短編②
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シャンクスと両想いになって、
私がここに残ると決めてだいぶ時間が過ぎた。
慣れて来たとはいえ、まだまだ知らないこともあるけど。
でもシャンクスや皆が優しいから。
・・・・居心地がいいから。
私は幸せだなぁと思う。
シャンクスとも上手くやれてると思う。
でもそれに気づいたのはつい最近。
シャンクスがたまに私の部屋に来て、
『さ、寝るか』
と何食わぬ顔で私の部屋に来ては一緒に寝ることがある。
最初は気にしてなかったんだけど。
・・・・私はそれに気づいた。
シャンクスが私の部屋に来るのは、
一緒に寝るのは。
満月の日だったってことに。
もしかしてシャンクス私が帰るんじゃないかって心配してたりして。
あり得るなぁ・・・私のことに関しては過保護だし。
月はシャンクスと見るって言ったのに。
っていうかさ、もう少し私のこと信用してくれてもいいと思うんだけど。
嬉しいけど複雑。
「アコ、もうすぐ着くそうだ」
「あ、ほんと?」
今日は島に着くっていうんで楽しみだ。
「じゃあお昼ご飯は外だね!楽しみ!」
「ああ、たくさん飲むぞ」
「・・・・・程々にね」
言いながら私からシャンクスと手を繋いだ。
「お。・・・・珍しいな」
「たまにはね。行こ?」
「何だ、欲しいモンでもあるのか?」
「・・・シャンクス私のこと何だと思ってるのさ」
「だっはっは、すまん。アコはそんな回りくどいことをする女じゃなかったな!」
「そうだとも!そんな面倒なことしないね」
媚びを売ったり機嫌を窺ったり、そんなことする暇があるなら『あれが欲しい』と口にした方が早いし、
何よりしたところで美人のお姉さんでもない私には意味がないからね。
「そういうところも可愛い」
「・・・シャンクスって可愛いの大安売り好きだよね」
「アコ限定で毎日24時間大セールだ」
もう何度シャンクスに可愛いと言われただろう。
もう何度シャンクスに好きだ、愛してると言われただろう。
・・・・・・・・あれ。
考えてみれば私シャンクスにカッコイイよ、とか。
・・・・ましてや好きだよ、ってあんまり言ってない気がしてきたよ?
だからか!!
だからシャンクスは満月の度に私の部屋に来るのか!?
そういうことか!!
謎はすべて解けた!
「どうかしたか?アコ」
「・・・・・・しゃっ」
「しゃ?」
・・・・・・・・・そうだよ言えばいいんだよ。
シャンクスカッコイイよ、大好きって。
前も言われたがってたし、
言った時にものすごく喜んだじゃないか。
・・・・言えば、いいって。
わかってるんだけど。
「・・・・・シャンクス、ってさ」
「ああ、何だ?」
「・・・・・・・・・・・・・好き。だよねお酒」
「好きだな」
って違う!!そんなことが言いたいんじゃない!
そんなことは前から知ってるんだよ!!
じゃなくて!!
案の定シャンクスもきょとんだよ!
「す・・・・・・っ好き・・・・・」
「ん?」
「お酒と私どっちが好き!?」
勢い余って何言ってるんだ私!!
シャンクスは私を見てにーっこり微笑んだ後、
私の頬にちゅ、と軽く唇を落とした。
「勿論アコに決まってるさ。そんなことが気になってたのか?可愛いな、アコは」
可愛い可愛いと言いながら今度は唇同士でのキス。
「ん・・・・・」
・・・・・・駄目だ。
いざ言おうとすると恥ずかしさが勝って言えない私の性格。
何てこと!
「で、姫のご所望は?」
「美味しいお昼ご飯で」
「任せておけ」
「お任せしました!」
・・・・・熱い顔で、
私は今日中にシャンクスに好きだと伝える覚悟を決めた。
「ん!うまー!!」
・・・・・とはいえ、今更突然好きだよ、とも言えないし。
「美味いなァ、ここの酒」
酒かい!
「お肉も美味しいよ。この味付けすごい好き」
・・・お肉になら好きって言えるんだけど。
ここでシャンクスも好きって言ったらついでみたいで嫌だよねさすがに。
「ねえねえデザートも食べていい?」
「俺ももらおうか」
「へぇ、珍しいね。甘いの食べないのに」
「とびっきり甘いやつだ」
「何々!?」
「アコ」
「・・・おぅ、私は食べ物じゃないよシャンクス」
何だか嬉しそうにしてるから何かと思えば。
「だっはっは!」
「それで、食べていいの?デザート」
「勿論だ、好きなのをいくらでも頼めばいい」
「やった!有難うシャンクス!・・・・・っだいすき」
よし頑張った!私頑張った!
・・・・のに、
「知ってるさ、アコは甘いのが大好きだもんなァ」
・・・・・そっちじゃないんだってば。
がっくし。
・・・シャンクスは、無理して言わなくていいってきっと言うだろうけど。
恋愛なんだもん、受け身なだけじゃ駄目なんだと思う。
「ご馳走さまでしたっ!あーお腹いっぱい」
「アコ、俺はまだデザートを食ってないんだが?」
歩きながらシャンクスがニヤニヤ。
「・・・・・ここでは嫌だよ」
素直に断ったら軽い舌打ちが聞こえた。
・・・喜ばせたいのになぁ。
「この後は買い物でもするか、酒を買おう」
「ん、いいよ。その後どうするの?」
「アコはどうしたい?」
・・・・シャンクスはいつも私の気持ちを優先してくれる。
「・・・・夕日でも見る?久しぶりに」
「デートの締めくくりにはぴったりだ。そうしよう」
・・・・デートの締めくくりに、ね。
そうだよ。あの時だってそうした。
そこでいい雰囲気になれば!!
・・・・・・・・と思った私が馬鹿でした。
「美味しい?」
「最高に美味い」
何で夕日見ながら酒飲んでんのこの人!
まあそれがシャンクスなんだけど!
・・・・・そう、これがシャンクス。
・・・・・・・無理にロマンチックとか、
好きとかカッコイイとか言ったって。
シャンクスは嬉しくない、かも。
大事なのは私らしく。
だよね!
「ねえ、シャンクス」
「ん?」
「・・・・お酒臭いキス、してもいいよ。今なら」
私の言葉にシャンクスは目を細めて、
「そりゃ有難い」
とすぐに唇が重なった。
少しだけ深い、キス。
「・・・っていうかいつもお酒臭いんだよシャンクスは」
「それについては反論はしねェ」
「でも酒臭いシャンクスが好き」
真っ直ぐに、シャンクスを見つめた。
「皆と楽しそうにお酒飲んで、いつも私を守ってくれるシャンクスはカッコイイと思うよマジで」
「ははっ、そうか!」
「だから」
きゅ、と腕を掴んだ。
「好きだから。ずっと側に居るから。絶対」
「・・・・嬉しいことを言ってくれる」
「たぶん満月は1週間後なんだよシャンクス」
「ああ」
「だから次の満月は・・・一緒にお月見しよ。今日買ったお酒で」
「楽しみだな・・・・最高の夜になる」
「不安ならいつでも側に居る。だから言って。私はシャンクスの隣に、ずっと居る」
「・・・・その言葉だけで十分だ」
そのままぐっと抱き寄せられて、
再びお酒臭いキスをした。
何度も、
何度も。
満月の夜も、
そうでない夜も。
お酒の匂い。
シャンクスの匂いに、
酔いながら。