短編②
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『まもなく上映を開始致します』
綺麗なお姉さんの声でアナウンス。
「・・・・・久しぶりだよねえプラネタリウム」
「もう記憶にないな」
「私はあるけどね」
「・・・・誰と行った?」
「友達。女の子だよ?」
「ならいい」
・・・・・・・・・・・隣で上を見上げるシャンクスにこみあげてくる苦笑。
会場内が真っ暗になって、
天井に映し出される星空。
都会では有り得ない、空。
もう何年も付き合ってる私達が、
デートで行く場所に迷ってやって来た、プラネタリウム。
星座の説明等々、難しくもなく子供向け過ぎない番組で、
あっという間に上映は終了した。
「プラネタリウムもいいね、結構」
上映が終わった後、
カフェでお茶しながら話すと、
「たまにはいいな」
シャンクスもリラックス出来た様子。
「なかなか空見ないしねー最近。それに星空ってロマンチックじゃない?」
美味しい紅茶を飲みながら言ったら、シャンクスが噴出した。
「・・・・・何?」
「いや、だってお前寝てだだろ?」
「・・・・・・・・・・・・ちょっとだけね」
静かで気持ちいい空気に流されて、つい。
「まあ、日ごろの疲れが癒されたってことだな」
「そういうこと。シャンクスも楽しめた?」
「ああ、海で旅する時には星の位置が重要だと勉強になった」
「・・・・・・・・海賊にでもなるつもり?」
「いいなあ、それ」
「良くないんですけど。じゃあ私は港で帰りを待ちわびる町娘?」
ちょっとした冗談だったのにシャンクスは楽しそうに話す。
シャンクスが海賊かぁ・・・・・めっちゃ似合いそう。
最強の海賊になりそうだ、うん。
「だっはっは、アコが大人しく待ちわびるタイプか?」
「・・・・・・・・・・・そうだね。新しくいい男見つけて結婚して幸せに暮らすわ私」
「・・・・・おいおい」
「だから海賊にはならないでねー?」
「・・・・・・肝に銘じておく」
セットのケーキも食べ終えたところで、
「そういえば季節はずれだけどさ、織姫と彦星の話しやってたじゃん」
「やってたな、そういえば」
「あれ見て私今年の七夕の天気思い出しちゃった」
「雨だったと記憶してるが」
「そうだったけ?じゃあ会えなかった訳だ」
「可哀相、か?」
「何で?だって自業自得じゃん」
「・・・・・・・・そう来るか」
私は小さい頃から、この2人を可哀相だと思ったことはない。
「だって働かないでいちゃいちゃしてたら怒られるに決まってるし、罰せられるのも当然でしょ?」
「まあそうなんだが・・・・アレだ、織姫が可哀相、とか」
「諌めないでいちゃいちゃしてたんなら同罪じゃん」
だから2人とも悪い。
そう言ったらシャンクスはまた笑い出した。
「さっきまでロマンがどうこう言ってた奴の台詞とは思えねェな・・・ははっ」
「・・・・もしシャンクスが彦星なら、どうする?」
何となく頭を過ぎったから聞いてみたら、
「俺だって働きたくはねェさ」
・・・・・・とか言ってくれちゃったよ。
「で、罰せられる訳だ」
「はははっ、まさか。俺がそんな男に見えるか?」
「・・・・・・・・・・・見えない」
どっからどう見ても見えないね。
シャンクスは不敵な笑みを浮かべて、
淡々と語った。
「雨が降ろうが槍が降ろうが川がなかろうが、惚れた女に会いたきゃどんな手を使っても会いに行く」
・・・・おお、カッコイイ。
「うん、その方がシャンクスっぽい」
「それに俺は惚れた女を泣かせるような真似はしねェよ。働くのは嫌でも」
「うんうん、さっすがシャンクスー」
「だからな」
「うん?」
「俺達そろそろ結婚しないかアコ?」
・・・・・・・・・・・この流れで来る?
うん、でも。
「・・・・・しよっか?」
シャンクスとなら、
いっか。
「アコ、愛してる」
「・・・・うん、私も」
雨が降っても槍が降っても、
川がなくても。
飛び越えて、会いに行くよ。
愛の力でさ。