短編②
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ドラゴンさんのお説教を受けて、
部屋に戻ったら。
「・・・・・何で居るの?サボ」
・・・・当然のように私の部屋でサボが寛いでいた。
ベッドの上であぐらをかいて私をじっと見る。
「アコの監視」
「・・・・・ホントに?」
まさかドラゴンさんが・・・・!?
「自業自得。今日だって軽傷で済んだことが奇跡なんだってわかってるか?」
「わかってるよぅ・・・・ご迷惑おかけしました」
「迷惑じゃないんだ、やっぱりわかってねェな」
優しいサボが珍しく怒ったような顔をしたので慌てて、
「ご心配おかけしてすみませんでした・・・・」
こちらも真摯に謝罪。
「わかってるならよろしい。じゃあ次は質問だ」
「・・・何?」
「何で俺を頼らなかった?」
・・・・真っ直ぐな瞳で投げかけられた質問は、私の心臓に突き刺さった。
・・・・・今日、革命軍である私とサボと少数人数がとある戦に参加した。
そこでちょっとこう・・・・無茶をして軽傷を負った私。
「・・・・つい身体が」
「俺を呼んでくれたら助けられたんだ」
「でもほら、命に別状なし!だし!」
「コアラ泣いてた」
「う・・・・・っ」
・・・・それを言われると辛い。
「あとで謝っておけよ」
「・・・・うん」
「俺があの時どんな気持ちだったかわかるか?」
・・・・・サボ。
きゅうっと心臓が締め付けられた。
思わず手が動いて、
サボの頭を撫でた。
「・・・・・ごめんねサボ」
サボのふわふわの髪。
気持ちいい。
・・・・綺麗な金髪も。
端正な顔立ちも、鍛えられた身体も。
全部好き。
・・・好きだから、傷つけたくなくて。
名前を呼べなかった。
サボが私のことをどう思ってるのかはわからないけど。
・・・・コアラも居るしなぁ。
ぼーっと考えながら撫でてたら、突然がしっと腕を掴まれた。
「あ・・・・嫌だった?」
「・・・・・・ガキ扱いなら嫌だな」
「え、あ。そういうつもりじゃ」
「じゃあどういうつもりか聞かせてもらおうか」
ど・・・・・どういうつもりって言われても。
慰めるつもり?
あ、これって子供扱いになるの?
腕を掴まれたまま必死に考えを巡らせる。
「な・・・・・何となく」
サボは今度は苦虫を噛み潰したような顔。
「何となくで俺は撫でられた訳か」
「・・・・ごめん」
「まあ、いいさ」
「サボはいいよね・・・・強いし」
「鍛えてるからな」
「頭もいい」
「そりゃアコよりは」
「革命軍のナンバー2で、参謀総長だもんね」
「・・・・何か不満か?」
「不満じゃないけど」
・・・・不満じゃないけど悔しい。
「不満じゃないけど不満か?」
「不満はないの。でも・・・・羨ましい」
「アコだって十分強いだろ?俺より弱いだけで」
「・・・その言い方むかつく」
ここでようやくサボが笑った。
「ははっ、そう怒るなって。コアラとならアコの方が強いんじゃないか?」
「・・・ちょっとだけね」
それも今ならどうなるかわからない。
「そんなに強くなりたいか?」
「なりたい。・・・・守りたい」
「・・・・そうだな」
守りたい、大事な人を。
・・・・サボを守れるくらい強くなりたい。
「でもサボより強くなるにはあと何年かかるかなぁ」
「100年早い」
「・・・・ひどい」
・・・ひどいなぁサボは。
「俺より強く、なんてさせねェ」
「サボのけちー」
「ケチでいい。俺がアコを守るんだ」
・・・・その真剣で力強い瞳にドキッとした。
勘違い、しちゃうからやめて欲しい。
「ありがとね。大人しく守られる気はないけど」
