短編②
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エースさんに好きだと告白されて、
エースさんは優しいし、こちらの世界に慣れていない私を気にかけてくれて。
悪い人じゃないのはわかってる。
でも少し積極的で、
色恋沙汰に慣れていない私はいつもドキドキ。
・・・エースさんの側は安心するのに、
ドキドキするという矛盾も学んだ。
美味しそうにご飯食べるところとか、
いただきますとごちそうさま、しっかりと挨拶するところとか。
・・・・好きだなぁ、とは思うんだけどな。
「アコー」
「はーい」
「ナース達が呼んでる。風呂だってよ」
「あ、有難う御座います」
「ゆっくり入って来いよ」
「・・・・はい」
・・・エースさんは、私がお風呂入る時必ず見張りをしてくれる。
前からそうなのかなって思ってたら、実は違うということを昨日とあるナースさんから聞いた。
『アコが来てからよ、エース隊長ったらまったく』
と、苦笑しているんだか、からかっているんだかわからない笑みでシンシアさんに言われて、
私は何と返したらいいのかわからなかった。
「・・・・ふぅ」
ちゃぽん、と熱いお湯に足をつけると、それだけでほっとする。
お風呂の気持ち良さは何処の世界でも共通だなあ、きっと。
船の中でこんなに素敵な浴槽があることには驚きだけど。
「でもエース隊長が見張ってて下さるとラクね」
「・・・そうですか?今まではどうされてたんですか?」
「基本的には見張りナシよ。そんな度胸のある方居ないもの」
「・・・すごいですね」
シンシアさんのナイスバディを横目に、ナースさん達強いんだぁ、と考える。
「でもたまーに酔っぱらったのとか新人が来るのよ。油断出来ないんだから」
「なるほど・・・・」
「エース隊長なら見張りに最適よね。信用出来るし」
「・・・エースさん、皆さんから信頼されてるんですね」
「こういうとこではね。アコにしか興味ないでしょうし」
「でもそれって・・・私が危ないってことは・・・?」
「ないない。嫌われるようなことするはずないもの」
ほっと胸をなでおろしながらも、頭にエースさんの笑顔が浮かんでドキドキしだした。
まずい、このままじゃのぼせちゃう。
でもさすが目の前に居るのはナースさん、
「あらアコ。のぼせちゃった?それとも別の理由かしら。先あがってていいわよ」
「・・・すみません、そうさせて頂きます」
「エース隊長によろしくねー」
「・・・・はい」
シンシアさんのお言葉に甘えて先にあがらせてもらって、
着替えて出たら、
「あ・・・・・見張り・・・お疲れ様です」
「・・・・おう」
エースさんがしっかりと見張ってくれていて。
「皆さんももう少しであがられると思います・・・」
「アコ早かったんだな。何かあったのか?」
「いえ、その・・・・今日のお湯は私には少し熱かったみたい、で」
「のぼせたか?茶用意してやろうか?」
「大丈夫です!!自分で・・・っ!」
「・・・行くのか?じゃあ俺も行く」
私の答えに不服そうなエースさんは、
「えっあっ」
私の横に並んで歩き出した。
・・・皆まだお風呂入ってるのに。
「・・・あのな」
「はいっ!?」
「厨房にはサッチが居るんだぜ」
「はあ、そうでしょうね」
サッチさんはコックさんだし当然だ。
「風呂上りのンなカッコで行ったらどうなるかとか考えろよ」
「・・・と言われましても。事実お風呂上りですし。変な恰好でもないですよ・・・ね?」
別に裸でも下着姿って訳でもない。
でもエースさんは私の疑問に小さくため息を吐いて苦い顔。
「少しは危機感持てって。んな隙だらけだと・・・そのうち俺に襲われんぞ」
「えっ・・・・・エースさんなら・・・・」
「・・・・・俺なら?」
「大丈夫だって、信じてます」
・・・そういうとこ信用出来るってシンシアさんもさっき言ってたし。
「・・・そっか」
少しだけ肩を落としたエースさんは、何処か嬉しそうでもある。・・・気がする。
「でも信用していいのは俺だけだからな?」
「・・・そうなんですか?」
マルコさんとかサッチさんとかも良い人だと思うんだけどなぁ。
「そうだ。・・・約束出来るか?」
「ど・・・努力します!」
とりあえずお風呂上りに気を付ければいいんだよね?
