短編②
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「のおおおぉぉぉぉ!!!!!」
「アコうるせェ」
「エース酷い」
「酷くねぇ」
私の悲痛な叫びを幼馴染のエースは一蹴した。
「だって・・・・だって売り切れてる・・・!」
私の愛用の豆乳が!!
「豆乳くらいでぎゃーぎゃー言うなって」
「言うもん、私の豆乳・・・・!!」
「豆乳ならここにあんだろ?」
某スーパー。
今まで私が買って来ていた味の豆乳だけが綺麗さっぱり置いてない。
「駄目なの、あの味でないと私飲めない」
「そもそもアコ豆乳苦手だろ?」
「あれジュースみたいで美味しいから飲めるんだよぅ」
「・・・・・・・そこまでして飲む必要あるか?ジュースでいいじゃねェか」
「豆乳ってとこが大事なの」
エースは私の答えに数秒首を捻ったあと、
「・・・痩せるとか?」
図星をついてくれちゃいました。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・まあね」
「ははっ、そんなことだろうと思ったぜ」
馬鹿にするように笑ったエースにむっとしながらも、
「でもそれだけじゃないし」
「あとは何だよ」
「・・・・・・・・・・・・・・健康とか」
「ぶはっ、年寄りくせェ」
本当はまだあるけどエースには絶対言わない。
「でも結局甘い調整済みの豆乳飲んでたら痩せるとか無理だろ」
「うぅ・・・・!」
痛いとこつかれた。
・・・・・・でも私には、決めてることがあるから。
絶対、成し遂げる。
「諦めて帰ろうぜ」
「・・・・・・・ちゃんと食事制限もしてる」
「・・・・何でそんなに痩せたいんだよ?」
「・・・・・・・痩せたら、自分に自信、持てるから」
そしたらきっと、私はエースに告白出来る。
痩せて、
・・・・胸がもちょっと大きくなって。
可愛くなれたら。
エースに好き、って言える。
今のままの私じゃ自信ないから。
「今でも別に太くねェと思うけどな」
「でも細くもないから。細くなって、可愛くなりたい」
友達には、
『そんなことしてる間に他の女にとられたらどうすんの?』
とか言われた。
・・・・・・・だから、1日も早く、
痩せて可愛くなりたいのだ。
そしてエースは、
「・・・・・・・・男の為か?」
・・・・・・エースの癖にそんな乙女心がわかったらしい。
わかんなくていいのに!
「・・・・・・・・・・・・・・・・うん」
「・・・・・・・・へェ」
「・・・・・・エース?」
急に低くなったエースの声にドキッとした。
「馬鹿みてェ」
「ばっ・・・・馬鹿って・・・・」
エースは冷めた目で私を見る。
「男の言う通りになるとからしくねェことするなよ」
「・・・・・・・・・っでも」
このままじゃ、好きになってもらえないのに。
「お前に痩せろとか言う男なんてロクな奴じゃねーよ」
「別に言われてないし、私が勝手にしてるだけで・・・!」
「そもそも外見で女決めるような奴でいいのかよアコは」
・・・・・・・・・悔しいけど正論だ。
何かもうカッとなって、
「そんなこと言ってエースだって可愛い方がいいと思うでしょ!?痩せてて胸ある子の方が!」
「好きになったらそんなの関係ねェ!」
「じゃあエースは今の私と付き合えるの!?」
叫んだ。
心の内。
「当たり前だろ!」
・・・・・・・・・・・エースも、叫んだ。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
お互い無言になって、
・・・・・・私は少し冷静になった。
「・・・・・・・・・嘘つかないでよ」
こんなの、冗談に決まってる。
「嘘じゃねェよ」
「アレでしょ、売り言葉に買い言葉なんでしょ?」
「じゃあよ」
「・・・・何」
エースが私を睨みつけた、と思ったら。
いきなり顔が近づいて、
「ん、」
唇が、
重なった。
「・・・・・これで信じるか?」
「・・・・・・・・・・な、んで?」
「アコが好きだから、以外にねェだろ?」
そう言って笑ったエースは、優しくて。
泣きそうになった。
「・・・・っ豆乳、もう買わなくていい?」
「だからいらねェって」
しし、とエースが笑う。
「・・・・・・・っ、好きだよエース!」
「俺も」
大好きだ、と。
エースの言葉で。
私に自信が溢れた気がした。
『で、豆乳で胸デカくなんの?』
『・・・・らしいけど』
『楽しみだな!』
『・・・・・・・・やっぱ豆乳必要じゃん』
『冗談だって』
『・・・・馬鹿』