短編②
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「明日も仕事、ね」
『・・・・・・・・・・・悪い』
もう聞き慣れた、シャンクスの『悪い』。
「来週の土曜日、は?」
恐る恐る聞いてみれば、
『・・・・・・・・どう、だろうな』
曖昧な返事が返って来た。
これは、駄目ってこと。
「・・・・・・・・・・・・・・わかった」
『・・・・・すまない』
「もう、いいよ。・・・・もう疲れた」
『・・・・・・・嫌になったか?』
電話越しに聞こえるシャンクスの声は呆れてるようで。
でも私だって、もう気力はない。
「ごめんね。シャンクスが1番大変なのもわかってるんだけど」
『・・・・・・・・・いや』
「もう駄目かも」
本当はこんなこと言いたくない。
でも、
「ごめんねシャンクス。・・・・別れて」
言わないと私が潰れちゃう。
『本気かアコ・・・?』
「・・・・・・・・・うん」
次は、次こそは。
今度の日曜日、
来週の土曜日なら。
そんな話が続いて2ヶ月。
・・・・・・・・・ずっと会えてない。
もう期待することに疲れちゃった。
『寂しい思いをさせていることはすまないと思っている。・・・・が、それは出来ない』
「シャンクスは私に会えなくても平気なんでしょ?」
『そんなことは、』
「もういい」
そう言って、一方的に電話を切った。
・・・・・・・・あーあ。
もうずっとこんな感じだった。
会社が大変、
取引先から突然連絡が、と言ってデートをキャンセルされたことはもう数え切れない。
仕方ないことだとは思う。
支えなきゃいけないと思う。
でも私には待つことしか出来なくて。
・・・・・・・・・・・それすらもう疲れてしまった。
でも電話を切って少し冷静になってみると、
悪いことしちゃったなと思う。
別れたい気持ちは変わらないけど。
出来ることなら謝りたいし、
話し合いたい。
このまま終わりたくない。
でも難しいんだろうなあ。
そう思ったら、何だか涙が出来て、ちょっとだけ泣いた。
お水を一杯飲んで、深い深呼吸。
・・・・・もう寝よう。
寝れるかわかんないけど、1回寝て明日全部考えよう。
決心して電気を消した瞬間、
静かな部屋にガチャ、と音が響いた。
・・・・・・・な、に?
ガチャガチャ!と再び音がした後、
ばたん、とドアが開いた。
「やっ、」
思わず悲鳴を上げそうになって、
止めた。
「しゃん・・・・・・・くす?」
そういえば合鍵、渡してたんだった・・・・。
「・・・・・・・・アコ・・・っ、会いたかった」
息を切らしながら部屋に入ってきたシャンクスは、
私の姿を確認するなり私を抱きしめた。
・・・・・・・・私も、
会いたかった。
・・・・・・・・・・・なのに、
苦しい。
「なん、で」
「話しを・・・・したいと思ってな」
「私も・・・・さっきのこと、ごめん」
「いや、謝るのは俺の方だ」
「でも・・・・・私の気持ち、変わらないから」
すごく胸が苦しくて、
それでも真剣に伝えたのに。
シャンクスが笑った。
「ははっ、そうだろうな」
「・・・・・・・・・・今の笑うとこ?」
「変わらねェな、と思ってな。アコの頑固なとこ」
久しぶりのシャンクスのぬくもり。
久しぶりのシャンクスの、本当の声。
・・・・・・・・駄目。
気持ちが、変わっちゃいそう。
「だってもう・・・・疲れた」
疲れたけど、まだ好きで。
でももう、駄目なのも本当で。
・・・・・・・・ぐちゃぐちゃで、どうしたらいいかわかんない。
「俺のことを嫌いになったか?」
「いきなり核心突かないでよ・・・」
「聞かせてくれないか?アコの気持ちを」
シャンクスはあくまで優しく微笑んでる。
でも声はとても切ない。
「好きだよ。嫌いになんてなる訳ない」
「ずっと好きだ、と言ってくれたな」
告白は私から。
『ずっと好きでした!もし駄目でも諦めません、ずっと好きだから』
「嘘じゃない。・・・・・好き、だよ」
昔も、今も。
「なら別れる必要はないな?」
唐突に、シャンクスの顔が不敵な笑みに変わった。
・・・・・・・・・・いや、あの、あれ?
「いや、でもね?なかなか会えないの辛いし」
寂しいし。
それで悩んでるんですけどねこっちは。
「問題はそれだな?」
「え、あ、はい」
「なら一緒に住めばいい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
「それなら少なくとも夜と朝は居られる」
「・・・・・いやいや、え?」
何言い出すの突然。
呆然とする私にシャンクスはやっぱり笑う。
「あとこれを言うのはどうかと思ったが・・・・言わせてもらう」
「な・・・・何?」
「今の仕事を辞めてくれ」
「え」
「そしてうちの秘書になればいい」
「・・・・・・・・・そ、そんな無茶苦茶な」
苦笑いを返せば、ちゅ、と額に唇が降りてきた。
・・・・・・・・ああ、こんなのも久しぶり。
「だがそうすれば問題は解決だろう?」
「・・・・・・そう、だけど」
「俺だって・・・・会いたいんだ」
「・・・・・・・・・うん」
「それと・・・・俺もずっと好きだから、諦めない」
「うん・・・・っ」
「・・・・・・・一緒に暮らして、くれるか?」
ぽろ、とまた涙が零れた。
「・・・・・・いっしょに、居たい」
「俺と結婚してくれるか?」
「うん・・・・・・・・・・・・・・って、え?」
流れで頷いてから、空耳かと思った。
「言質は取らせてもらった」
「・・・・・・・・・・・シャンクス?」
「別れはなし、だなアコ?」
「でも・・・・いいの?」
「寂しい思いはこれからもさせちまうだろうがな・・・離す気はねェんだ、こっちも」
別れ話が一点、結婚になってしまった訳ですが。
幸せに、なれそうです。
(素直が1番?)