってことでキスでもしてもらおうかねい?」
囁いた。
「ほ、ほっぺにちゅーとかでいいですか?」
「駄目に決まってんだろい」
それは無情にも地に落ちた。
「・・・・・!」
皿洗いの途中、
私の手から滑り落ちたそれは。
「サッチさぁぁん!どうしよう私!」
「あー、とりあえず落ち着け。アコちゃん怪我はしてないよな?」
「私は大丈夫なんです!でも、でもっ」
今にも泣きそうな私の頭をよしよしと撫でてくれるサッチさん。
「マルコさんのマグカップぅ・・・・っ」
「落ち着けって。アイツ物に執着しねえタイプだから」
「でもこれマルコさんのお気に入りでした・・・!」
深い青のラインの入ったシンプルなマグカップ。
珍しく気に入っているのだと本人の口から聞いていた。
それを、私は。
「私っ!今マルコさんに謝ってきます!」
「んーそっか。多分今なら部屋だと思うけど」
ヤバそうだったら俺んとこに逃げてこいよ、
と言ってくれるサッチさんにお礼を言って、
私はマルコさんの部屋へと向かった。
マルコさんの部屋まで着くと、
心臓の音がうるさいくらいに聞こえる。
深く深呼吸。
コンコン、とドアをノック。
「マルコさん、アコです」
「ああ、入れよい」
何も知らないマルコさんの優しい声。
胸が、痛い。
「・・・失礼します」
ドアを開けて中に入るけれど、
顔があげられない。
俯いたまま私は泣きそうになるのを堪える。
マルコさんは机に向かっていた。
「とりあえず座れよい」
立ったままの私。
ああ、どうしよう。
声が出ない。
「アコ?」
っでも言わないと。
私は覚悟を決めて、顔を上げる。
困惑しているマルコさんの顔を見つめて。
「マルコさん、あのッ、私・・・マルコさんのお気に入りのマグカップ割っちゃいました!」
ごめんなさい!
と勢い良く頭を下げる。
どんな叱責ももう覚悟の上だ。
と、
「そんなことかい」
と頭を撫でられた。
大きくて優しい手。
「顔、あげろよい、アコ」
変わらず優しい声。
でも私は顔を上げられないまま。
「でもあれ、マルコさんのお気に入りでしたよね・・・?」
なのに私は、と唇を噛み締める。
しかし次に発せられたマルコさんの言葉に私は目を丸くした。
「別にそんなことはねえよい」
「・・・・・・へ?」
思わず勢い良く顔を上げる。
と、楽しそうな顔のマルコさんが見えた。
「知ってると思うが、俺ァ別に物に執着はしねえ。使えりゃいい」
「・・・・はあ」
「あのマグカップもたまたま目に入ったから買っただけだよい」
「え、でもマルコさん前にあのマグカップ」
『これぁ気に入って使ってんだ』
そう、誰かに言っているのを私は確かに聞いた。
「ああ、そりゃあアレだ」
どれだ。
「アコが綺麗だって言ったろい?」
「え」
「あのマグカップを見て、お前ェが綺麗だって言ったからだよい」
言われてみれば、
そんなこと言った気がする。
『綺麗な青ですね、このカップ』
「だから気にするこたぁねえよい」
言って、マルコさんは立ち上がる。
そして言葉が出てこない私を、
力強い腕で、
捕まえて。
「ああ、でも、アコがどうしても気になるってんなら」
さっきとは違う意味で
心臓が大変なことになっている私を、
優しい腕で、
抱きしめて。
「詫びってことでキスでもしてもらおうかねい?」
囁いた。
「ほ、ほっぺにちゅーとかでいいですか?」
「駄目に決まってんだろい」