短編②
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何だか最近コアラとサボが怪しい。
・・・・・・いやいや、サボに限って浮気なんてある訳ない。
コアラだって前にサボには興味ないって言ってたし。
・・・・・・・・でもその割には。
最近2人で居るところをよく見かけるのも事実。
そして、最近恋人であるサボが私に対して少しだけ素っ気なくなったのも。
また事実でもある。
「ねえサボ」
「んー?」
何故この人は私が部屋に居るっていうのに!!
本に目を向けているのかしら!!
「サーボー」
「悪いもう少し」
・・・・・・・へぇそうですか、そうきちゃいますか。
「一緒にお風呂入る?」
どうせ上の空なら、と。
普段なら絶対言わないことを言ってみたら。
「入る」
これには即答。
・・・・にゃろう。
相変わらず目は本に向けたままなのも悔しいところ。
「・・・・・・サボ」
「ん」
「・・・・・もういい、お風呂入って来る」
私がそう言うのとほぼ同時にサボが本を閉じた。
読んでたページから見るにちょうど読み終わったと見える。
「よし行こう」
「サボはお1人でどうぞ」
「一緒に入るって言っただろ?」
「私より本が大好きな人は本と一緒に入って下さい」
ぷいっと怒ったふりをして背中を向けると、
「本よりアコの方が大事に決まってる」
後ろからふわりと抱きしめられた。
安心するサボの匂いと、
耳元にかかる息が少しくすぐったい。
「・・・・じゃあコアラと私なら?」
「コアラぁ?比較にならねェだろアコとは」
「比較にならないくらいコアラの方が可愛い?」
「逆だよ。アコの方が可愛い」
「の割にコアラと最近楽しそうだよね」
そう口にしたらサボがにんまりと笑った。
「ヤキモチ?」
「妬かせて嬉しいの?最低」
「妬かせたい訳じゃねェ・・・が、妬いてくれりゃ嬉しいだろ?」
ちゅ、と頬に優しい唇が落ちた。
「そんなんで誤魔化されませんけど」
「おっと、この後ドラゴンさんに呼ばれてたの忘れてたぜ」
「こらサボ」
ぱっと身体が自由になったかと思えばサボは明らかな作り笑顔を私に向けて出て行った。
「・・・・・・もう」
サボは手強い。
こうなったら仕方ない。
「どうなのコアラ」
「考え過ぎ」
「・・・・・でも最近よく2人で居るでしょ?」
「それこそサボ君の思う壺だと思うけど?」
「・・・・確かに」
気にしない方がいいのかなあ。
「私にサボ君は無理」
「何で?」
コアラはそれはそれはものすごーく嫌そうな顔をした。
「ルフィ君のこととなると人の話し聞かないし無茶するしフォローが大変なんだから」
「あー・・・・・それはわかる、かも」
「口を開けばルフィ君かアコちゃんのことしか話さないし」
「・・・・すみません」
「サボ君にはアコちゃんだけ、信じてあげて」
「・・・・うん、有難うコアラ。ごめんね」
「どーいたしまして」
安心して自分の部屋に戻ったら、
「サボ?ドラゴンさんとお話し終わったの?」
サボが不機嫌そうな顔で私の部屋に居た。
「・・・ああ」
「・・・・どしたの?」
「明日から任務が決まった」
「そんなに嫌な任務なの?」
「内容はそこまで問題じゃねェ・・・問題は」
「問題は?」
妙なところで言葉を区切ったサボは私をちらりと見て。
「・・・・4日かかるってことだ」
「・・・・それが何か問題?」
「大問題だ。アコだって寂しいだろ?」
「4日くらい短い方だし平気」
いつも1週間、下手したら1ヵ月居ないことだってある。
「俺が寂しいんだ」
「・・・・そっか」
「ってことで今夜俺の部屋で待ってる」
「・・・ほんとにもう」
妖艶な笑みで腕を広げたサボ。
私は仕方なくその腕の中へ飛び込んだ。
コアラからも危険な任務じゃないと改めて聞いて、安心してサボを送り出そうとした翌日。
・・・・サボはコアラと2人で話してた。
サボが任務で居なくなって3日。
私はサボもコアラも信じてるから。
何も言わない。
明日にはサボもきっと帰って来るし。
私も革命軍の一員。
暇じゃない。
何だかんだであっという間に夜になった。
「はぁぁぁ」
ちょっと疲れた、そんな時。
いつもならサボがお疲れさん、て言って頭を撫でてくれる。
・・・・会いたいなぁ。
「アコちゃん」
「コアラ?どしたの?」
部屋でぼーっとしてたらコアラが満面の笑みで入って来た。
「5分たったら甲板に行って?」
「・・・・・は?」
「ふっふーん、全然わかってないのねアコちゃん」
「・・・・何が?」
何をいきなり、と思うも。
「じゃ、よろしくね!」
コアラは何も言わず出て行った。
・・・・・え、何かすごい馬鹿にされた感。
よくわからないまま5分計って、部屋を出た。
甲板?
一体何・・・・・・が。
「・・・・・・何、コレ」
普段は何もないはずの甲板に、1つのテーブル。
2つの椅子。
そしてテーブルの上には美味しそうなケーキ。
呆然としていたら、ケーキの上のろうそくに突然火がついた。
「な・・・・っ」
驚く私の耳に、
「誕生日おめでとうアコ」
「・・・・・・・・・・・うそ」
今ここで聞けるはずのない、愛しい声。
振り返ったらそこに、
「その顔が見たかった」
居るはずのない、サボが花束を持って立っていた。
「なん、で」
「言っただろ?アコの誕生日に間に合うように帰って来たんだ」
「あ。・・・・・私今日誕生日、だった」
すっかり忘れてた!
「ははっ、アコらしいな!」
「・・・・サボ」
「アコ、目閉じて」
「ん」
言われるがまま目を閉じた。
すぐに首に違和感。
「開けて」
目を開けてすぐに胸もとを見て驚いた。
「綺麗・・・・ブルーオパール?」
「ああ、前に見つけて買っておいた。よく似合ってる」
胸もとに光るブルーの輝き。
「有難うサボ・・・!ケーキも!!」
「ケーキはコアラ協力だから味の保証はないけどな」
「またそんなこと言って。・・・・・え、もしかして」
「コアラに色々協力を仰いだのさ」
「・・・うわお」
「アコ」
「・・・・はい」
目の前にあったサボの真剣な顔に思わず息を呑んだ。
「生まれてきてくれたこと、俺と出会ってくれたこと・・・隣に居てくれること感謝してる」
「そんな・・・」
「これからも側に居てくれよ。愛してる、アコ」
そう言って優しく唇が重なった。
「・・・・ん」
「ありがと、サボ。これからも側で強くなるね」
「・・・ならなくていい」
サボがあんまり渋い顔で言うものだから面白くて笑ったら、
「アコ、上」
「うえ?」
上を見ると綺麗な星空。
「これも俺からのプレゼント、なんてな」
「・・・・気障だね」
「アコの前でだけな」
「でもおかげで幸せな1日だった。有難う」
「欲がないなぁアコは。これからの1年も幸せにする、俺が」
「・・・・よろしくお願いします」
幸せな1年を積み重ねて。
幸せな人生に、きっとなる。
そんな予感。