短編②
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『俺と結婚して下さい』
エースのプロポーズを受けて、
私とエースは結婚することになった。
高校で出会った私たちはもう社会人で、
エースも立派な白ひげ株式会社の社員。
・・・・・・・問題はない、はず。
「がっ、頑張ってエース!」
「お・・・おう!」
第1の壁。
両親への挨拶。
まず、エースが私の両親に。
「お邪魔します!」
深々とお辞儀して、エースが私の家に入る。
和室で待ち構える両親に、
「・・・・・エース君、です」
まず私が紹介。
「エース君、ね。大事な話って連れてきたっていうことはそういうことなの、アコ?」
「・・・・・・うん」
それ以上何言っていいかわからない私の隣で、
エースは、
「失礼します」
そう言ってすっと両親の前に座った。
「まどろっこしい話は苦手なんで、言わせて頂きます。アコさんと結婚させて下さい」
真っ直ぐに、お父さんを見据えるエース。
「・・・ならこっちも単刀直入に聞かせてもらうよエース君、収入の面は?」
「給料明細書持ってきました」
え、持ってきてるの?
エースは堂々と明細書を見せた。
「お酒と博打はどうなんだね」
「酒は大好きです。博打はしません」
「うちの娘でいいのかね?」
「勿論」
・・・・・・・・・エースが、カッコいい。
改めて思った。
それからトントンと話は進んで、
お酒好きなお父さんとエースは意気投合。
一緒に夕飯を食べて、始終和やかだった。
無事に結婚の承諾ももらえた。
・・・・・・・そして、次の壁。
今度は私がエースのご家族にご挨拶。
「が・・・・・・頑張るっ」
「まァ、うちのおふくろは話しわかる方だから大丈夫だ」
「今日お父様は?」
「居ねェ。おふくろだけだ」
「そ・・・・・そっか」
緊張MAX。
・・・・・・でも、エースは頑張ってくれた。
私も頑張らないと!
「お邪魔しますっ!」
初めて会うエースのお母様はとっても綺麗な人で、驚いた。
「いらっしゃい、アコさん」
とてもにこやかに出迎えてくれて、
少しほっとした。
・・・・・・・けど、
「俺達結婚する」
エースがそう言ったら、
お母様(ルージュさん)は一瞬目を丸くして、
でも目を細めて愛しそうに微笑んだ。
・・・・・・・そして、
「アコさん、お料理は?」
「え?・・・・・・人並み、です」
いきなりの質問に驚いたら、
「じゃあ今日の夕飯を作って頂こうかしら。うちにあるものを使って」
「・・・・・・・・・・・・・ええ、っと!?」
更に驚かされた。
・・・・・・・・何ということに。
「おい、おふくろ」
「エースは黙ってなさい」
ルージュさんはエースにぴしゃりと言って、
私の方に向き直った。
「どうかしら、アコさん」
「・・・・御気持ち、よくわかります。お話、お受け致します」
食べることが大好きなエースのことを考えれば、
料理が上手なお嫁さんを、と思う気持ちもわかる。
それに、エースは私の両親に真摯に向き合ってくれた。
・・・・・・・・だから、私も。
「大事なお嬢さんに怪我をさせる訳にはいかないし、わからないこともあるでしょうから私はここで見てるわね」
・・・・・・・つまり見張ってるわよ、と。
「この家にあるものなら何でも使っていいんですか?」
「ええ」
承諾を得て冷蔵庫を見せてもらった。
「・・・・・・・・・お台所、お借りしますね」
「アコ、大丈夫か?」
「・・・・・やるだけのことは、やってみる」
さて、と。
私は袖をまくった。
話しがわかる方だから、と言っておいたのにこのザマだ。
・・・・・・・・アコ、大丈夫か。
今までアコの料理は食ったことがない。
だからどれだけ出来るのかも知らねェ。
・・・・・・・・・心配になって、おふくろが見張ってるとこの隣に立ったら、
おふくろに睨まれた。
「駄目よエース、座ってなさい」
「アコは俺の女だ」
「・・・・・・・・・あら」
くす、と笑うおふくろを無視してアコを見る。
トントントン、と小気味良い音が響く。
見事な包丁捌き。
「料理、慣れてるみたいね」
「・・・・・・・・みてェだな」
知らなかった。
「動きにも無駄がない。これで味が良ければ文句なしね」
「・・・・・楽しそうだなおふくろ」
「楽しいわよ。あなたのお嫁さん、とっても素敵」
「・・・・・当たり前だろ」
俺が選んだんだからな。
「どうぞ、お召し上がり下さい・・・!」
何とか、出来た。
「オムレツに焼き魚、それにサラダ・・・」
「です」
どれも割りと上手く出来たと思う。
「サンキュアコ。・・・いただきます!」
「いただきます」
2人とも丁寧にご挨拶をして、
ほぼ2人同時にオムレツをぱくり。
「美味ェ!」
まず声があがったのは、エース。
・・・・・・・・・ルージュさん、は。
「ええ、とても美味しい」
「っ、有り難う御座います!」
やった、褒められた!
「試すようなことしてごめんなさいね、アコさん。合格よ」
「ほっ、ほんとですか!?」
「ええ。それからエース、あなたも」
「・・・・・俺も?」
「お嫁さんを守れないようじゃ結婚する資格なんかないもの。・・・・ね、アコさん?」
ぱちん、とウィンク。
・・・・・・なんて素敵なお母様・・・!!
「エースをよろしくね、アコさん」
「こっ、こちらこそ・・・!」
「ごめんな、アコ」
「ううん、素敵なお母様で良かった」
「そっか。俺もアコの飯食えて良かった」
エースが私を家まで送ってくれる帰り道。
「アコ」
「ん?」
そ、っと抱きしめられた。
「幸せにする」
「・・・・うん。幸せにしてもらう」
「あァ、任せろ」
この後は、
幸せだけじゃないかもしれない。
それでも、
幸せ。