短編②
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明日、モビーは島に着くらしい。
でもって明後日はバレンタインデー。
賑やかな街らしく、
チョコの種類もいっぱいあると見込んで、
ナースさん達は自分たち用のご褒美チョコを買うんだと意気込んでる。
・・・私はたぶん、買わないと思うけど。
あげたい人はきっと街に降りてナンパしに行っちゃうだろうし。
・・・・何もないバレンタインになるんじゃないかな。
悔しいけど。
・・・・いやでもそれって女としてどうなの。
バレンタインに何もしないって。
幸い料理は得意なんだし、チョコレート作ってあげるくらいは・・・・!!
・・・・・・・・・・・・私より相手の方が得意だったわ料理。
美味しいんだぁ、サッチさんの作る料理は何でも。
美味しい、って言うと、
「だろ?」
って言いながら照れくさそうに笑うの。
手作りなんてあげられる訳ないし、
既製品なんてもっと無理。
・・・・はぁ。
「アコちゃーん」
「はーい」
「新作のスイーツ作ったんだ、試食どう?」
「行きます!」
スイーツの試食はやっぱアコちゃんだよな、といつも私に試食させてくれる。
ハズレたことはほとんどない。
・・・2人きりになる、貴重な時間。
「いつも頑張ってるアコちゃんに、とっておきの紅茶もな」
香りの良い紅茶と、
一緒に出されたのは。
「・・・・プリン?」
「ただのプリンじゃねェんだなこれが。ま、食べてみなって」
ニコニコと子供のような笑みのサッチさんにワクワクしながら、
スプーンで一口。
その瞬間、カリッと音がした。
「あ・・・・・っこれ」
普通のプリンじゃない。
スプーンを入れた時の固さ、
口に入れて噛んだ時の食感、甘さ。
「ブリュレ!」
砂糖を焦がして作ったカラメルが乗ったスイーツ。
「んー!!美味しい!!」
「だろ?俺の自信作だもんよ!」
ひひっと笑うサッチさんに、
嬉しさと同時に、やっぱり敵わないなぁ、と絶望。
「やっぱり食感大事ですね!」
「さっすがアコちゃん!」
このカリッとしたカラメルの下になめらかなプリン。
最高の組み合わせ。
甘さもちょうど良く、本当に絶品。
こんなのナースさんに食べさせたらイチコロだろうなぁ。
「・・・・ナースさん達のとこに持って行くんですか?これ」
不安になりながら聞いてみたら、
「いや、俺用」
「は?」
あっさりと否定が返って来た。
「つーか、俺とアコちゃん用な」
「さ・・・・サッチさぁぁん!!有難う御座います!!」
「俺の胸に飛び込んでおいで!」
「いやそれはいいです」
・・・・こういうこと簡単に言っちゃうとこさえなければ。
サッチさんは、ちぇーとか言いながらがっくり肩を落としてるけど、
本気で落ち込んでるようには見えない。
・・・そんなだから、いつまでも言えない本当の気持ち。
「・・・サッチさん」
「んー?」
「明日着く島ってどんなとこなんでしょうね」
「珍しい食材の宝庫!らしいぜ!」
今度はキラキラと目を輝かせる。
・・・・良かった、美人がいっぱいいるところ、とか言われなくて。
「じゃあ買い物楽しみですね!」
「腕が鳴るってもんよ!」
「次の新作レシピ試す時は私もお手伝いさせて下さいっ」
「頼りにしてるぜ、アコちゃん」
「はい!」
そっとサッチさんの小指が出された。
私はゆっくりとその小指に、自分の小指を絡めた。
・・・・こうして簡単に触れられるのになぁ。
恋する乙女は複雑。
「大事なのは気持ちだと思うわ」
この間のブリュレを真似して作ってみたので、
仲の良いナースさんに食べてもらいながら相談してみた。
「・・・・でも明らかに私より美味いんですよ。わかってて渡せます?女として」
「まあ、わからなくもないけど。でももらえたら嬉しいものでしょう?」
「女性からなら誰からだって喜びますよあの人は」
「アコは特別でしょう?サッチ隊長にとっては」
「料理が出来るから?」
「・・・ひねくれてるわね」
呆れたように苦笑したナースさんに心臓が痛む。
「どうせ私は可愛くないですよーっだ」
「こんなに美味しいブリュレ作れるのに?」
「・・・・サッチさんが作ってくれた方が美味しかった」
「あら、じゃあ私もサッチ隊長に頼んで作ってもらおうかしら」
「・・・・っ!!」
「冗談よ。そんなに苦しいならきっぱり諦めるのね」
「・・・諦める?」
「他にも素敵な殿方はたくさんいるじゃない、この船には」
「・・・・・・・・・・・・そう、ですけど」
・・・・・・・・・・・・もう、諦めた方がいいのかな。
モヤモヤを抱えたまま迎えた、
バレンタイン当日。
・・・今日の私は、引きこもり万歳。
部屋にずっと居れば街に繰り出す姿も、
チョコをもらって鼻を伸ばしてる姿も見なくて済む。
・・・何もしない。
名付けて部屋に引きこもる大作戦。
暇つぶしの為の本もお菓子も準備万端だし!