「よし」
私の返事に満足そうに頷いたエースさんは、
「サッチー!!飲みモンくれ」
「どうせお前じゃないんだろ?アコちゃん何がいい?カクテルでも作ろっか?」
サッチさんを見つけて飲み物を頼んでくれた。
・・・・至れり尽くせりって感じ。
「いえ、普通のお水かお茶で」
あ、氷も欲しいって言うの忘れてた。
「サッチ、氷も」
「わーかってるって」
・・・・・エースさん、わかってくれてた。
「ほい、どーぞ。アコちゃんお風呂上り?色っぽいねェ」
「え、」
いろっぽい・・・・?
私が!?
「サッチ!あんま見んな!」
「エース君かーわいー」
「・・・うるせェ」
「ああああのっサッチさん有難う御座いました!」
「どーいたしまして。今度俺が見張りやろうかなぁ」
「却下。ナースも嫌がるだろサッチじゃ」
「失礼だな。俺は紳士だ、なぁアコちゃん?」
「え、あ・・・・は・・・・・い?」
「ほらみろ」
サッチさんには失礼だけど、
そういう面では信用出来ない・・・気がする。
「おっかしーな。俺程信用出来る奴もいないはずなんだけどなー」
「あの、エースさんは信用出来るってナースさん達が」
「・・・・マジか」
がっくりと肩を落としたサッチさんに、
「俺の勝ちだな、サッチ」
勝ち誇った笑みを浮かべてエースさんは私の背中に手をやった。
「ぐ・・・!」
「行こうぜ、アコ」
「あ・・・サッチさんご馳走さまでしたっ」
エースさんに押されながらもお礼だけはちゃんと言って、退室。
「ほらみろ。言っただろ?風呂上り禁止な」
「・・・初めて言われました、色っぽいなんて」
「・・・嬉しそうにしてんなよ」
拗ねたような口ぶりに、
「お風呂上りってそんなに違います?」
素直な疑問をぶつけてみる。
「顔が赤い。髪、濡れてる。・・・正直俺も信用すんなって言いてェとこだ」
「エースさんも駄目なんですか?」
複雑な顔のエースさんは、
「・・・ホントは今すぐでも」
「・・・・今すぐ、でも?」
ピタ、と立ち止まったエースさんは途端真剣な顔になって、
私を見つめて来た。
「・・・・・・・・色々したいんだからな」
「・・・・・・・・スミマセン」
・・・・何か恥ずかしくなってきた。
信用するな、と言いながらもエースさんはずっと私の側に居てくれた。
時には優しく頭を撫でてくれて、
褒めてくれたり。
時折私の顔色を窺うような仕草に、
シンシアさんの言葉を思い出す。
『嫌われるようなことするはずないもの』
少しだけ、聞いた。
エースさんの幼いころのこと。
・・・胸が痛い。
エースさんは笑ってるけど。
私ならきっと笑えない、あんな風に。
私も・・・・もっと大好きって伝えないと!
・・・・1人の人間として大好きだ、って。
「アコー朝飯行こうぜ」
「はーい」
毎朝迎えに来てくれて、
一緒に朝ご飯に行く。
夜は必ず部屋まで送ってくれる(隣がエースさんの部屋っていうのもあるけど)。
てくてくと食堂へ向かいながら、
「エースさん、いつも有難う御座います」
何となくお礼を言ってみた。
お礼は何かしてもらう度に言ってるけど、
今言いたくなったから。
「なっ・・・・何だよ急に」
エースさんは少し顔を赤くさせて、照れてるみたい。
・・・・可愛い。
「私ここに来てからお姫様みたいで」
エースさんがいつも側に居てくれるし、
何でもしてくれるから。
お弁当1つあげただけなのに。
「・・・姫が皿洗いなんかすんのかよ」
「お皿洗いは得意ですよ!」
私の世界では仕事にしてたくらいだし。
「別にしなくてもいいんだぜ?」
「私がしたいんです。エースさんだって私の為に色々しなくてもいいんですよ?」
「俺がしたいからいいんだよ」
そして2人で顔を見合わせて、笑った。
「私、エースさんのそういうところ大好きです」
「・・・あんま簡単にそういうこと言うなって」
「簡単じゃないです。本当にそう思ったんです」
「・・・アコ」
「はい?・・・わっ、」
返事をしたらすぐさま抱きすくめられて驚きの声が出た。
「すげェ心配になってきた」
「な・・・何がですか?」
「あー・・・俺の理性と・・・アコが」
「私が、ですか?」
「隙ありすぎ。ンな顔見せられっと襲いたくなるだろ」
「えっエースさんだって!」
「俺が何だよ」
「そんなにお優しいとアレですよ、他のナースさんにあれやってこれやってーって言われますよ!」
「アコ以外には優しくねェから大丈夫だ」
優しいなら今すぐ離して下さい・・・!