「言うと思った。それなら勝手に守らせてもらおうか」
ふふん、と余裕の笑みを浮かべるサボ。
「・・・・・・・・すき」
「な・・・・」
「隙ありっ」
ていっ、と一瞬驚いた顔のサボの隙を突いて攻撃、も。
「・・・・甘い」
すんなりと交わされてしまった。
「ちぇー」
やっぱりサボには敵わないのね、と拗ねてたらサボがくるりと後ろを向いてしまった。
「サボ?・・・・怒った?」
声をかけても返答なし。
これはまずいやつかも。
「サボ、ごめん・・・ごめんね」
サボの顔を見ようとしがみ付いたら、
「捕まえた」
「へ」
あっという間にサボの逞しい腕の中。
「うぐぐぐ・・・・・!!」
「こんなことで俺が怒る訳ないだろ?」
とか言いながら腕の力は結構強い。
「・・・・怒ってるんでしょ?」
「アコには怒ってない」
「じゃあ誰に怒ってるの?」
「不甲斐ない俺に、だよ」
「・・・・・何で?」
今の私の攻撃だって交わせたのに。
「助けられる距離に居たのに助けられなかった」
ぐ、っと胸板に顔を押し付けられたせいでサボの顔は見れない。
・・・・・サボも悔しいんだ。
優しいから。
皆を守りたいって思ってる人だから。
・・・・だから私も皆を守れるように、
サボの負担が軽くなるように強くなりたい。
「私はサボの方が心配。何でも1人で背負おうとするし」
サボの性格故か、参謀総長としての責任か。
・・・・両方だろうけど。
「俺はいいんだ」
「良くない」
私も負けじと力いっぱいに顔を上げた。
譲らない私にサボが私をじっと見つめて沈黙。
それからすぐに、
「だったら俺をアコが監視すればいい」
「え・・・・私がサボを?」
「俺はアコをずっと監視してるから。いい考えだろ?」
「でっでもそれって・・・・・ずっと2人で居るってことに・・・・・なるよ?」
「ああ、そうだな」
サボはあっさりと肯定。
動揺してるのは私だけ!?
「何か問題あるか?」
サボはニコニコ。
「元々俺はアコの監視でずっと側に居るつもりだし」
「そりゃサボはドラゴンさんの命令があるだろうけど!」
「命令なんかされてねェ」
「・・・・・・え」
「俺が1回でもドラゴンさんに言われて、って言ったか?言ってねェよな?」
だ・・・・・・・・・・・騙された!!
いや私が勝手に勘違いしただけだけどサボだって何も言わないから!!
「と・・・・とりあえずそろそろ離してくれないかなサボ君」
「嫌だけど」
さ・・・・さらっと。
「なっなんで!」
「すき」
「隙だらけなのはわかってるよー!!」
「そっちじゃねェよ」
「というかこんなこと好きな子とかにしかしちゃ駄目!」
はあ、とサボが呆れたようなため息を吐いたけど、顔を見れば思いっきり馬鹿にしてる顔なので実際馬鹿にしてるんだろうな。
「アコが俺が監視、って言った時ドラゴンさんから言われてきたって勘違いしたんだろうなってのはわかってた」
「ならその時言ってくれれば・・・・」
どうせ私は馬鹿ですよ!
「言ったら俺を追い返してただろ?」
「・・・・・かもね」
「だから言わなかったんだ。これはチャンスだから」
「チャンス?」
「言っておくが俺は命令されても好きでもない奴の側に四六時中居るのは御免だ」
「そ・・・・・・・・・・そうなの」
「さっきは先に言われたかと思って焦っちまった。これでわかっただろ?俺の気持ちが」
「ご・・・・・・・ご心配おかけして・・・・」
「ああ、何度でも言うからいい。好きだアコ」
「もう1回言おうか?」
平然とした顔で問われて、
「・・・・・・・・・すき」
私は真っ赤な顔で。
ゆっくりと、でもしっかりと答えた。
・・・・やっぱサボには敵わないなぁ。