短編②
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「グランテゾーロ?」
「カジノって言えばわかるか?」
「ああ、うんわかる。そこに行くの?」
カジノって言えばラスベガスにある大人の遊び場所、ってイメージしかないけど。
「世界政府公認の中立地帯だ。面白そうだからな」
シャンクスが子供みたいに笑う。
・・・楽しそうだなぁ。
「でも高級そうだけど、普通に行けるもんなの?」
「招待状がある」
「・・・・すごいね」
四皇ってそんなにすごいのか。
「惚れ直したか?」
「何かの罠だったりして」
「罠でも楽んだもん勝ちだ。そうだろう?」
「・・・・そういう呑気なところは好きだよ、うん」
「アコが居るんだ、楽しみにもなるさ。とびきりのドレスも用意しねェとな」
「お金かかるよ!」
「かけりゃいい、いくらでも」
「・・・ちゃんと勝って儲けてくれるんだよね」
「ああ、勿論」
でも私のお小遣いじゃカジノは楽しめないかもな、なんてのんびり考えながらぼーっと海を見つめた。
「アコ、何してるんだ?」
「んーお守りの準備」
「お守り?」
「何でもない。もう着くの?」
「見えて来たぞ、あれが入口だ」
シャンクスの視線の先。
「・・・・うっわ」
何とも言えない声が出た。
金色に光る煌びやかな入口。
船が入口をくぐると、
ひらひらと舞い散る金粉のお出迎え。
「わ、綺麗」
「アコによく似合ってはいるが」
「豪華だよねーさすがカジノ」
「1番に似合う色は赤だと思うがな」
「・・・そうだね」
にこにこと嬉しそうなシャンクスに苦笑して頷いたら、
聞こえて来た音楽。
ノリの良い音楽と同時にぱっとライトが点いた。
そこに現れた、ピンクの派手なおっさんと、
「あの子可愛いっ」
「歌姫、カリーナだな。・・・まったく女に弱いなうちの姫は」
「カリーナちゃんかぁ・・・・いいなぁ」
カリーナちゃんの素敵な歌声と、
おじさまとのダンス。
それだけでも楽しくなった。
「ようこそ、世界最大のエンターテインメントシティ、グラン・テゾーロへ!!」
ショーが終わりおじさまがそう締めくくる頃には自然に拍手が出てた。
「赤髪海賊団の皆様ですね?ようこそおいで下さいました」
「こっちにも美人!!」
「申し遅れました私、コンシェルジュのバカラ、と申します」
船を降りたらカリーナちゃんとは別の雰囲気のロングヘア美人さんの登場。
「バカラお姉さま・・・・!」
ここはパラダイスじゃないか!
「お越し頂き大変光栄ですわ、私が皆様のご案内をさせて頂きます」
「いや、案内は必要ない。勝手にやらせてもらいたいんだが」
「あら、どうか皆様はVIPな方々ですので、是非案内させて下さい」
「お願いしますお姉さま!」
「お任せを。それではお嬢様はこちらへ」
「・・・アコを連れて行くつもりなら俺も行く」
軽く睨みつけたシャンクスにお姉さまはにっこりと微笑み、
ごにょごにょ、と何かを耳打ちした。
するとシャンクスは一転満面の笑み。
「そりゃいい、頼む」
「参りましょう、アコ様」
・・・・・それはそれで不安なんですけど。
「・・・・これはちょっと」
「excellent!大変にお似合いで御座います」
「マジですか」
バカラお姉さまが言うなら着ようじゃないか。
この真っ赤なミニドレスを!!
恥ずかしいけど仕方なく着たままお姉さまに着いて行けば、
「・・・・・シャンクスもスーツ」
皆も相応の服に着せ替えられてた。
「やっぱりアコには赤が似合う、よくわかってるじゃねェか」
「シャンクスも・・・カッコイイよスーツ」
久しぶりにちょっとときめいてしまった。
「こちらに掛け金のご用意が御座います」
どん、と用意された札束。
まさにラスベガスの世界で、
更にここはVIP中のVIPしか来れないところらしい。
・・・・すごい。
見惚れてたらシャンクスに腕を掴まれた。
「女や金に夢中になって迷われたら困るんでな」
なんてシャンクスは笑うけどそれって女の台詞じゃない!?