と言いたいけど、言ったらエースさんが傷ついてしまうのでは、と思ったら言えなかった。
「大丈夫じゃないです・・・!」
主に今!私が大丈夫じゃない!!
頭!!真っ白!!
「・・・ヤキモチ?」
「顔熱くて倒れそうです!!」
「・・・・悪ィ」
ぱ、っと離れた身体にほっと息を吐いた。
「す・・・隙を見せてるつもりは、ないんです私」
「って言われてもな。あれじゃ襲って下さいって言ってるようなもんだ」
エースさんは頭をがしがしとかいて不満そう。
「お・・・襲われるのは嫌ですけど、大好きだから大好きってお伝えしようかと・・・」
・・・・思っただけなんですけど。
「・・・・勘違いするから、やめとけ」
「・・・・はい」
寂しそうに笑ったエースさんに、胸がずきりと痛んだ。
そんなことがあった日の夜、
私は重大なことに気づいてしまった。
「あ」
・・・・マルコさんに頼まれてたことがあったの忘れてた。
エースさんに渡してくれ、と頼まれた書類。
今日中に渡さないと・・・!
エースさんまだ寝てないよね?
部屋隣で良かった。
すぐに書類を持って部屋を出て、
隣のエースさんの部屋のドアをノックした。
「・・・・エースさん、失礼します」
「アコ?どうした?何かあったのか?」
エースさんは居て、心配しながら私を出迎えてくれた。
「すみません、マルコさんに渡してくれって頼まれてたものがあって」
「・・・ってソレかよ」
「もっと早くにお渡しするべきでした・・・ごめんなさい」
「たいしたもんじゃねェし気にすることねえよ」
エースさんに書類を手渡して、これで任務完了、と喜んだのも束の間。
「そんなことよりアコ」
「あ、」
ぐっと手を引かれて強い力で閉じ込められた。
「寝間着姿でこんな時間に男の部屋に来てどうなるかわかってねェの?」
「え、あのでもっ」
「でもじゃねェよ。・・・言っただろ?俺は本気だって」
耳元で囁かれる言葉に心臓がどうにかなりそうで。
・・・でも私にだって言いたいこと、ある。
「駄目、ですか?」
「・・・アコ?」
「エースさんの側で安心してちゃ駄目ですか?」
すごく安心するのに。
たまにこうやってドキドキもするけど、
それも嫌じゃない。
『俺の前でくらいホントのアコを見せろ』
そう言ってくれたエースさんだから。
「・・・期待するだろ」
「え?」
「こんな時間に惚れた女が来たら、期待するだろ普通。なのにマルコがとか言うし」
拗ねたような口調に、
エースさんの気持ちに初めて気づいた。
・・・・私ホントエースさんの気持ち考えてなかった。
「・・・・ごめんなさい。でも私だって他の人の部屋だったらこんな時間に行ったりしません」
「・・・マジで?」
「エースさん、だからです」
安心出来る人、だから。
「ほんとにほんとだな?」
「はい」
いつか、
隙 が、
好き。 に変わるかもしれない。
だからその時は、
たくさんの大好きをエースさんに伝えられたらいいなぁ。
「安心してエースさんの側に居ても、いいですか?」
「・・・努力はする」
エースさんらしい返事に思わず笑ったら、
「見てろよ。絶対ェ惚れさせるからな」
少しだけ赤い顔のエースさんに睨まれた。
そんな、夜。
いつか来るその時まで、
よろしくお願いしますね。
エースさんは優しいし、こちらの世界に慣れていない私を気にかけてくれて。
悪い人じゃないのはわかってる。
でも少し積極的で、
色恋沙汰に慣れていない私はいつもドキドキ。
・・・エースさんの側は安心するのに、
ドキドキするという矛盾も学んだ。
美味しそうにご飯食べるところとか、
いただきますとごちそうさま、しっかりと挨拶するところとか。
・・・・好きだなぁ、とは思うんだけどな。