・・・・って1人で過ごすことの切なさ。
いつも賑やかな分、辛い。
厨房でもいつも元気だもんなぁ、サッチさん。
・・・・つい、思い浮かべちゃう笑顔。
何食べたってサッチさんが作った方が美味しいのにな、って思っちゃうし。
何飲んだってあああの時の紅茶飲みたいなァとか思っちゃうんだ。
・・・・・・・・これってもう、
重症ってことじゃないか。
何だか虚しくなってもう寝てしまおうかと考えた時。
「コンコン、お邪魔しますよアコお嬢様」
「・・・・・は?」
声だけでそう言っていきなり部屋に入って来た、
「・・・・サッチ、さん」
「とびっきりのティータイムをいかがですか?お嬢様」
「・・・私の作戦台無し・・・・」
「え、何?」
「・・・・・今日は珈琲の気分なんです」
「ご安心、美味い珈琲もご用意してるって」
・・・そんな顔でお誘い受けたら、
「・・・行きます」
って言うしかないじゃないですか。
で、
何だかいつもと違う食堂。
レースのテーブルクロス、とか。何かお洒落。
それでもいつもと同じ格好のサッチさんに少し安心してたのに、
「お待たせしました、アコお嬢様」
「さっ・・・・」
次に私の目の前に現れたサッチさんの、
スーツ姿。
「とびきりの珈琲と、濃密ショコラで御座います。ご賞味を」
チョコレートプリンか何かの上にちょこんと生クリームが載ってて可愛い。
・・・・じゃなくて。
「サッチさんどうしたんですか!?」
「いいからいいから。何、俺に食べさせて欲しい?」
「そんなこと言ってませっ・・・・・ん・・・・」
抗議の為に開いた口に優しく放り込まれた甘いもの。
「どうよ?」
「・・・・おい、しい」
「生チョコのムース生クリームのせ!サッチさん特製の逸品だ」
美味しいけど・・・こんな日にチョコレートなんて、
皮肉。
「・・・滑らかな食感が癖になりますし、少しビターなチョコレートが生クリームと一緒になるとちょうど良くて」
それでも感想を口にしてしまう私。
ああ、もう中毒。
サッチさんにも、
サッチさんの作るスイーツにも。
「まさに濃密、だろ?」
「はい、美味しいです」
「俺のアコちゃんへの気持ちが詰まってるし」
「あはは、有難う御座います・・・」
珈琲も美味しい。
なのに・・・・泣きそう、苦しい、辛い。
「・・・アコちゃん?」
「はい?」
「今日何の日か知ってる?」
「・・・・・・・・・・・・・バレンタイン、ですか?」
何故か少し慌てたようなサッチさんに答えたら、
「そ。だからこれは俺からの逆チョコ」
「逆・・・・チョコ?」
「男から好きな女にやるチョコのこと。むしろ俺はそっちの方が正しいと思うね」
「・・・・ええ?」
「だってチョコ好きなのは女の子の方が多いだろ?俺だって自慢の一品食わせたいし」
た・・・確かに!
「ってな訳で。これは俺からアコちゃんに贈る正真正銘の愛の形。・・・俺と付きあって?」
「か・・・・・・・・・・・・・・」
「か?」
「軽い・・・・・!」
「え!?駄目!?」
やっぱり軽い!!何か納得いかない!
・・・・・っでも!!
