短編②
夢小説設定
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「お頭が風邪?」
「だ、そうだ」
今日は珍しくお頭の姿を見ないのでヤソップさんに聞いてみたら、
楽しそうに風邪だと答えた。
「二日酔いじゃなくて、ですか?」
「船医曰く、な。だいぶ弱ってるぜありゃ」
「・・・・・・・・そんな」
お頭がそんな状態にあるなんて。
「写真撮らなきゃ・・・・!!」
「ぶははっ、よく言った!」
「って言ってる場合じゃないですよね。私ちょっと様子見て来ます」
「襲われるなよアコー?」
「・・・・・・いやいや、病人ですよ?」
「ま、気をつけるこったな」
「・・・・・・はーい」
ヤソップさんからの助言を軽く流しつつ、
お頭の部屋に向かった。
お頭が風邪で弱ってるなんて!
なかなか見られない姿!
ちょっとだけ楽しみと、
不安。
ドキドキしながら、
お頭の部屋のドアを叩いた。
「お頭、失礼しますよー」
小さい声で挨拶して入ると、
お頭はベッドに横になっていて、
力なく片手を上げた。
「おーアコ・・・・・」
「・・・・・・・・・大丈夫ですか?薬飲みました?」
これは想像以上に重症なのかもしれない。
ちょっと本気で心配になってきた。
「あァ・・・・寝てりゃ良くなる」
「・・・・・・・・飲んだんですよね?薬」
ちら、とベッドの横にあるお皿と、
そのお皿に乗った錠剤。
そして水を見る。
「まだ飲んでねェんだ」
「駄目じゃないですか早く飲まないと!」
「飲ませてくれるんだろ?アコが口移しで」
「・・・・・・・・はい?」
「そうすりゃすぐに治る」
に、といつもより少しだけ弱弱しい笑み。
・・・・・でも、
「元気ありそうで何よりです」
「せめてほら、お粥あーん、とかよ」
「お粥ありません」
「じゃあ添い寝してくれ」
・・・・・あれ、この人本当に風邪?
「お頭本当に風邪ひいてます?」
思わず出た言葉にお頭は苦笑して、
「熱はあるぞ。確かめてみるか?」
と、掠れた声で言うので。
・・・・・・・少し考えた末にお頭の額に手を当てた。
「・・・・・・熱い、ですね」
「そんなんじゃわからんだろ」
「え?」
瞬間、お頭の片腕が私の首の後ろに回された、と思ったら。
こつん、
私の額と、お頭の額がぶつかった音がした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・熱い、です」
「な」
近い顔。
心臓がどっくんどくん暴れだした。
「お・・・・お頭」
必死に声を出したら、私も声が掠れた。
「おっと、風邪移しちまうな」
そう言って離された腕に、
慌ててベッドから離れた。
・・・・・・・・顔が熱い。
お頭の熱が移った、みたいに。
「・・・・・どうした?」
「え、あ、」
「移しちまったか?」
深く深呼吸をして、
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせた。
「こんなすぐ移りませんよ・・・・!」
「そうか?なら良いが」
「それより薬!飲んで下さいよ」
そう、薬。
飲ませないと。
「心配しすぎだ、んなもん飲まなくても寝てりゃ治るってさっき言っただろう?」
「でも」
「口移しじゃなきゃ俺は飲まない」
く・・・・っ!!
こうなったら!
「お頭、とりあえず座って下さい」
「お?」
お頭は私に言われた通りベッドに座った。
私はお頭に向かってにっこり笑った。
「シャンクス、お願いだからお口開けて?」
私の言葉にお頭はぱちぱちと瞬きをして、
すぐに口を開けた。
すかさずそこに薬を放り込む。
自然と閉じた口にお水の入ったコップを当てて、
「はい、ごっくん」
私の言葉とほぼ同時にお頭の喉がごくりと鳴った。
「・・・・・・・・・・俺としたことが」
お頭は非常に残念そうに頭を抱えた。
いやいや、そんな落ち込むことじゃないですけど!?
「はい、じゃあ横になって下さい」
「・・・・・・・・・有り得ねェ」
「お頭?」
「せっかくのチャンスだったんだがな・・・・」
遠い目をして呟く、お頭。
「・・・・・・・・・・・・お頭。目、閉じて下さい」
「ん?目?」
「両目、ちゃんと、ですよ」
「・・・・・・・・・・わかった」
お頭がちゃんと両目を閉じたのを確認して、
「・・・・・・・・いいこ、いいこ」
頭を、撫でた。
「・・・・・・・・そう来たか」
ぱっと目を開けたお頭の、嬉しそうな顔。
・・・・・・・恥ずかしくなってきた。
「おかげで明日には治りそうだ、ありがとなアコ」
「・・・・・いえ」
「でもなァ、添い寝はしてくれるんだろ?」
「しません!!」
これ以上恥ずかしいことしてたまるか!
即答した私に舌打ちしたお頭は再びベッドに横になった。
「・・・・・・・添い寝は、しませんけど」
「けど?」
「寝付くまで・・・・側に居ますから」
それで勘弁して下さい、って言ったら。
お頭は安心したように笑って目を閉じた。
次の日、
しっかりと元気なお頭が居ましたとさ。
・・・・・・あ、写真撮っておくの忘れてた。