短編②
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寒さ厳しい2月。
昨日は雪もちらついた。
この時期になってくると周りが騒ぎ出す。
その原因は、
後ろの後輩たちが楽しそうに話してる。
「ねえねえ、誰にチョコあげるぅ?」
「先輩達も素敵だけどーやっぱりシャンクス社長かな!」
「わかるー!でも私だって社長にあげたいんだからね!」
「でもアレよね、どうせ私たちなんか相手にされないって」
「いいの、憧れなの!」
あははっ、と楽しそうな笑い声。
・・・・私はきっとあんな風に笑えない。
本当に好き、だから。
とはいえ、
カッコ良くて優しくて気さくな社長、という彼は男女問わず人気がある。
・・・私の片思いは一生叶わないんだろうなきっと。
「もうすぐバレンタインなんだからアコも好きな人にあげたらいいのに」
なんて同僚にも言われてしまった。
でも彼女は知らない、私の好きな人が誰なのか。
「んー・・・・いいよ」
「今可愛いチョコたくさん売ってるし。アコなら作っても上手く出来そうじゃない」
「買うなら自分用に買う、美味しそうだし」
「あらら・・・・」
・・・・バレンタインに浮かれて告白なんてして会社に居ずらくなったら嫌だし。
「じゃあお昼ご飯行って来ますー」
「はーい」
いいんだ、これで。
こうして毎日が過ぎて行けば。
さて今日は何を食べようかな、と考えながらエレベーターに乗り込んだ。
途中乗って来たのは、
「お、お疲れさん」
「・・・・っお疲れ様です!」
・・・・シャンクス社長。
「これから飯か?」
「はい」
「ちょうどいい、美味いハンバーグの店があるんだ一緒に行かないか?」
「よっよろしいので!?」
あっ緊張して変な言葉遣いになっちゃった。
「デザートにはふわふわのワッフルだ」
「食べたいです!」
シャンクス社長とランチ・・・!
「決まりだな。行こう」
「はい・・・っ」
信じられない幸運。
こういうことがあるだけで満足。
・・・幸せなんだと、自分に言い聞かせた。
「すごいですね、ここ・・・」
「美味いだろ?」
「はい、とっても。ハンバーグもワッフルも美味しいのにお手頃でお昼時にこんな空いてるなんて」
すっごい穴場!
「俺のとっておきの場所だ」
「そんな場所教えて下さって有難う御座います・・・!」
「・・・そういや、もうすぐバレンタインだな」
「そう・・・ですね」
急に振られたこの時期ならではの話題にドキッとした。
「アコの予定は?」
「・・・・自分用にご褒美で買おうかなぁ、と」
「最近はそういうのも流行ってるらしいな」
「甘い物は身体にも心にもいいんです!社長・・・はたくさんもらえそうですね」
「今までは有難いことにもらえていたが・・・・」
「・・・・・今年もたくさんもらえると思いますが」
シャンクス社長は私に何故か苦笑した。
「今年は本命以外もらうつもりはなくてな」
「ほ・・・・」
本命、居るんだ・・・・・。
「どう思う?」
「え?」
「俺は本命からもらえると思うか?」
「しゃ・・・社長ならもらえると思います!」
「・・・そうか、有難う」
そう言って笑ったシャンクス社長の顔は少し寂しそうに見えた。
シャンクス社長の思い人誰なんだろうなんてモヤモヤしながら、
迎えたバレンタイン当日。
バレンタインだって仕事。
先輩も後輩も女子はきゃいきゃい可愛く騒いでる。
でも今の私はそれどころじゃない。
シャンクス社長のことを考えていたせいか、
私自身の不甲斐なさか、
「こことここ、あとこっちもね」
「・・・・ハイすみません」
ミス連発。
あの日以来シャンクス社長とも会えてないし。
・・・・もう本命のコからもらってたりして。
でもモテる人だし、何より優しい人だから。