「ご心配には及びません、ここには映像電伝虫が至る所に取り付けられております」
「それでも安心出来ねェのがうちのアコだからな」
「・・・さすがにそれは酷くないシャンクス」
「さあそれでは、お楽しみください」
船の中とは思えないほどの豪華なカジノ。
「亀レースだ!」
「ヤソップさん頑張ってー!!」
大盛り上がりの亀レース。
ハラハラさせながらもうちの勝利。
「ポーカーだ!」
「俺がやろう」
「ベンさん素敵ー!!」
さすがうちの副船長、そしてクールマン。
ポーカーもベンさんの圧勝。
「ルーレットだ!」
「次は俺だぁ!」
「きゃールゥさんやっちゃって!」
ルーレットもルゥさんの手にかかれば問題なし。
気持ちいいくらいに勝ち続けてる。
「アコもやってみたらどうだ?」
「やるっ」
挑戦したのはスロット。
駄目モトで!
「・・・・・・・・そ。揃ったあぁぁああ!!」
「楽しいなァ、アコ」
「すっごい楽しい!!」
次々に勝っていく私たち。
それを見て、
「amazing!素晴らしいですわ皆様!」
「お姉さま!」
バカラお姉さまが、
「更にハイリスクな勝負をしてみませんか?」
と私たちを誘う。
いやさすがにこれは罠でしょ、とシャンクスを見たら、
「その話し乗った」
「乗るんかい!」
思わず突っ込んだ私の頬にちゅ、と口づけをして。
「不安そうなアコもたまにはいいな」
とか言い出した。
・・・・思い出すのは、
『罠でも楽んだもん勝ちだ。そうだろう?』
楽しそうな顔。
・・・・それがシャンクスだもんね。
仕方ない。
お姉さまに案内されて乗ったエレベーター。
ひょこっと壁を突き抜けて現れた、
「わ」
・・・・顔がでかい小人?
「紹介します、警備のタナカさんです」
「するるるる!ようこそ!」
「タナカさん・・・・っ」
可愛い!!
「アコ」
突然低くなったシャンクスの声。
原因はわかってる。
「はいはい、1番好きなのはシャンクスだから」
後ろからふわりと抱きしめられて、
頬にちゅ、と口づけが落とされた。
「・・・・・・・これで負けたらシャンクスカッコ悪いからね」
「負けねェさ」
「・・・・さようで」
そして案内された部屋に居たのは、
「あ」
さっきの派手めなおじさま。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません赤髪海賊団の皆様!楽しんで頂けてますかな!?」
「ああ、十分楽しませてもらってる」
「それは良かった。今回はこちらに用意させたゲームのお誘いをしようと思いまして」
ちら、と見れば行われていたのは、
「さあさあどちらさんもよう御座んすね!?」
・・・時代劇とかでよく見る、
丁半と呼ばれるものらしい。
「丁か半か!?」
「丁だ!」
「半だ!」
「・・・・・・・・ピンゾロの丁!!」
・・・・うわ、負けた人の項垂れ方が半端ない。
でもこれって簡単にイカサマ出来る気がするんだけど。
私にイカサマを見破る目なんかなくね!?
やばくない!?
「まずは体験して頂きましょう」
「よし、俺が行こう」
「・・・・シャンクス」
さっきとは明らかに違う空気に思わず声をかければ、
「ん」
「・・・・ん」
唇に軽く触れた、シャンクスの唇。
「負けねェさ」
「・・・・・頼むよ」
「さあ丁か半か!」
始まった勝負。
シャンクスの出した答えは、
「丁だ」
相手は、
「半」
・・・・・・・・そして、
「シゾロの丁!」
「やった!」
シャンクスの勝ち!