「アコー」
「はーい」
「ナース達が呼んでる。風呂だってよ」
「あ、有難う御座います」
「ゆっくり入って来いよ」
「・・・・はい」
・・・エースさんは、私がお風呂入る時必ず見張りをしてくれる。
前からそうなのかなって思ってたら、実は違うということを昨日とあるナースさんから聞いた。
『アコが来てからよ、エース隊長ったらまったく』
と、苦笑しているんだか、からかっているんだかわからない笑みでシンシアさんに言われて、
私は何と返したらいいのかわからなかった。
「・・・・ふぅ」
ちゃぽん、と熱いお湯に足をつけると、それだけでほっとする。
お風呂の気持ち良さは何処の世界でも共通だなあ、きっと。
船の中でこんなに素敵な浴槽があることには驚きだけど。
「でもエース隊長が見張ってて下さるとラクね」
「・・・そうですか?今まではどうされてたんですか?」
「基本的には見張りナシよ。そんな度胸のある方居ないもの」
「・・・すごいですね」
シンシアさんのナイスバディを横目に、ナースさん達強いんだぁ、と考える。
「でもたまーに酔っぱらったのとか新人が来るのよ。油断出来ないんだから」
「なるほど・・・・」
「エース隊長なら見張りに最適よね。信用出来るし」
「・・・エースさん、皆さんから信頼されてるんですね」
「こういうとこではね。アコにしか興味ないでしょうし」
「でもそれって・・・私が危ないってことは・・・?」
「ないない。嫌われるようなことするはずないもの」
ほっと胸をなでおろしながらも、頭にエースさんの笑顔が浮かんでドキドキしだした。
まずい、このままじゃのぼせちゃう。
でもさすが目の前に居るのはナースさん、
「あらアコ。のぼせちゃった?それとも別の理由かしら。先あがってていいわよ」
「・・・すみません、そうさせて頂きます」
「エース隊長によろしくねー」
「・・・・はい」
シンシアさんのお言葉に甘えて先にあがらせてもらって、
着替えて出たら、
「あ・・・・・見張り・・・お疲れ様です」
「・・・・おう」
エースさんがしっかりと見張ってくれていて。
「皆さんももう少しであがられると思います・・・」
「アコ早かったんだな。何かあったのか?」
「いえ、その・・・・今日のお湯は私には少し熱かったみたい、で」
「のぼせたか?茶用意してやろうか?」
「大丈夫です!!自分で・・・っ!」
「・・・行くのか?じゃあ俺も行く」
私の答えに不服そうなエースさんは、
「えっあっ」
私の横に並んで歩き出した。
・・・皆まだお風呂入ってるのに。
「・・・あのな」
「はいっ!?」
「厨房にはサッチが居るんだぜ」
「はあ、そうでしょうね」
サッチさんはコックさんだし当然だ。
「風呂上りのンなカッコで行ったらどうなるかとか考えろよ」
「・・・と言われましても。事実お風呂上りですし。変な恰好でもないですよ・・・ね?」
別に裸でも下着姿って訳でもない。
でもエースさんは私の疑問に小さくため息を吐いて苦い顔。
「少しは危機感持てって。んな隙だらけだと・・・そのうち俺に襲われんぞ」
「えっ・・・・・エースさんなら・・・・」
「・・・・・俺なら?」
「大丈夫だって、信じてます」
・・・そういうとこ信用出来るってシンシアさんもさっき言ってたし。
「・・・そっか」
少しだけ肩を落としたエースさんは、何処か嬉しそうでもある。・・・気がする。
「でも信用していいのは俺だけだからな?」
「・・・そうなんですか?」
マルコさんとかサッチさんとかも良い人だと思うんだけどなぁ。
「そうだ。・・・約束出来るか?」
「ど・・・努力します!」
とりあえずお風呂上りに気を付ければいいんだよね?