社長の為に作ったんです受け取って下さいって言われたら本命じゃなくても受け取っちゃうんだろうなぁきっと。
はっ駄目駄目またミスしちゃう、集中しなきゃ。
後ろで後輩たちが騒いでいるのを横目にパソコンに集中。
お昼ご飯はコンビニのおにぎりで済ませた。
そのうち暗くなって、
皆帰って行く。
「じゃあアコ、私帰るね」
「うん、お疲れ様」
仲の良い同僚も帰宅。
それからまた集中して、気が付くともう21時。
部屋には私1人。
暖房の音だけが虚しく響いてる。
・・・・私1人の為につけてるのも申し訳ないよね。
そう思って暖房を消した。
・・・・さてもうひと頑張り。
えーと、ここを変えてこうして。
それからあとは・・・・・。
「・・・・・ぅ」
ちょっと寒くなって来た。
でもまだまだ。
再び気合を入れた時、
「うぉ、寒ィ」
声が聞こえた。
「え・・・・しゃ、ちょう?」
「何で暖房消えてるんだ?寒くねェ訳じゃねぇだろう?」
赤い髪が見えて驚いた。
・・・シャンクス社長、まだいらっしゃったんだ。
「あの・・・私1人の為につけてるのも勿体ないかな、と」
「馬鹿言うな。風邪引いたらどうすんだ。つけるぞ」
ピ、と社長が暖房をつけてくれた。
「あ・・・有難う御座います・・・」
「残業か?まだかかりそうか」
「・・・はい、すみません」
「・・・・そうか」
それだけ言ってシャンクス社長は出て行ってしまった。
「あ・・・・」
お疲れ様です、って言えなかった。
・・・・・・・素っ気なかったな、なんか。
残業するようなミス連発してたらそうもなるかぁ。
・・・・・はぁ。
泣きそうなのを堪えながら仕事を続けること10分。
ようやく終わりが見えて来たところで、
「お疲れさん」
後ろから聞こえた声、
とん、と置かれたテーブルの上の飲み物からは湯気が出てる。
「え」
「今日限定のホットチョコレートだ」
「いい香り・・・」
「甘いモンは身体にも心にもいいんだろ?」
にぃ、と笑いかけてくれたシャンクス社長の姿。
「わ・・・有難う御座います、頂きます」
「もうすぐ終わりそうか?」
「はい!」
ああ、まさかシャンクス社長に会えるなんて。
残業して良かった・・・!
と喜んだのも束の間。
・・・・社長、もう本命からチョコもらえたのかな。
あ、でも何だか。
「・・・これって、社長からの逆チョコみたいですね。なーんて」
熱々のホットチョコレート。
そうだったらいいな、なんて。
「・・・それはノーカウントにしてくれ」
「・・・・すみません」
・・・・凹む。
馬鹿みたい私。
「チョコは自分で買うって言ってたんで用意してなかったんでな」
「・・・・え?」
「本命からはもらえそうにねェんで、代わりにこれを用意した」
そう言って目の前に出されたのは、
「・・・・社長の髪と同じ色」
の、真っ赤な薔薇の花束。
「あのっでも皆帰っちゃいましたし・・・・」
「アコ」
「誰に渡せば・・・・あ、同僚ですか?それとも後輩でしょうか。ああっでも明日だとお花萎れちゃうかもしれませんっ」
「・・・俺は、アコに受け取って欲しいと思っているんだが」
どうしよう、と慌てた私に落ち着いた声。
「私ですか!?」
「ああ、108本ある」
「108本・・・」
てまた微妙な本数。
「次に贈る時は999本のバラを贈ろう」
「きゅっ・・・・!?」
そんなに!?
「108本の薔薇の意味を知りたいか?」
「は・・・はい」
シャンクス社長は私の左手をそっと掬い取って。
薬指にちゅ、と口づけた。
「俺と結婚して下さい、って意味だ。まあ結婚を前提に俺の恋人になって欲しいっていうのが今は正しい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・け」
結婚!?