すると、
ぱちぱちという拍手と、怪しい笑みのおじさま(テゾーロ氏)が、
「お見事!これなら楽しい勝負が出来そうだ」
「・・・・ということは」
「どうです、私と勝負しませんか?」
来た!はいこれ絶対罠!
「受けて立とう」
シャンクスの返事にテゾーロ氏は満足そうな笑みを浮かべ、
「wonderful!!頑張って下さいね」
バカラお姉さまがぽん、とシャンクスの背中を軽く叩いた。
ああっこんな時だけどシャンクスが少し羨ましい!
「自信がおありのようだ。賭け金はそちらの有り金全部でも?」
「構わねェ」
構え!!さすがにそれはまずいだろ!
・・・・でももう何を言っても無駄なのはわかってるから、黙って見守るしかない。
「では、勝負!」
「さあ!丁か半か!」
シャンクスが出した答えは、
「半」
テゾーロ氏は、
「丁」
・・・・分かれた。
結果は、
「シニの丁!」
・・・・・・・不吉な数字で、
もたらされた。
「私言ったよね罠だって」
「言われたな」
「有り金全部かけたね」
「かけたな」
勝負の結果私たちは負けた。
お金も全部取られた。
挙句、
「律儀に従うことないだろ」
とか言い出したヤソップさんが、
「踏み倒しはいけませんなぁ」
と派手めなおじさま(彼こそがこのカジノの主、テゾーロ氏)によって捕らわれてしまった。
・・・彼の操る金によって。
テゾーロはどうやら悪魔の実の能力者で、
彼が触れた金を操ることが出来るらしい。
・・・・しかもその金は金粉として入口で私たち全員触れてる。
更にバカラお姉さまはラキラキの実とかいう能力者で、運を奪い取られていたらしい。
そしてヤソップさんが人質。
ある意味私たちも人質。
テゾーロに払えるお金はない。
・・・・はい詰んだ。
「あの時ゃアコとキスしなかったから負けたのかもしれねェな」
「絶対違うと思う」
絶対バカラお姉さまの能力だと思う。
・・・・でも、
少し安心した。
ヤソップさんを人質に取られてもっとピリピリしてるかと思ったのに。
シャンクスも皆も割といつも通り。
シャンクスはお酒を飲みながら(お酒は船に残ってた)、
「明日にはここを出るつもりだ」
と言う。
その目が心強い。
・・・と思ってたのに、
「ヤソップさんどうするの?」
「さて、どうするか」
・・・・何も考えてなかっただけか。
「やっぱりカリーナちゃんについていけば良かった」
歌姫、カリーナちゃん。
彼女はテゾーロの側に居ながらテゾーロマネーという大金を狙っており、
盗まないかとお誘いを頂いたんだけど。
「これ以上ライバルが増えるのは困るんでな」
とシャンクスが断り、
「シャンクスの自己責任に美人さんを巻き込む訳にはいきません」
と私もお断りした。
シャンクスとか私のミスでカリーナちゃんに何かあったら怖いし。
「アコは閉じ込めておいた方が良さそうだな」
膝の上に座らされて、片腕に閉じ込められた。
「だって」
「アレはアレでうさんくさいと思わなかったか?」
「・・・・わかんなかった」
「とにかく明日もう1回奴に勝負を申し込む」
「はあ!?」
「勝負で負けたものは勝負で取り返す。勝機はある」
「・・・・あのねシャンクス。さっきカリーナちゃんから聞いた時思ったんだけど」
「ん?」
「ヤソップさんは何とかなるかも」
「・・・・ほう」
可愛いタナカさんは無機物をすり抜けられるので何処で聞かれてるかわからないので、
ごにょごにょ、とシャンクスに耳打ち。
「・・・アコは俺達の勝利の女神だ、野郎ども!アコに乾杯!」
「・・・乾杯」
果たして私は、
勝利の女神になれるのか。
「正真正銘最後の勝負をしないか?俺達が勝ったらすべてを返してもらおう」
