短編②
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「エースの浮気者」
「は!?」
「エース最低。馬鹿」
「ちょっと待てアコ、何の話しだよ?」
デートの待ち合わせに来たエースに言ってやった。
「信じてたのに・・・ひどいよ」
「だから何の話だ、それ!」
「女の子のスカートめくった」
「んなっ、ンなことするか!」
「私見てた」
「いつ、どこで!」
「この間の日曜日定食屋で」
「・・・・日曜日ぃ?定食屋ァ?」
エースは考えるように首を捻る。
「寝てたと思ったらがばっと顔上げてそのまま隣に座ってた女の子のスカートめくって顔拭いてた」
「・・・・っ、おま、それは顔拭いただけだろうが!」
「でもスカートめくった」
思い出したのか、エースは目まん丸くして叫ぶ。
「あれは寝ぼけてただけで・・・下心はねェ」
「証拠ある?」
「寝てた時についた食いモンの汚れをとっただけだろ?」
「そう見せかけてたってことも」
「ねェよ!」
確かにエースはご飯を食べてる時に突然寝てしまう癖がある。
それは知ってるし、認める。
私が隣に居る時は私がハンカチやらティッシュやらを差し出して口を拭いてるから、
汚れた口を拭きたかったってのもわかる。
でもわざわざ女の人のスカートめくって、
それで拭くなんて。
「スカート汚された女の人可哀想」
「・・・・もうしねェよ」
さすがにこれは効いたのか、
エースはバツが悪そうな顔。
何だか私もエースが可哀想になって、
「・・・じゃあ、今日ハンカチ買おう?プレゼントするからそれ使って」
言いながら手を繋いだら、
エースは嬉しそうに笑った。
「あァ、サンキュ」
この笑顔には私も敵わなくて。
結局許しちゃうんだよね・・・。
「白は汚れが目立つから駄目」
とか、
「あんまり派手なのもなー」
とか、
「青とか緑はエースのイメージじゃないし」
とか話しながら結局、
「これ!」
と決めたのはオレンジと赤のストライプ。
「お、いいな」
エースも納得してくれたので、同じものを2枚お買い上げ。
簡単に包装してもらって、エースに渡した。
「これちゃんと使ってよ?」
「おう、有難く使わせてもらうな」
「これでもう女の人のスカートめくらなくてすむね?」
「・・・・アコのならいいの?」
「駄目です」
「ちぇ」
なんてふざけて舌打ちしながらも、
笑ってるエースが愛おしくて。
浮気者、なんて言ったけど本当は違うってわかってる。
寝ぼけてついやっちゃったんだってことも頭では理解してるから。
・・・心は別だけど。
だからこれで、本当に安心、してた。
次に見たのはラーメン屋。
運良く、というべきか。
エースが顔を突っ込んでいたのはチャーハンで。
ああ良かった、隣に置いてあるラーメンだったら大火傷だもんね、とのんびり見つめていたら。
いつものようにがばっと顔を上げて。
「んあ、」
と寝ぼけ声を出したエースはそのまま、
やっぱり偶然隣に座ってた女の子のスカートをめくり上げ、顔を拭いた。
・・・・・あーあ。
女の子は呆然。
エースはそのままスープを飲み干し(麺は残っていなかったらしい)、お金を支払いエースは出てきた。
「・・・・・ラーメンに顔突っ込んでなくて良かったね」
出てきたエースに言ってやった。
「・・・・・あー」
エースはしまった、という顔。
「ハンカチ、持ってる?」
「・・・・・忘れた」
エースは頭に手をやって小さく答えた。
私はエースに自分のハンカチを持たせて、
「さよならエース」
そう告げて背中を向けた。
・・・・エースの馬鹿。
「っ、待てって!」
「待たない!」
エースを見ないでそのままお別れしようと思ったのに、
手を強く引っ張られて身体が揺らいだ。
引っ張られた方に倒れこむ。
そこは、エースの腕の中で。
「はな、して・・・」
「離さねェよ」
「だってエース全然私の気持ちわかってくれないじゃん!」
「わかってねェ訳じゃねェよ」
「じゃあエースは私がほかの男の子にスカートめくられてもいいの?」
「いい訳ねェだろ!?」
「じゃあ別れて!今すぐ!」
「それも納得出来ねェ!」
「わがまま!」
「あァ、ワガママだ俺ァ」
エースは何故か威張ってそう言い張って、
それから、
「・・・・・ん」
軽く触れるだけの口づけを1回。
「1枚は洗濯中で、もう1枚はルフィに持って行かれた」
「・・・・・は?」
「・・・もらったハンカチだよ」
「・・・でもだからって女の人のスカートめくっていい理由にはならないよ」
「わかってる。・・・・それは悪かった」
「この間もそう言った。もうしないって、言った」
泣きそうな私を気遣ってか、
こういう時エースは言い訳をしない。
・・・こういうとこ、すごく好き。
「信じられねェだろうけど・・・今日で最後にする」
「・・・・何を?」
「1人で外で飯食うの」
真剣な顔で私を見つめて言う。
「・・・・どういうこと?」
「1人で飯食ってると寝ぼけて何するかわかんねェし。それでお前泣かせんのも嫌だ」
「・・・・うん」
「だからこれから外で飯食う時は隣にお前が居る時」
「・・・・いいの?それで」
「惚れた女泣かすよりマシだ」
それからエースはまた、額にちゅ、と口づけた。
「・・・くすぐったい」
「スカートめくりてェと思うのはアコだけだ」
「・・・・・・・あは、あはははっ!!」
「・・・笑うとこか?」
「だって、エースっ、そんな真面目な顔で・・・あははっ」
真面目な顔でそんなこと言うなんて。
ほんとに、もう。
愛おしい人。
「・・・・うるせェ」
今度は拗ねた顔で、頬にキス。
「・・・わかった、エース。ごめんね」
「・・・何がわかったんだよ」
「エースの気持ち。私ちょっと短気だった。エースが気を付けるっていうんなら信じる」
もう言わない。
「アレだな、今度から飯の隣にハンカチ置いとくわ」
「うん、そうして」
「んでルフィからハンカチ取り返す」
「・・・・ルフィにも1枚買ってあげよっか?」
「いい。俺が適当に買っておく」
「・・・・ヤキモチ?」
「ったり前だ」
その赤い顔が、
私だけを愛してくれてる証。
今度、10枚くらいハンカチを買って、
贈ろうと思います。