短編②
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久しぶりに戦闘があった。
戦闘には少し戸惑うけど、
白ひげ海賊団の皆のことは信頼してるし、
「っしゃあ宴だー!!!」
・・・戦闘の後の宴も好き。
料理のし甲斐もあるし。
でも最近の楽しみはもう1つある。
「エース!あった!?」
「ねェよ」
「ないの!?ホントに!?」
「ねェって。そんな簡単に見つかるもんじゃないんだ」
冷たいエースの反応に、
がっくりと肩を落とした。
戦闘の度に期待してしまう。
悪魔の実。
欲しかったのになぁ。
「いい加減諦めろよ」
「嫌だ」
「・・・・アコには俺が居るだろ?」
「それはそれ。これはこれ」
「・・・・お前な」
呆れたようなエースに苦笑して、
「とにかく、私は諦めないからね!」
エースにびしっと宣言した。
・・・・・私は、悪魔の実が欲しい。
売り飛ばしてお金が欲しいんじゃない。
食べたいんだ。
食べて、能力者になって。
・・・・強くなりたい。
強くなってエースを守りたい。
守られるばっかりの自分はもう嫌だから。
「もう売ってるの探した方が早いかな!?」
「高ェぞ」
「・・・・だよね」
売れば基本は1億ベリー。
希少価値が高ければもっと値が上がる。
私にそんなお金はない。
宴の席で申し訳ないけど自然とため息が出る。
「はぁぁ・・・・・・悲しい」
「あのな・・・能力者ってのは海に嫌われるんだぞ、一生泳げなくなるんだ」
「知ってる」
「この間水着買ってたんじゃねェの?」
「うぐ!」
・・・・・・・この間夏島で可愛い水着を発見。
迷わず購入してしまった私。
「楽しみにしてんだけどなァ、アコの水着」
ちらりとエースが私を見た。
「べっ別にお風呂で着てもいいわけだし!」
「じゃあ今度俺と一緒に風呂な」
「へ!?」
「水着着てたら恥ずかしくねェだろ?」
ニヤニヤ顔のエースに思わず想像してしまって、顔が一気に熱くなった。
「恥ずかしい!駄目!」
「じゃあいつ着るんだよ、水着」
「ナースさんとのお風呂の時」
ちぇ、とエースが舌打ちをした。
「そもそも悪魔の実って言ったって色々あるんだぜ?何でもいいのかよ?」
「上手く使いこなせればきっと・・・!ゴムだってそうだったでしょ!?」
「ルフィだって使いこなすのに何年とかかってんだ、わかってねェだろ」
・・・・真面目な顔でエースが私を諭す。
・・・・わかってる。
一朝一夕で強くなれることなんてない。
それでも、私は。
「どんなに頑張ってもエースみたいに強くなれるとは思ってないよ。でも強くなることを諦めないから」
「何でそんなに強くなりてェんだよ」
「・・・守られるだけが嫌だから」
守る強さを持ってるエースにはきっとわからない。
「気持ちはわからない訳じゃねェけどよ。俺に守られることが不満なんじゃねェよな?」
「エースが守ってくれるのは嬉しい。だから私もエースを守りたいの」
おこがましいかもしれないけど、
守り合いたい。
恋人だから。
「・・・アコ」
少し怒ったように眉を顰めたエースの顔が近づいて、
ちゅ、と軽い口づけ。
「・・・・駄目?」
「俺はアコが傷つくとこなんか見たくねェんだよ」
耳元で低く囁かれた。
ドキッとしたけど、
これはエースが私に言い聞かせる時の常套手段。
「私だってエースが傷つくとこ見たくない」
「俺は簡単に傷ついたりしねェ」
「わかってるけど・・・・っ」
私だって簡単に諦めきれない。
「気持ちだけで十分だ、アコ。な?」
「・・・エースの馬鹿」
わかってくれないエースにそう吐き捨てて、
何だか気まずい空気になってしまった。
そんなことがあってから、数日後。
私はサッチさんからとんでもないことを聞いた。
「エースエースエースっ」
「・・・・サッチから聞いたんだな?」
エースの部屋に飛び込んだら、エースが嫌な顔で出迎えた。
「だって!!・・・・・あったんでしょ?」
今日は小さい船と一戦を交えた。
でも本当に小さくて勝負にもならないくらいだったから期待してなかったのに。
しかも・・・しかも!
「ああ、俺が見つけた」
エースが見つけた!
「お願い、私に食べさせて」
「駄目だ」
「・・・・エース、お願い」
「何の実かもわかんねェんだぞ。あれは売る」
「そこを何とか!何でもするから!」
この機会を無駄にしたくない。
「売った金で好きな物何でも買ってやるから、諦めろ」
必死に訴える私にエースは冷たい。
「じゃあそのお金で買い戻す!」
「そんなこと俺がさせねェ」
そう言ってエースが私を腕に閉じ込めた。
「・・・離してエース」
「嫌だ」
「・・・エース」
「悪魔の実ってのはな。・・・すげェ不味いんだぜ」
「頑張って食べる」
「海からも嫌われる」
「知ってる」
「アコがそんな思いをすることねェだろ・・・」
エースの気持ちは嬉しい。でも、
「エースが戦ってるのを見てるだけなのは辛いんだよ、私」
側に居たい。守りたい。戦ってる時でも。
「じゃあアコが安心して見ていられるように俺が強くなりゃいいんだな?」
「・・・・何でそうなるかな」
落胆を隠せず呟くと、
身体が少し離れた。
そしてエースはいつもの笑みで、
「俺はアコが好きだ」
・・・そんなことを言う。
「私も、好き」
だから守り合いたい。
「アコが笑ってるだけで俺は守られてんだよ、アコに」
「・・・・意味わかんない」
「アコの笑顔の為に絶対死なねェし、傷1つ負ったら笑顔なくなっちまうもんな」
「・・・・でも」
「アコの水着姿も見たいしよ」
「って、ちょっと」
しし、と笑ったエースに込み上げてくるあたたかいもの。
うーん、今回もほだされそう。
「とにかく、俺はいつもアコに守られてんだ。だから俺もアコを守る。それでいいだろ?」
「・・・・私、エースを守ってる?」
「あァ」
エースは満足そうな笑みで私の額にちゅ。
次に頬に、ちゅ。
「・・・くすぐったい」
「その顔も好きだ」
そして、
「ん」
唇。
「な、アコ。諦めてくれよ」
「・・・島に着いたら美味しいご飯」
「ああ、デザートもな」
「可愛い服とか」
「アクセサリーも、だろ?」
「・・・・・全部いらない」
「え、いらねェの?」
「エースが側に居てくれるだけでいい」
私はずっと、貴方の側で笑うから。