「金がなければ話しにならん。この世界は金がすべてだ!」
「確かに金はないが・・・賭けるのは俺の首でどうだ?」
・・・・さすがにこれには驚いた。
「なるほど、良いお話しだ」
「勝負方法は昨日と同じを所望する」
「いいだろう」
「・・・・・シャンクス」
皆が見守る中シャンクスは、
「そのドレスだけでも必ずもらおう」
「いや違うだろまずヤソップさんでしょ!」
相変わらずで。
そして、
「ん・・・・・・っ」
深い口づけを残して勝負に向かった。
「愛は金で買えないとでも言いたいのか?」
不機嫌そうなテゾーロ氏。
対してシャンクスはご機嫌で、
「いや、俺もアコを金で買ったからな」
・・・・まあね。
3千万ベリーで買われましたからね。
「そうだ、金がすべてだ」
「だが今回は俺達の愛の力で勝たせてもらう」
「やってみろ」
1回きりの勝負。
「勝負」
「さあ丁か半か!」
まずテゾーロの答え。
「丁だ」
シャンクスは、
「半」
・・・・・・・これですべてが決まる。
シャンクスの首がかかった勝負。
答えは、
「シソウの半!」
「何だと!?」
にィ、とシャンクスが笑った。
「俺達の勝ちだなテゾーロ」
「こちらには人質が居ることも忘れるな!」
ああ、やっぱり悪役だ!
でもそこにタイミング良く現れる、
「人質ってのは誰のことだ?」
「ヤソップさん!」
「・・・・馬鹿な!」
良かった無事で。
金で固められてただけで怪我はなかったみたい。
「ならば貴様らでいい!」
テゾーロ氏が能力を使おうとするけど。
発動しない。
「・・・・・何をしたぁ!!?」
彼の怒りの疑問には、
「海水で洗うと支配から解放されるって情報を得たから」
私が答えた。
「海水などここには存在しないはずだ!」
「ここに来る前に私が用意してたから」
結構な容量を準備してた。
「馬鹿な!こうなることが予測出来ていたはずがない!」
「うん、でもほら。悪魔の実の能力者は海水に弱いって聞いたからお守りにと思って」
私は弱いから。
せめて襲われても海水で対応出来るくらいは、と思って。
カリーナさんが教えてくれた、海水の話し。
「この私に勝てたのは何故だ!?バカラのラキラキの能力に逆らうなど!」
「私のラキラキの能力が破られるなんて・・・!」
バカラお姉さまも悔しそう。
「それは俺が教えてやろう。愛だ」
「ちゃんと説明してよシャンクス、それは私も不思議だから」
「キスだ」
「いや訳がわからない」
「アコが居れば俺の運はいくらでも回復する」
そうなの!?
「それにこの広い海で、アコに出会えた俺は運がいいだろう?」
・・・・それは、私だって。
あそこで、シャンクスと出会えて。
今こうしていられるのは運がいい。
「金も返してもらった」
「ベンさん!」
こうして、素敵な仲間に出会えたことも。
「よし、さっさと逃げるぞアコ」
ひょい、と片腕に担がれた。
船に乗り込んで、
出る頃には。
くそぉぉぉ、
というテゾーロの悲痛な叫びが響いていて。
追手が来ないか心配だったけど、
四皇だからか、それとも勝ったからなのか・・・追ってはこないみたいだった。
「・・・ドレスもらってきちゃって良かったのかな」
「俺達が勝ったんだ、問題はねェ。よく似合ってる」
「・・・・勝ったから良かったけど首を賭けた時はびっくりした」
「勝つつもりだったからな」
「負けてたら?」
「そん時のことは考えてねェ。アコのキスがあれば俺が負ける訳がないだろう」
うん、もうわかった。
これ以上は無駄だ。
「じゃあずっと側に居るね」
「当然、離す気はねェさ」
たまにはいいか、と私は自分からシャンクスの唇に自分の唇を重ねた。
ねえ、ずっと勝って、
ずっと側に居てよ。