「受け取ってくれないか?アコ」
突然過ぎて何が何やら、だけど。
「わ・・・私で・・・・いいんでしょうか?」
「アコを愛してる、諦められねェ」
「・・・・・私も・・・・お慕いしております!」
言ってから慌ててバッグを探った。
「あのこれっチョコなんですけど受け取って下さい!!」
シャンクス社長は驚いた顔で。
「・・・もらえるとは思ってなかったな」
「あの・・・私ももらって頂けるとは思ってなくて・・・・」
「アコ以外からのチョコはもらってねェからな」
「でも・・・無理やり押し付けられたりとか」
「実はチョコアレルギーになったんだ」
「えっ」
「・・・って嘘をついた」
そう言ってシャンクス社長はだっはっは、と笑う。
「・・・・じゃあ私が作ったチョコ、食べてもらえますか?」
実は昨日作ってた、チョコレート。
渡せなくてもいいって思いながら作った。
「・・・嬉しいなァ」
顔を見たらそれはもう嬉しそうに目を細めたシャンクス社長。
その顔だけで、すべての苦労が報われた気がする。
「・・・大好きです、シャンクス社長」
思いが溢れて呟いたら、
ぎゅ、と抱きしめられた。
「しゃ、ちょう」
「・・・・シャンクス、って呼べるだろう?アコ」
「・・・シャンクス」
名前を呼んだ瞬間唇に柔らかいものがくっついて、
それが社長の唇であることに気づくのに数秒かかった。
「・・・・ん」
「・・・甘いな」
「あ・・・ホットチョコレート・・・」
飲んだから・・・・!
「アコは可愛いな」
「可愛くないです、私。・・・だって」
「・・・・だって?」
「・・・皆が社長のこと嫌いになればいいのにって思いました」
「そういうのを可愛いと言うんだと思うが?」
「・・・穴場のレストランを教えてもらった時、これが2人だけが知る場所だったらいいのにって」
・・・・わがままで醜い私。
「ああ、2人だけの秘密の場所だ」
「そう・・・なんですか?」
「特別だからな、アコは」
「私も今日は特別な日になりました」
「よし、帰るか」
「はいっ」
悩んだけどチョコを作ったのは、
特別な日だから。
特別な貴方に、
特別なチョコを。
・・・・特別に、甘い日を。
(999本の薔薇は、何度生まれ変わっても貴方を愛しますという意味だったらしい)
昨日は雪もちらついた。
この時期になってくると周りが騒ぎ出す。
その原因は、
後ろの後輩たちが楽しそうに話してる。
「ねえねえ、誰にチョコあげるぅ?」
「先輩達も素敵だけどーやっぱりシャンクス社長かな!」
「わかるー!でも私だって社長にあげたいんだからね!」
「でもアレよね、どうせ私たちなんか相手にされないって」
「いいの、憧れなの!」
あははっ、と楽しそうな笑い声。
・・・・私はきっとあんな風に笑えない。
本当に好き、だから。
とはいえ、
カッコ良くて優しくて気さくな社長、という彼は男女問わず人気がある。
・・・私の片思いは一生叶わないんだろうなきっと。
「もうすぐバレンタインなんだからアコも好きな人にあげたらいいのに」
なんて同僚にも言われてしまった。
でも彼女は知らない、私の好きな人が誰なのか。
「んー・・・・いいよ」
「今可愛いチョコたくさん売ってるし。アコなら作っても上手く出来そうじゃない」
「買うなら自分用に買う、美味しそうだし」
「あらら・・・・」
・・・・バレンタインに浮かれて告白なんてして会社に居ずらくなったら嫌だし。
「じゃあお昼ご飯行って来ますー」
「はーい」
いいんだ、これで。
こうして毎日が過ぎて行けば。
さて今日は何を食べようかな、と考えながらエレベーターに乗り込んだ。
途中乗って来たのは、
「お、お疲れさん」
「・・・・っお疲れ様です!」
・・・・シャンクス社長。
「これから飯か?」
「はい」
「ちょうどいい、美味いハンバーグの店があるんだ一緒に行かないか?」
「よっよろしいので!?」
あっ緊張して変な言葉遣いになっちゃった。
「デザートにはふわふわのワッフルだ」
「食べたいです!」
シャンクス社長とランチ・・・!
