短編②
夢小説設定
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「何か負けてると思うんですよね・・・色々と」
料理中にため息が漏れて、サッチさんに問い詰められたので白状中。
嵐の夕飯が終わった後のお茶をごくりを飲み干した。
「色々って?」
「主に冒険と肉と父さんに」
エースと両思いになって数ヶ月。
愛されてない訳じゃない。
・・・・・・・それはわかってる。
でも何かちょっと寂しい。
「最後のは仕方ないんじゃねーの?」
「そう・・・・・だけど。じゃあ冒険と肉は!」
「冒険もまぁ、我慢してやれ。海賊だからな」
「じゃあ肉は!?」
「・・・・・・・・肉もほら、エースだから。仕方ないっしょ」
「・・・・・・・・それって何か」
すっごい悲しい。
すっごいむかつく。
「父さんと冒険はともかく肉に負ける女って何ですか!」
「いや、それ俺に言われても・・・エースに言った方が」
「言えたら苦労はしませんて」
乙女心は複雑なんですよ。
言ったら嫌われるかも、とか。
「じゃあエースより好きなもの作ったら?」
「・・・・・・・・・エースより好きなもの?」
「要はエースにも同じ思いさせたらいいじゃんってこと」
「・・・・・・・・なるほど!」
その手があったか!
エースと居る時に私がエースより夢中になってるものがあったらエースも妬いてくれるかも!
「・・・・・・ってそれ解決になってませんよね」
「それを足がかりにして自分の気持ち言ってみればいいんじゃねーの?」
「サッチさんさすがー!!」
よっし、早速実行してみよう!
でもって言おう。
せめてお肉よりは私のこと好きだよね・・・って!!
・・・・・・・・・・・だ、大丈夫だよね?
お肉よりは好きだって言ってくれるよね!?
明日、船は島に着く。
いつもならそろそろエースが来る頃。
明日一緒に見て回ろうぜ、って。
私は今本を読んでいる。
・・・・・・・エースが来ても、
エースの方を見ない覚悟を決めた。
そしてすぐにコンコン、とノック音
来た・・・・!
「なぁアコ、明日島に着くらしいぜ」
私の返事も聞かないで入ってきたエースは真っ先にそう言った。
つい振り向きたくなるけど我慢。
視線は本に向けたまま、
「うん、知ってるよー」
「一緒に行くよな?」
「うん、行こ」
・・・・平然と返事をしながら、
視線めっちゃ泳いでるのが自分でわかる。
だって見たい。
今エースがどんな顔してるのか。
でも我慢・・・・!
「・・・・・・・・・なァ」
「んー?」
「何でこっち見ねェんだよ」
エースの不機嫌な声。
「・・・・・・今本読んでるから」
「・・・・・・・・・・こっち見ろよ」
「今いいとこなの、ごめんね」
全然いいとこじゃないけどね。
っていうかどんな話かすら頭に入って来てないけどね!
あとはエースが怒ったら、
私も実は・・・って話しを、
「うぇ!?」
いきなり首がぐるんと回された。
え、痛い痛いっ、死ぬ!
「な、」
何、と言う前に塞がれた唇。
「・・・・・・・・・本より、俺を見ろよ」
超と言ってもいい程の近い距離で。
エースが言った。
その顔がものすごくカッコ良くて。
「・・・・・・・・・・・・・はい」
ただ呆然と、一言呟いていた。
・・・・・・・・カッコいい。
「よし。じゃ、明日迎えに来るな」
「あ、うん。・・・・・じゃなくて!」
ついぼーっと魅入ってしまって、
慌ててそうじゃないと気づく。
「ん?」
「私は本よりエースが好き」
「ああ、サンキュ」
「・・・・・・・・・エースは、好き?」
「え?」
「お肉より私のこと好き?」
気がついたら口からすっと出てた。
エースは一瞬ぽかん、として。
「当たり前だろ?」
すぐに笑った。
「ほんと?」
「はははっ、そんなこと気にする必要ねェだろ?」
「じゃあ冒険よりは?」
「アコと一緒だから楽しいんだよ、冒険は」
そう言ってエースは、
私の額に優しく唇を落とした。
「置いていったり・・・・・しない?」
「しない。不安か?」
「・・・・・・・・・ちょっとだけ。置いてかれたら追いかけるけど」
それでも追いつける自信、ないから。
「不安になったら、いつでも手出せよ」
「手?」
「ほら」
ほら、と言って差出されたエースの大きい手。
「いつでも繋いでやるよ」
な?と笑いかけてくれたエースに、
何だかお肉とか冒険相手にライバル心燃やしてた自分が馬鹿みたいに思えてきた。
「・・・・・・・・・うん」
そっと手を重ねたら、
今までのいろんな不安は全部、
幸せに変わった。