短編②
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大学の中では至って普通。
いやむしろ普通より下なんじゃないかっていうくらい地味な私が。
大学の中ではかなりモテる、
ポートガスDエース氏に告白されてしまった。
「好きだアコ・・・・っ」
それも、大真面目な顔で。
・・・・・・あれこれ夢?
夢でもいいか幸せだもの!!
「私も好き・・・・!」
まるで漫画のヒロインになった気分。
と思っていた帰り道で、
「手・・・繋いでいいか?」
顔を真っ赤にした彼がおずおずと手を差し出す。
「・・・ん」
私もそっと手を出したらゆっくりと優しく繋いでくれた。
何これどこの乙女ゲームですか。
漫画のヒロインじゃなかった私乙女ゲームのヒロインだった!!
会話の選択肢間違えないようにしないと!
星だかポイントだか好感度ばんばん出しまくって上げまくっていかないと!!
は!!
もしかして試されてるのは今!?
今なのね!?
きっと今目の前に、
『話しかけてくれるまで待つ』
と、
『自分から話しかける』
の選択肢が出てるんだわ!!
このまま2人黙ってても気まずいしここは私から話しかけるを選択よ!
「え・・・エース、って呼んでもいい?」
今まではエース君、って呼んでたから。
そう思って提案してみたら彼の顔がぱっと輝き、
「あァ、勿論だ。俺も・・・アコって呼んでいいか?・・・さっき呼んじまったけど」
「うん、嬉しい」
「そういやアコの家知らねェんだ俺」
会話が弾んだ!
よっし、きっと星が3つくらい出た気がする!
「あ、うちはここから2駅いったとこ」
「・・・・アコ、この後時間ねェか?」
「うん、大丈夫だけど」
「家まで送るから・・・ちょっと付き合って欲しいとこがあるんだ、いいか?」
エースは緊張した面持ちで私に問いかける。
イベントキター!!
スチルゲットのチャンスね!?
「勿論付き合わせて頂きます!!」
「悪ィな・・・会わせたい奴らがいるんだ、もう少し先に」
会わせたい人って・・・・・もしかしてご両親!?
結婚の報告!?
ああっそんなそれはまだ早いんじゃないかしらエース君!!
高鳴る胸を押さえつけながら手を繋いで歩くこと10分。
「・・・・・・廃屋?」
「・・・人住んでんだ、これでも」
「あ、ごめん・・・・」
・・・・選択肢を間違えた。
きっと今ので好感度下がった気がする。
きっと今の選択肢には、
『素敵な家だね』
『趣のある家だね』
『・・・・廃屋?』
の3種類だったんだー!!
そして正解は2番!!
私の馬鹿。
たぶん元々好感度なんて高くないんだから!
これ以上下げたら駄目よ私!
「マルコーサッチー入るぜ」
鳴れた様子で声をかけてドアを開けたエース。
ぎぎぎぎ、と音が鳴った。
「なんだいエース今日は早いじゃねェかよい」
「なんだァエース腹減ったのか?」
・・・・・・・・・・・・・・想像よりは整頓されていた家の中から出てきたのは、
「・・・何だいこいつは」
「へー可愛い子じゃん」
パイナップルとフランスパン。
いや違う!!人間で!男の人2人!!
だけども!!
パイナップル頭のおっさんとリーゼントのおっさんだった。
あれ私いつの間にRPGの世界に迷い込んじゃったの?
ていうかじろりと睨まれて(特にパイナップルに)怖いんだけど助けてエース・・・!
「アコ、俺の仲間のマルコとサッチだ。アコに紹介したくてよ」
エースは照れくさそうに笑って私を彼らに紹介した後、
「マルコ、サッチ。俺の彼女・・・アコだ」
「へーやるじゃんエース」
「そりゃ長い付き合いになりそうだよい」
お友達とのご挨拶!
選択肢は、
『変な頭と語尾ですね!』
『ヤク○の方ですか?』
『お腹がすいたら食べれる非常食の方々ですか?』
駄目だ変なのしかない!!
「アコ?」
「こ・・・・攻略本がないと・・・・」
「攻略本?」
「お腹がすいたら僕をお食べ・・・」
「・・・・腹減ったのか?」
「ああああいや違うの!お手柔らかにお願いします!」
「エースに飽きたら俺に声かけてねアコちゃん」
「で、飯食ってくのかい?」
「ばっかだなマルコ、彼女と2人きりで飯食いに行くに決まってんだろ?金が必要なんだよな?」
「違ェよ、ほんとに紹介したかっただけだ」
じゃあな、とエースが2人に別れを告げて、
「行こうぜアコ」
「あ、うん・・・お邪魔しましたっ」
・・・・・衝撃を受けたお友達紹介イベントが終わった。
ああ神様、これは何の試練?
パイナップルとフランスパン・・・・!!
は!!もしかしてエースは彼らに私を売り飛ばすつもりなんじゃ・・・!!
漫画でよくあるパターンだもんね!?
そう考えれば納得がいく。
こんな地味な私にモテモテのエースが告白してくれたことも。
やっぱり私は漫画のヒロインだったのね!?
悲しいけれど仕方ない。
「そんで・・・どうする?」
「いくらで売られたいかって話し!?」
「ちょっと待て何の話しだ」
おっと、危ない。
「あ、ううん。・・・・どうするって?」
「飯。・・・一緒に食えたら俺は嬉しい」
頬を赤く染めて、真っすぐ見つめて来るエース。
そっ・・・・そんな可愛い顔見せられたら!
「私も食べたい!」
断れません!!
ということで近くのファミレスに来た。
「でっデザートまで食べつくす女ってどう?」
「ははっ、そんなこと気にしないで食えよ。俺も食う」
・・・こうして話してると本当に楽しくて嬉しくて。
本当に・・・夢みたいだ。
こんな思いをさせてくれたんだもん、売り飛ばされてもいいか・・・なんて思ってしまう。
「やっぱアコと居ると楽しいな・・・今すげェ幸せ」
・・・・こんな素敵な笑顔をする人を。
信じないなんて。
・・・・私は、漫画でもゲームのヒロインでも失格かもしれない。
「マルコとサッチは見た目アレかもしれねェけど、いい奴らなんだぜ」
「あ、うん・・・」
そうよね人を見かけで判断するのは良くないよね!!
「大事な仲間だからアコに紹介したかったんだ、付き合わせて悪かったな」
「ううん、紹介してくれて嬉しかった」
「絶対幸せにするからな、アコ」
・・・・その笑顔だけで十分幸せだ。
「・・・エースは何で私を好きになってくれたの?」
ずっと思ってたことを聞いてみた。
エースは言いにくそうに、でもはっきりと、
「人生楽しんでるとこ」
「・・・・へ」
「笑顔に惚れたんだ」
・・・・そう言って笑った。
「私もっ・・・・私も、エースの笑顔、に・・・惚れた・・・」
楽しそうに笑ってる姿をずっと見ていたいと思った。
そんな彼が大事な仲間と言ったんだ。
・・・・信じよう。
「末永くよろしくな、アコ」
「うん、信じてる」
「ああ、幸せにする」
・・・・うん、そっちじゃないけどね。
漫画じゃなくてもゲームじゃなくても。
私!幸せになります!