短編②
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「ぎゃー!!やめてくださいっ!!」
「照れてんのか?可愛いなァアコ」
「モップっ!モップがっ落ちますっ」
甲板で掃除中にいきなり片腕に抱きしめられた。
でもこんなのは日常茶飯事で。
「うひゃっ」
ほっぺにちゅう。
「ん、今日も可愛い」
「おかしらっ!!」
叫んで抵抗してみても、お頭の腕の力が緩むことはなく、
満足そうに微笑むだけ。
皆は愛されてんなーなんて呑気に笑ってて助けてくれないし。
はあ、とため息がこぼれたら、
「何だ、嫌なのか?お頭のスキンシップ」
「スキンシップなんて可愛いもんじゃないですよ・・・・」
ヤソップさんに愚痴をこぼしてみるけど、
カラカラと笑うだけだもんなあ。
誰か1人くらい真剣に相談に乗ってくれたっていいのに。
「そりゃあ愛だ」
「愛?」
「お頭はお前に惚れてんだよ」
「・・・・・・でも」
「じゃあお頭がお前さん以外の女追っかけてたらどう思う?」
「それは嫌。・・・・・です」
想像したらいらっとした。
お頭の情けない顔とか、
・・・・嬉しそうな顔とか。
それが私以外の女の人に向けられるなんて。
「なら逃げないで受け入れてみろって。お頭も喜ぶだろうし、自分の気持ちにも気づくかもしれないぜ」
「・・・・・・・・・うーん」
よくわからない。
・・・・・・・お頭の目が他の人に向けられるのは嫌。
でも・・・・・・・もっと嫌なことがある。
それは、もしかして。
・・・・・・これが、もしかして。
好き。
・・・・・・っていうことかもしれない。
ヤソップさんの助言通り今度は逃げないでいてみようと思った。
(その助言が真剣でなくても)
「おふぁようございます・・・・・」
色々考えて昨日はあんまり眠れなかった。
でもヤソップさんの助言通りに今日はしてみよう、と気合いを入れて食堂に来たら、
まだ半分しか開いてない目をこすった瞬間、
ぐい、といきなり腰に手が当てられ、すごい力で引っ張られて目はぱっちり。
「なっ、・・・・・・お頭」
驚いて見てみたら、目の前に不敵な笑みのお頭。
「おはよーさん。眠そうだな」
そう言って、
「あ、っ」
ちゅ、と。
額にキス。
抱きしめられたままの形。
・・・・・・・ものすっごく恥ずかしい。
逃げたい。
や、でも逃げない。
頑張れ私。
「・・・・・・・・・お?」
「お頭・・・・はよく眠れたみたいですね」
「いや、そうでもねェんだ。アコが居ないと寝れねェからな」
「そう・・・・ですか」
どきどきどきどきどきどきどき。
心臓の音が大きくて、
うるさくて。
頭は真っ白。
ああ、もういいや。
もう逃げよう。
早く逃げなきゃ、そう思うのに今日は身体が動かない。
「・・・・・・アコ?どうした?」
「な・・・何が・・・でしょうか」
「いや、何か様子が・・・」
「お・・・・お頭」
「ん?」
「私・・・・倒れそうです」
「は!?」
ぷつん、と。
何かが切れた音がして。
そこで私の意識は途切れた。
ヤソップさんは自分の気持ちに気づくかも、って言ってたけど。
・・・・少しだけ、わかったことはある。
「・・・・・・・・・あ、れ」
ふ、と目を覚ますとどあっぷのお頭の顔が見えた。
「うわああ!?」
「大丈夫か?」
「・・・・・・・おおおおおかし、おかしらっ!?」
あ、ここ私の部屋のベッドだ。
・・・・・・・・あれ?
「おう。気分はどうだ?」
気分?・・・・言われてみたら、
「・・・・・・お腹、すきました」
「朝飯まだだったからな。・・・・悪かった、調子に乗りすぎたな」
優しく頭を撫でてくれるお頭にちょっと泣きそう。
「・・・・・・・ごめんなさい。頑張ろうと思ったんですけど」
「無理はしなくていい。嫌なら今までどおり逃げてくれ」
なんて苦笑しながら言うお頭は何処か寂しそうな気がした。
「私・・・気づいたんですけど」
「気づいた?何に」
「お頭のスキンシップ。恥ずかしいけど・・・嫌じゃないんです」
「・・・・そうか」
「でももしお頭が同じことを他の女の人にしてたら嫌です。・・・・でも、本当に嫌なのは」
想像したくない未来がある。
それは、
「他の女の人がお頭の隣に立つこと」
「・・・・・・・はははっ、そうか!」
「お頭の隣に立ってるのは私でありたいです」
どんな時も。
「心配しなくても、そのつもりだ」
「・・・・・・・ほんとですか?」
「ああ。絶対だ」
良かった、とほっとした時。
「しかしアコ・・・嫌じゃない、と言ったな?」
「あ」
・・・・・・・・・・言わなきゃ良かった。
やっぱりスキンシップは、苦手です。