「決まりだな。行こう」
「はい・・・っ」
信じられない幸運。
こういうことがあるだけで満足。
・・・幸せなんだと、自分に言い聞かせた。
「すごいですね、ここ・・・」
「美味いだろ?」
「はい、とっても。ハンバーグもワッフルも美味しいのにお手頃でお昼時にこんな空いてるなんて」
すっごい穴場!
「俺のとっておきの場所だ」
「そんな場所教えて下さって有難う御座います・・・!」
「・・・そういや、もうすぐバレンタインだな」
「そう・・・ですね」
急に振られたこの時期ならではの話題にドキッとした。
「アコの予定は?」
「・・・・自分用にご褒美で買おうかなぁ、と」
「最近はそういうのも流行ってるらしいな」
「甘い物は身体にも心にもいいんです!社長・・・はたくさんもらえそうですね」
「今までは有難いことにもらえていたが・・・・」
「・・・・・今年もたくさんもらえると思いますが」
シャンクス社長は私に何故か苦笑した。
「今年は本命以外もらうつもりはなくてな」
「ほ・・・・」
本命、居るんだ・・・・・。
「どう思う?」
「え?」
「俺は本命からもらえると思うか?」
「しゃ・・・社長ならもらえると思います!」
「・・・そうか、有難う」
そう言って笑ったシャンクス社長の顔は少し寂しそうに見えた。
シャンクス社長の思い人誰なんだろうなんてモヤモヤしながら、
迎えたバレンタイン当日。
バレンタインだって仕事。
先輩も後輩も女子はきゃいきゃい可愛く騒いでる。
でも今の私はそれどころじゃない。
シャンクス社長のことを考えていたせいか、
私自身の不甲斐なさか、
「こことここ、あとこっちもね」
「・・・・ハイすみません」
ミス連発。
あの日以来シャンクス社長とも会えてないし。
・・・・もう本命のコからもらってたりして。
でもモテる人だし、何より優しい人だから。
社長の為に作ったんです受け取って下さいって言われたら本命じゃなくても受け取っちゃうんだろうなぁきっと。
はっ駄目駄目またミスしちゃう、集中しなきゃ。
後ろで後輩たちが騒いでいるのを横目にパソコンに集中。
お昼ご飯はコンビニのおにぎりで済ませた。
そのうち暗くなって、
皆帰って行く。
「じゃあアコ、私帰るね」
「うん、お疲れ様」
仲の良い同僚も帰宅。
それからまた集中して、気が付くともう21時。
部屋には私1人。
暖房の音だけが虚しく響いてる。
・・・・私1人の為につけてるのも申し訳ないよね。
そう思って暖房を消した。
・・・・さてもうひと頑張り。
えーと、ここを変えてこうして。
それからあとは・・・・・。
「・・・・・ぅ」
ちょっと寒くなって来た。
でもまだまだ。
再び気合を入れた時、
「うぉ、寒ィ」
声が聞こえた。
「え・・・・しゃ、ちょう?」
「何で暖房消えてるんだ?寒くねェ訳じゃねぇだろう?」
赤い髪が見えて驚いた。
・・・シャンクス社長、まだいらっしゃったんだ。
「あの・・・私1人の為につけてるのも勿体ないかな、と」
「馬鹿言うな。風邪引いたらどうすんだ。つけるぞ」
ピ、と社長が暖房をつけてくれた。
「あ・・・有難う御座います・・・」
「残業か?まだかかりそうか」
「・・・はい、すみません」
「・・・・そうか」
それだけ言ってシャンクス社長は出て行ってしまった。
「あ・・・・」
お疲れ様です、って言えなかった。
・・・・・・・素っ気なかったな、なんか。
残業するようなミス連発してたらそうもなるかぁ。
・・・・・はぁ。
泣きそうなのを堪えながら仕事を続けること10分。
ようやく終わりが見えて来たところで、
「お疲れさん」
後ろから聞こえた声、
とん、と置かれたテーブルの上の飲み物からは湯気が出てる。
「え」
「今日限定のホットチョコレートだ」
「いい香り・・・」
「甘いモンは身体にも心にもいいんだろ?」
にぃ、と笑いかけてくれたシャンクス社長の姿。
「わ・・・有難う御座います、頂きます」
「もうすぐ終わりそうか?」
「はい!」
ああ、まさかシャンクス社長に会えるなんて。
残業して良かった・・・!
