短編②
夢小説設定
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「・・・・・・・お前その服」
「いいでしょ!?」
エースは私の服を見て目をまん丸にした。
エースとはこれから映画見に行く予定。
別に彼氏でもなんでもないけど、
気の合う大学の友達。
映画館のあるショッピングモールまで歩きながら、
「・・・・・・・・・だせェ」
エースはものすごく、
それはもうものすごーく嫌そうに顔を歪めた。
笑うならまだしも、何だその顔は。
「えー可愛いのに」
「可愛いとか言うな。どっかのパイナップル思い出すだろ」
「だってコレパイナップルだし」
私がいま着ている服は、
パイナップルがサングラスかけてて、
オレンジジュースを飲んでいる。
というファンキーなTシャツ。
下は普通の短パン。
まあでもエースの気持ちもわからなくはない。
だってエースには、
マルコさんというまさしくパイナップルを連想させる大人のお友達が居るからだ。
「まさかお前・・・・」
「何?」
「・・・・・マルコのこと好きなのかよ」
怒ったようにエースが呟くから、
思わず拭き出してしまった。
「ぶはっ」
「・・・・嘘だろ?」
「ナイナイ!マルコさんは悪いけどない!あははっ、エース面白いこと言うねえ」
「・・・・・・・あ、そ」
「私は普通の髪型の人がいいからね」
「でも好きなんだろ、そのシャツ」
「だってこれ可愛いじゃん」
「じゃあマルコも可愛いのか?」
呆れてるのか、
軽蔑してるのか、
エースは冷めた目で私のシャツのパイナップルを見つめる。
「マルコさんは人間じゃん一応」
「・・・・・まァな」
一応、っていうか間違いなく人間なんだけどね!
マルコさんに聞かれてたら殴られそうな発言だ。
「っていうか私エースなら絶対気に入ってくれると思ったんだけどなー。ていうか大爆笑」
してくれると思ってた。
ちら、とエースを見たら複雑な顔をしてた。
「パイナップルじゃなきゃ笑ってたかもな」
「フランスパンとか?」
「・・・・・・それも駄目だ。料理が好きな女好きのフランスパン思い出す」
「・・・・・ああ、そうだね」
コックさんやってるサッチさんは、
料理が得意で女好きのリーゼント。
「っていうかエース、マルコさんと喧嘩でもしたの?」
「してねェけど」
「何か嫌ってるみたいだったから」
「嫌いじゃねェよ、別に。大事な仲間だ」
・・・・・・・何か、
エースさっきからちょっと不機嫌。
えーとえーと、
こんな時は。
「あ!」
「あ?」
「ほらエース、串に刺さったマルコさん!・・・じゃなくてパイン!冷え冷え!」
ショッピングモールの中にある屋台の果物屋。
食べ歩きにぴったり!の看板。
エースのご機嫌を治すには食べ物が1番だと理解している。
「いらねェ」
「え・・・・・・・・」
エースが・・・・・食べ物を拒否した!?
「食いたきゃ食えよ、俺はいらねェ」
「や、でも、ほら、パインだよ!?」
「俺はいらねェよ。アコは好きなんだろ、パイナップル」
「・・・・・・・・・・いや、その」
「・・・・・・・・何だよ」
「私パイナップル、そんな好きじゃない」
っていうか苦手な部類だ。
「は?」
「飴とか飲み物なら平気だけど、本物は苦手」
「でもそのシャツは買った」
「・・・・そんなに似合ってない?」
「つーか・・・・アコが喜んで着てるのが気に食わねェ」
ガーン。
・・・・・・・・私、馬鹿みたいだったんだろうか。
ちょっと、ショックだ。
「・・・・・・・・じゃあこれエースにあげる。1回着ちゃったけど」
「はァ!?いらねェよ!」
「だって勿体無いじゃん捨てるの!」
「じゃあマルコにやりゃいいだろ!?」
「何それ私に死ねっていうの。っていうかパイナップルがパイナップル着るって洒落にならないし」
結局私笑い死にするんですけど!
「マルコのこと思い出したんじゃねェの?それ買った時」
「・・・・・そう思う?」
「違うのかよ」
「・・・・喉、渇いててね」
「は?」
「コレ、パイナップルがオレンジジュース飲んでるでしょ?パイナップルとオレンジの新しいジュースの誕生じゃん」
「・・・・・・そうなるか?」
「なんて美味しそうなジュース!と思って」
買った訳だよ。
エースは瞬きを数回して、
「・・・・・・・・阿呆みてェ」
と苦笑した。
「・・・・・とにかく、これはもう着ないから」
「したらよ、映画終わった後服買えよ。俺選んでやるから」
「・・・・エースのセンスぅ?」
「・・・・・何だよ、問題ねェだろ」
・・・・エースのセンスが信用出来るかはともかく、いいかもしれない。
「可愛いのよろしく!」
「おう、任せろ」
・・・・何だか散々、
マルコさんに悪いことをしてしまったような気がするけど。
映画の後の買い物でわかったのは、エースのセンスが意外と悪くなくて、
エースが私のこと好きだっていうこと。
・・・・・・・エースは、
ただの友達じゃ、なくなった。
(ナイスパイン)