「よし」
私の返事に満足そうに頷いたエースさんは、
「サッチー!!飲みモンくれ」
「どうせお前じゃないんだろ?アコちゃん何がいい?カクテルでも作ろっか?」
サッチさんを見つけて飲み物を頼んでくれた。
・・・・至れり尽くせりって感じ。
「いえ、普通のお水かお茶で」
あ、氷も欲しいって言うの忘れてた。
「サッチ、氷も」
「わーかってるって」
・・・・・エースさん、わかってくれてた。
「ほい、どーぞ。アコちゃんお風呂上り?色っぽいねェ」
「え、」
いろっぽい・・・・?
私が!?
「サッチ!あんま見んな!」
「エース君かーわいー」
「・・・うるせェ」
「ああああのっサッチさん有難う御座いました!」
「どーいたしまして。今度俺が見張りやろうかなぁ」
「却下。ナースも嫌がるだろサッチじゃ」
「失礼だな。俺は紳士だ、なぁアコちゃん?」
「え、あ・・・・は・・・・・い?」
「ほらみろ」
サッチさんには失礼だけど、
そういう面では信用出来ない・・・気がする。
「おっかしーな。俺程信用出来る奴もいないはずなんだけどなー」
「あの、エースさんは信用出来るってナースさん達が」
「・・・・マジか」
がっくりと肩を落としたサッチさんに、
「俺の勝ちだな、サッチ」
勝ち誇った笑みを浮かべてエースさんは私の背中に手をやった。
「ぐ・・・!」
「行こうぜ、アコ」
「あ・・・サッチさんご馳走さまでしたっ」
エースさんに押されながらもお礼だけはちゃんと言って、退室。
「ほらみろ。言っただろ?風呂上り禁止な」
「・・・初めて言われました、色っぽいなんて」
「・・・嬉しそうにしてんなよ」
拗ねたような口ぶりに、
「お風呂上りってそんなに違います?」
素直な疑問をぶつけてみる。
「顔が赤い。髪、濡れてる。・・・正直俺も信用すんなって言いてェとこだ」
「エースさんも駄目なんですか?」
複雑な顔のエースさんは、
「・・・ホントは今すぐでも」
「・・・・今すぐ、でも?」
ピタ、と立ち止まったエースさんは途端真剣な顔になって、
私を見つめて来た。
「・・・・・・・・色々したいんだからな」
「・・・・・・・・スミマセン」
・・・・何か恥ずかしくなってきた。
信用するな、と言いながらもエースさんはずっと私の側に居てくれた。
時には優しく頭を撫でてくれて、
褒めてくれたり。
時折私の顔色を窺うような仕草に、
シンシアさんの言葉を思い出す。
『嫌われるようなことするはずないもの』
少しだけ、聞いた。
エースさんの幼いころのこと。
・・・胸が痛い。
エースさんは笑ってるけど。
私ならきっと笑えない、あんな風に。
私も・・・・もっと大好きって伝えないと!
・・・・1人の人間として大好きだ、って。
「アコー朝飯行こうぜ」
「はーい」
毎朝迎えに来てくれて、
一緒に朝ご飯に行く。
夜は必ず部屋まで送ってくれる(隣がエースさんの部屋っていうのもあるけど)。
てくてくと食堂へ向かいながら、
「エースさん、いつも有難う御座います」
何となくお礼を言ってみた。
お礼は何かしてもらう度に言ってるけど、
今言いたくなったから。
「なっ・・・・何だよ急に」
エースさんは少し顔を赤くさせて、照れてるみたい。
・・・・可愛い。
「私ここに来てからお姫様みたいで」
エースさんがいつも側に居てくれるし、
何でもしてくれるから。
お弁当1つあげただけなのに。
「・・・姫が皿洗いなんかすんのかよ」
「お皿洗いは得意ですよ!」
私の世界では仕事にしてたくらいだし。
「別にしなくてもいいんだぜ?」
「私がしたいんです。エースさんだって私の為に色々しなくてもいいんですよ?」
「俺がしたいからいいんだよ」
そして2人で顔を見合わせて、笑った。
「私、エースさんのそういうところ大好きです」
「・・・あんま簡単にそういうこと言うなって」
「簡単じゃないです。本当にそう思ったんです」
「・・・アコ」
「はい?・・・わっ、」
返事をしたらすぐさま抱きすくめられて驚きの声が出た。
「すげェ心配になってきた」
「な・・・何がですか?」
「あー・・・俺の理性と・・・アコが」
「私が、ですか?」
「隙ありすぎ。ンな顔見せられっと襲いたくなるだろ」
「えっエースさんだって!」
「俺が何だよ」
「そんなにお優しいとアレですよ、他のナースさんにあれやってこれやってーって言われますよ!」
「アコ以外には優しくねェから大丈夫だ」
優しいなら今すぐ離して下さい・・・!