と喜んだのも束の間。
・・・・社長、もう本命からチョコもらえたのかな。
あ、でも何だか。
「・・・これって、社長からの逆チョコみたいですね。なーんて」
熱々のホットチョコレート。
そうだったらいいな、なんて。
「・・・それはノーカウントにしてくれ」
「・・・・すみません」
・・・・凹む。
馬鹿みたい私。
「チョコは自分で買うって言ってたんで用意してなかったんでな」
「・・・・え?」
「本命からはもらえそうにねェんで、代わりにこれを用意した」
そう言って目の前に出されたのは、
「・・・・社長の髪と同じ色」
の、真っ赤な薔薇の花束。
「あのっでも皆帰っちゃいましたし・・・・」
「アコ」
「誰に渡せば・・・・あ、同僚ですか?それとも後輩でしょうか。ああっでも明日だとお花萎れちゃうかもしれませんっ」
「・・・俺は、アコに受け取って欲しいと思っているんだが」
どうしよう、と慌てた私に落ち着いた声。
「私ですか!?」
「ああ、108本ある」
「108本・・・」
てまた微妙な本数。
「次に贈る時は999本のバラを贈ろう」
「きゅっ・・・・!?」
そんなに!?
「108本の薔薇の意味を知りたいか?」
「は・・・はい」
シャンクス社長は私の左手をそっと掬い取って。
薬指にちゅ、と口づけた。
「俺と結婚して下さい、って意味だ。まあ結婚を前提に俺の恋人になって欲しいっていうのが今は正しい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・け」
結婚!?
「受け取ってくれないか?アコ」
突然過ぎて何が何やら、だけど。
「わ・・・私で・・・・いいんでしょうか?」
「アコを愛してる、諦められねェ」
「・・・・・私も・・・・お慕いしております!」
言ってから慌ててバッグを探った。
「あのこれっチョコなんですけど受け取って下さい!!」
シャンクス社長は驚いた顔で。
「・・・もらえるとは思ってなかったな」
「あの・・・私ももらって頂けるとは思ってなくて・・・・」
「アコ以外からのチョコはもらってねェからな」
「でも・・・無理やり押し付けられたりとか」
「実はチョコアレルギーになったんだ」
「えっ」
「・・・って嘘をついた」
そう言ってシャンクス社長はだっはっは、と笑う。
「・・・・じゃあ私が作ったチョコ、食べてもらえますか?」
実は昨日作ってた、チョコレート。
渡せなくてもいいって思いながら作った。
「・・・嬉しいなァ」
顔を見たらそれはもう嬉しそうに目を細めたシャンクス社長。
その顔だけで、すべての苦労が報われた気がする。
「・・・大好きです、シャンクス社長」
思いが溢れて呟いたら、
ぎゅ、と抱きしめられた。
「しゃ、ちょう」
「・・・・シャンクス、って呼べるだろう?アコ」
「・・・シャンクス」
名前を呼んだ瞬間唇に柔らかいものがくっついて、
それが社長の唇であることに気づくのに数秒かかった。
「・・・・ん」
「・・・甘いな」
「あ・・・ホットチョコレート・・・」
飲んだから・・・・!
「アコは可愛いな」
「可愛くないです、私。・・・だって」
「・・・・だって?」
「・・・皆が社長のこと嫌いになればいいのにって思いました」
「そういうのを可愛いと言うんだと思うが?」
「・・・穴場のレストランを教えてもらった時、これが2人だけが知る場所だったらいいのにって」
・・・・わがままで醜い私。
「ああ、2人だけの秘密の場所だ」
「そう・・・なんですか?」
「特別だからな、アコは」
「私も今日は特別な日になりました」
「よし、帰るか」
「はいっ」
悩んだけどチョコを作ったのは、
特別な日だから。
特別な貴方に、
特別なチョコを。
・・・・特別に、甘い日を。
(999本の薔薇は、何度生まれ変わっても貴方を愛しますという意味だったらしい)