短編②
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「守られたいと思ったのは一瞬なの」
「で?」
「あとは一緒に戦いたいって思った」
「無理だな」
・・・・即答だよ。
そう言われることは予測出来てたけどまさかの即答だよこの人!!
「・・・・そんな即答しなくてもいいじゃん、エース」
ナースさんも苦笑しながら皆離れていくし。
ああ、最悪だ。
何でよりによってエースに。
・・・・何でよりによって好きな人とこんな口論しなきゃいけないんだ。
事の発端は、ナースさんとのお茶タイム。
『皆強いから安心して守られていられるわよねここは』
『わかる、守られてる時に見る背中よね』
なんて話しになって。
『・・・・・私は嫌です』
そう呟いた私に、
『聞き捨てならねェ』
と割って入って来たエース。
「別にエースが弱いとか皆が弱いから安心してられてないって意味じゃなくて」
「ったり前だ、そんなこと絶対言わせねェ」
「じゃあそんな怒らなくてもいいじゃん!?」
「怒ってねェよ」
「嘘怒ってる」
「一緒に戦うなんて無理に決まってるだろ」
「・・・・・でも守られてるだけなんて」
「美味い飯作ってくれてんだろ、それで十分じゃねェか」
「・・・・・・美味しいって言ってくれるのは嬉しいけど」
フクザツ。
確かにエースと背中合わせて戦える程強くないよ私は。
それでも守られて、
戦ってる背中見てきゃー素敵、なんて言ってるだけにはなりたくない。
・・・・や、別にナースさんが悪いって言ってる訳じゃなくて。
守る側からしたら大人しく守られてる方が守りやすいんだろうし。
・・・・・それでも。
「守られることの何が悪いんだよ?」
「悪い訳じゃなくて、私が嫌なだけ」
「何で嫌なんだよ」
「・・・・・・・私さえ無事なら貴方はどうでもいいわみたいな」
「思ってんのか?」
「思ってません」
「ならいいだろ」
・・・・・エースに論破された。
でも何か。
・・・・・言わないけど。
特にエースは死にたがりな気がするから。
・・・・・目の前でエースが傷つくところや、
倒れるところなんて見たくない。
私は何もしないで目の前で好きな人が傷つくとこなんか。
「・・・いつか強くなるから」
「ま、無理すんな」
ぽんと頭に乗せられた大きな手が優しくて、
泣きそうになったのは、内緒。
・・・・・で、数日後。
何だかエースの様子が変だ。
エースが、というか。
エースとナースさん達の、というべきか。
私に隠れて何かしている。
でも誰かに聞いても、
「言えないわ。アコの為なの」
ごめんなさいね、と。
皆同じ答え。
私の為、だって。
こうなったら仕方ない。
「エース」
夕飯後にそのまま寝てたエースを起こして。
直接エースに聞く。
「・・・・・・・何だよ」
「何か企んでるでしょ」
「・・・いきなり人聞きの悪いこと言うなよ」
「じゃあナースさん達と最近一緒にいる理由は?・・・怪我した訳でもないでしょ?」
「怪我なんかしてねェ」
「じゃあ何で?」
「そりゃ・・・・アレだよ」
「どれ」
エースの目は泳ぎ唇が突き出て、明らかに挙動不審。
「・・・あと3日でわかる」
「・・・・・もしかして」
「なっ何だよ・・・・?」
考えたくなかった、けど。
「・・・・好きな人があの中に居るの?」
最近一緒に居るナースさん達の中にエースの好きな人が。
3日後に盛大な告白するとか!?
「・・・・だったらどうする?」
エースの目に覗きこまれて息を呑んだ。
・・・・そっか、そうだよね。
大人しく守られてる女の子の方が可愛いに決まってる。
・・・・・・私なんか。
「・・・・さすがにそれは、邪魔しないよ」
応援も、しないけど。
「・・・・・そっか」
3日後。
マルコさんの部屋に呼ばれた私は、
「マルコさぁぁぁん・・・!!」
マルコさんに泣きついた。
「・・・・何やってんだよい、アコもエースも」
「エースは悪くないです悪いのは可愛い女じゃない私です」
「素直に守られるのかい?」
「それは無理です」
「ははっ、だろうねい」
「・・・・今日おめでとうって言えますかね私」
「エースがフられることは想定しねェのかい」
「・・・・・だってカッコイイし優しいし強いし」
守られるのは嫌、なんて言いながら、
守ってくれるのが私だけならいいのに。
なんて矛盾なことを思ったりする。
それが、
「恋は盲目だねい」
・・・・ってやつなのかもしれない。
「・・・はい」
「・・・そろそろいい頃かねい」
「へ?」
ぽつりと呟いたマルコさんの言葉の意味がわからなくて、そうえいば私呼ばれたんだと思いだした。
「そういえば私何で呼ばれたんですか?」
「3、2、1」
「マルコ!もういいぜ!」
マルコさんのカウントがゼロになると同時にバン、と勢い良くドアを開けて入って来たのは、
「・・・・エース?」
エース。
「アコ!今いいか!?」
「え、あ、」
私!?
「アコの部屋!行くぞ!」
行くぞ、とエースが私の手を取った。
「え、でもマルコさんお話し・・・っ」
「俺の用は終わった、行って来いよい」
「あ・・・・はい」
「行くぞアコ!」
マルコさんの了承を得て、私はエースに引っ張られるがまま。
・・・・この手はもう誰かのものになっちゃったのかな。
・・・・というか何で私の部屋?
と思ったら。
「・・・・・・間違えました」
扉を開けてすぐに閉めた。
「間違いじゃねェよ、アコの部屋だ」
「・・・・だってこれ」
部屋中に散らばった紙で作られたカラフルな花。
真ん中にどでんと置いてある美味しそうなケーキ。
「・・・・・今日誕生日だろ、アコ」
呆れ顔のエースに言われて初めて気が付いた。
「そ・・・・・・そうだった・・・・!!」
「花はナースと一緒に作った。ケーキはサッチな」
「そうなの!?」
いつの間に!!
「すげェだろ?」
「・・・・すごい。有難うエース・・・エース?」
お礼をと思ってエースを振り返ったら、
真剣な顔のエースが近づいてきて。
「あのな、アコ」
「えっ・・・・エース?」
ぎゅ、と抱きしめられた。
「俺は惚れた女1人守れねェような男にはならねェ」
「へ・・・・・・?」
「誕生日おめでとうな、アコ。そんでこれからも俺に守らせてくれよ」
「ちょ・・・・・・・っと待って頭が追い付かない」
「つまりこの部屋をこうする為にマルコに時間稼ぎしてもらって、この企画をするためにナースに相談してたって訳だ」
「・・・・・・それで」
「俺が好きなのはアコ」
「そうなの!?」
「わかってねェなら何度でも言ってやる、好きだアコ」
「・・・・・・・今はまだ弱いけど、いつか強くなれたら一緒に戦ってくれる?」
「守りながら戦ってやるよ」
「・・・・こだわるね」
「当たり前だろ。・・・・んで、返事は聞かせてくれねェのかよ」
少し拗ねた表情のエースに苦笑して、
「有難う、私も好き」
「っしゃ!じゃあケーキ食おうぜ!っとその前にローソクの火ィ消さねえとだな!」
改めてめでてェ、とエースが笑った。
私はいつでもこの笑顔に守られてる。
有難うエース。