と言いたいけど、言ったらエースさんが傷ついてしまうのでは、と思ったら言えなかった。
「大丈夫じゃないです・・・!」
主に今!私が大丈夫じゃない!!
頭!!真っ白!!
「・・・ヤキモチ?」
「顔熱くて倒れそうです!!」
「・・・・悪ィ」
ぱ、っと離れた身体にほっと息を吐いた。
「す・・・隙を見せてるつもりは、ないんです私」
「って言われてもな。あれじゃ襲って下さいって言ってるようなもんだ」
エースさんは頭をがしがしとかいて不満そう。
「お・・・襲われるのは嫌ですけど、大好きだから大好きってお伝えしようかと・・・」
・・・・思っただけなんですけど。
「・・・・勘違いするから、やめとけ」
「・・・・はい」
寂しそうに笑ったエースさんに、胸がずきりと痛んだ。
そんなことがあった日の夜、
私は重大なことに気づいてしまった。
「あ」
・・・・マルコさんに頼まれてたことがあったの忘れてた。
エースさんに渡してくれ、と頼まれた書類。
今日中に渡さないと・・・!
エースさんまだ寝てないよね?
部屋隣で良かった。
すぐに書類を持って部屋を出て、
隣のエースさんの部屋のドアをノックした。
「・・・・エースさん、失礼します」
「アコ?どうした?何かあったのか?」
エースさんは居て、心配しながら私を出迎えてくれた。
「すみません、マルコさんに渡してくれって頼まれてたものがあって」
「・・・ってソレかよ」
「もっと早くにお渡しするべきでした・・・ごめんなさい」
「たいしたもんじゃねェし気にすることねえよ」
エースさんに書類を手渡して、これで任務完了、と喜んだのも束の間。
「そんなことよりアコ」
「あ、」
ぐっと手を引かれて強い力で閉じ込められた。
「寝間着姿でこんな時間に男の部屋に来てどうなるかわかってねェの?」
「え、あのでもっ」
「でもじゃねェよ。・・・言っただろ?俺は本気だって」
耳元で囁かれる言葉に心臓がどうにかなりそうで。
・・・でも私にだって言いたいこと、ある。
「駄目、ですか?」
「・・・アコ?」
「エースさんの側で安心してちゃ駄目ですか?」
すごく安心するのに。
たまにこうやってドキドキもするけど、
それも嫌じゃない。
『俺の前でくらいホントのアコを見せろ』
そう言ってくれたエースさんだから。
「・・・期待するだろ」
「え?」
「こんな時間に惚れた女が来たら、期待するだろ普通。なのにマルコがとか言うし」
拗ねたような口調に、
エースさんの気持ちに初めて気づいた。
・・・・私ホントエースさんの気持ち考えてなかった。
「・・・・ごめんなさい。でも私だって他の人の部屋だったらこんな時間に行ったりしません」
「・・・マジで?」
「エースさん、だからです」
安心出来る人、だから。
「ほんとにほんとだな?」
「はい」
いつか、
隙 が、
好き。 に変わるかもしれない。
だからその時は、
たくさんの大好きをエースさんに伝えられたらいいなぁ。
「安心してエースさんの側に居ても、いいですか?」
「・・・努力はする」
エースさんらしい返事に思わず笑ったら、
「見てろよ。絶対ェ惚れさせるからな」
少しだけ赤い顔のエースさんに睨まれた。
そんな、夜。
いつか来るその時まで、
よろしくお願いしますね。