「・・・・軽い、けど。チョコ美味しいしそれだけで幸せだし・・・好きです、サッチさん」
それがきっと彼の愛の形。
「あー・・・軽く見えるかもしれねェけど、これ1ヵ月も前から試行錯誤して作ったんだぜ?」
「1ヵ月!?」
「だから俺の愛重いから。覚悟しといて?」
バレンタインに、
男も女も関係ないようで。
この日の夜は甘い物尽くしでした。
・・・・うぇ(失礼)。
でもって明後日はバレンタインデー。
賑やかな街らしく、
チョコの種類もいっぱいあると見込んで、
ナースさん達は自分たち用のご褒美チョコを買うんだと意気込んでる。
・・・私はたぶん、買わないと思うけど。
あげたい人はきっと街に降りてナンパしに行っちゃうだろうし。
・・・・何もないバレンタインになるんじゃないかな。
悔しいけど。
・・・・いやでもそれって女としてどうなの。
バレンタインに何もしないって。
幸い料理は得意なんだし、チョコレート作ってあげるくらいは・・・・!!
・・・・・・・・・・・・私より相手の方が得意だったわ料理。
美味しいんだぁ、サッチさんの作る料理は何でも。
美味しい、って言うと、
「だろ?」
って言いながら照れくさそうに笑うの。
手作りなんてあげられる訳ないし、
既製品なんてもっと無理。
・・・・はぁ。
「アコちゃーん」
「はーい」
「新作のスイーツ作ったんだ、試食どう?」
「行きます!」
スイーツの試食はやっぱアコちゃんだよな、といつも私に試食させてくれる。
ハズレたことはほとんどない。
・・・2人きりになる、貴重な時間。
「いつも頑張ってるアコちゃんに、とっておきの紅茶もな」
香りの良い紅茶と、
一緒に出されたのは。
「・・・・プリン?」
「ただのプリンじゃねェんだなこれが。ま、食べてみなって」
ニコニコと子供のような笑みのサッチさんにワクワクしながら、
スプーンで一口。
その瞬間、カリッと音がした。
「あ・・・・・っこれ」
普通のプリンじゃない。
スプーンを入れた時の固さ、
口に入れて噛んだ時の食感、甘さ。
「ブリュレ!」
砂糖を焦がして作ったカラメルが乗ったスイーツ。
「んー!!美味しい!!」
「だろ?俺の自信作だもんよ!」
ひひっと笑うサッチさんに、
嬉しさと同時に、やっぱり敵わないなぁ、と絶望。
「やっぱり食感大事ですね!」
「さっすがアコちゃん!」
このカリッとしたカラメルの下になめらかなプリン。
最高の組み合わせ。
甘さもちょうど良く、本当に絶品。
こんなのナースさんに食べさせたらイチコロだろうなぁ。
「・・・・ナースさん達のとこに持って行くんですか?これ」
不安になりながら聞いてみたら、
「いや、俺用」
「は?」
あっさりと否定が返って来た。
「つーか、俺とアコちゃん用な」
「さ・・・・サッチさぁぁん!!有難う御座います!!」
「俺の胸に飛び込んでおいで!」
「いやそれはいいです」
・・・・こういうこと簡単に言っちゃうとこさえなければ。
サッチさんは、ちぇーとか言いながらがっくり肩を落としてるけど、
本気で落ち込んでるようには見えない。
・・・そんなだから、いつまでも言えない本当の気持ち。
「・・・サッチさん」
「んー?」
「明日着く島ってどんなとこなんでしょうね」
「珍しい食材の宝庫!らしいぜ!」
今度はキラキラと目を輝かせる。
・・・・良かった、美人がいっぱいいるところ、とか言われなくて。
「じゃあ買い物楽しみですね!」
「腕が鳴るってもんよ!」
「次の新作レシピ試す時は私もお手伝いさせて下さいっ」
「頼りにしてるぜ、アコちゃん」
「はい!」
そっとサッチさんの小指が出された。
私はゆっくりとその小指に、自分の小指を絡めた。
・・・・こうして簡単に触れられるのになぁ。
恋する乙女は複雑。
「大事なのは気持ちだと思うわ」
この間のブリュレを真似して作ってみたので、
仲の良いナースさんに食べてもらいながら相談してみた。
「・・・・でも明らかに私より美味いんですよ。わかってて渡せます?女として」
「まあ、わからなくもないけど。でももらえたら嬉しいものでしょう?」
「女性からなら誰からだって喜びますよあの人は」
「アコは特別でしょう?サッチ隊長にとっては」
「料理が出来るから?」
「・・・ひねくれてるわね」
呆れたように苦笑したナースさんに心臓が痛む。
「どうせ私は可愛くないですよーっだ」
「こんなに美味しいブリュレ作れるのに?」
「・・・・サッチさんが作ってくれた方が美味しかった」
「あら、じゃあ私もサッチ隊長に頼んで作ってもらおうかしら」
「・・・・っ!!」
「冗談よ。そんなに苦しいならきっぱり諦めるのね」
「・・・諦める?」
「他にも素敵な殿方はたくさんいるじゃない、この船には」
「・・・・・・・・・・・・そう、ですけど」
・・・・・・・・・・・・もう、諦めた方がいいのかな。
モヤモヤを抱えたまま迎えた、
バレンタイン当日。
・・・今日の私は、引きこもり万歳。
部屋にずっと居れば街に繰り出す姿も、
チョコをもらって鼻を伸ばしてる姿も見なくて済む。
・・・何もしない。
名付けて部屋に引きこもる大作戦。
暇つぶしの為の本もお菓子も準備万端だし!
・・・・って1人で過ごすことの切なさ。
いつも賑やかな分、辛い。
厨房でもいつも元気だもんなぁ、サッチさん。
・・・・つい、思い浮かべちゃう笑顔。
何食べたってサッチさんが作った方が美味しいのにな、って思っちゃうし。
何飲んだってあああの時の紅茶飲みたいなァとか思っちゃうんだ。
・・・・・・・・これってもう、
重症ってことじゃないか。
何だか虚しくなってもう寝てしまおうかと考えた時。
「コンコン、お邪魔しますよアコお嬢様」
「・・・・・は?」
声だけでそう言っていきなり部屋に入って来た、
「・・・・サッチ、さん」
「とびっきりのティータイムをいかがですか?お嬢様」
「・・・私の作戦台無し・・・・」
「え、何?」
「・・・・・今日は珈琲の気分なんです」
「ご安心、美味い珈琲もご用意してるって」
・・・そんな顔でお誘い受けたら、
「・・・行きます」
って言うしかないじゃないですか。
で、
何だかいつもと違う食堂。
レースのテーブルクロス、とか。何かお洒落。
それでもいつもと同じ格好のサッチさんに少し安心してたのに、
「お待たせしました、アコお嬢様」
「さっ・・・・」
次に私の目の前に現れたサッチさんの、
スーツ姿。
「とびきりの珈琲と、濃密ショコラで御座います。ご賞味を」
チョコレートプリンか何かの上にちょこんと生クリームが載ってて可愛い。
・・・・じゃなくて。
「サッチさんどうしたんですか!?」
「いいからいいから。何、俺に食べさせて欲しい?」
「そんなこと言ってませっ・・・・・ん・・・・」
抗議の為に開いた口に優しく放り込まれた甘いもの。
「どうよ?」
「・・・・おい、しい」
「生チョコのムース生クリームのせ!サッチさん特製の逸品だ」
美味しいけど・・・こんな日にチョコレートなんて、
皮肉。
「・・・滑らかな食感が癖になりますし、少しビターなチョコレートが生クリームと一緒になるとちょうど良くて」
それでも感想を口にしてしまう私。
ああ、もう中毒。
サッチさんにも、
サッチさんの作るスイーツにも。
「まさに濃密、だろ?」
「はい、美味しいです」
「俺のアコちゃんへの気持ちが詰まってるし」
「あはは、有難う御座います・・・」
珈琲も美味しい。
なのに・・・・泣きそう、苦しい、辛い。
「・・・アコちゃん?」
「はい?」
「今日何の日か知ってる?」
「・・・・・・・・・・・・・バレンタイン、ですか?」
何故か少し慌てたようなサッチさんに答えたら、
「そ。だからこれは俺からの逆チョコ」
「逆・・・・チョコ?」
「男から好きな女にやるチョコのこと。むしろ俺はそっちの方が正しいと思うね」
「・・・・ええ?」
「だってチョコ好きなのは女の子の方が多いだろ?俺だって自慢の一品食わせたいし」
た・・・確かに!
「ってな訳で。これは俺からアコちゃんに贈る正真正銘の愛の形。・・・俺と付きあって?」
「か・・・・・・・・・・・・・・」
「か?」
「軽い・・・・・!」
「え!?駄目!?」
やっぱり軽い!!何か納得いかない!
・・・・・っでも!!
「・・・・軽い、けど。チョコ美味しいしそれだけで幸せだし・・・好きです、サッチさん」
それがきっと彼の愛の形。
「あー・・・軽く見えるかもしれねェけど、これ1ヵ月も前から試行錯誤して作ったんだぜ?」
「1ヵ月!?」
「だから俺の愛重いから。覚悟しといて?」
バレンタインに、
男も女も関係ないようで。
この日の夜は甘い物尽くしでした。
・・・・うぇ(失礼)。