短編②
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高校を卒業してすぐに就職。
右も左もわからない、
本当に何もわからない新入社員の私に優しくしてくれた、
シャンクス先輩。
私よりずっと大人で、余裕があって優しくて。
私もこんな人になりたいと頑張って20歳になった誕生日。
『誕生日おめでとうアコ。これで今日から一緒に酒が飲めるな』
『はいっ飲みに連れて行って下さい』
『夜景の綺麗なバーとか、興味ないか?』
『夜景の綺麗な・・・!?』
素敵だけど高そう!!
と怯んだ私の手を取って、シャンクス先輩は微笑んだ。
『2人きりで行きたい。・・・この意味がわかるか?』
『え、と・・・・・え?』
『俺の恋人になってくれねェか?アコ』
『は・・・・・・・っはい・・・・』
告白されてYESと返事をした私。
結局その日は仕事が忙しくて一緒にお酒どころじゃなかったんだけど。
・・・憧れの先輩と恋人になれた。
幸せ半分。
・・・・もう半分は、不安。
子供な私と、大人なシャンクス先輩。
果たして釣り合うのか。
そして明日は、そんなシャンクス先輩との初デート。
着る服も決めたし持ち物もチェックしたし、
目覚ましも大丈夫。
ふぅ、とベッドの中で軽く息を吐く。
・・・・ドキドキして眠れないかも。
男の人とデートなんて、
中学生の時に同級生と1回したことがある程度。
しかも年上の男の人とは初めてだし。
・・・・ああ、どうしようと目を閉じて。
・・・結局良く眠れないまま朝になってしまった。
目覚ましが鳴る前に起きて、
顔を洗ってトーストを齧った。
・・・・・・食事、綺麗に食べられるかなぁ。
ハンバーガーは食べないようにしよう、綺麗に食べるの難しいし。
色々考えながらお化粧をして、何度もおかしくないか確認して。
・・・それでもだいぶ待ち合わせ時間には余裕があったけど、落ち着かないので家を出た。
なのに、
「しゃっ・・・・・」
「無事に来れたな、アコ」
まだ時間よりだいぶ早いのにシャンクス先輩は待ち合わせ場所に来ていて、
しかも早々に私を見つけると颯爽と近寄ってきてくれた。
「まだ早い、のに・・・」
「待ちきれなくて早めに来てたんだが・・・ラッキーだった、こんなに早くアコに会えた」
「あ・・・」
シャンクス先輩はシンプルなシャツに上質なジャケット、ラフなジーンズ。
・・・・カッコイイ。
「いつも可愛いが今日は特別に可愛いな。俺の為、か?」
「がっ頑張りました!」
「よく出来ました。でも今日は敬語ナシな。先輩呼びもだ」
「え!?」
シャンクス先輩は私の目の前まで来て、私と同じ背の高さまでしゃがみ、
私の髪を優しく撫でて、
「今日は恋人だろ?」
「・・・・・はい・・じゃなくて・・・うん」
その仕草があまりにも素敵で見惚れてしまった。
それからシャンクス先輩は私の顔をのぞき込んで、
「何処か行きたいとこ、あるか?」
優しく聞いてくれた。
・・・ドキッとした。
「お・・・お買い物、とか」
「よし、行こう」
行こう、と言いながらさりげなく繋がれた手と手。
うわあ、うわあ・・・・!!
「疲れたら言ってくれ」
「だっ大丈夫・・・」
「・・・・アコ」
「え?・・・わっ」
名前を呼ばれた途端身体を先輩の方に引かれて。
驚く私の横を自転車が猛スピードで通り過ぎて行った。
「危ないな。怪我してないか?」
「だいじょぶ、です・・・」
私は心臓ばくばくなのに、先輩は余裕そうに見える。
ドキドキしたままショッピングモールに着いて、
「あ、あの店見ても・・・・やっぱいいです」
「行きたいんじゃないのか?」
「・・・でも女の子向けの雑貨店だし、シャンクスにはつまらないと思う、から」
「アコの好きな物は俺も興味がある。行こう」
つい女友達と居る感覚で誘ってからしまった、と思ったけど、シャンクス先輩は嬉しそうに私をその店に連れて行ってくれた。
お店で物色中もシャンクス先輩は一切つまらなさそうな顔をすることなく、興味深そうに見てくれてて。
「えと、じゃあこれとこれ・・・買おうかな」
私が手に取った、座布団に座った招き猫の人形と鈴のキーホルダー。
「俺はペンでも買うかな」
先輩はシンプルなボールペンを1本手に取り、
「アコのはこれだな」
「あ」
私の持っていた猫と鈴をひょいと取ってレジに持って行ってしまった。
「こっちがアコの方だ」
「あ、あのお金っ」
「金?もらったはずだが」
「嘘っ」
絶対渡してないのに!!
先輩は知らん顔で、
「そろそろ昼にするか。何が食いたい?」
・・・話しを逸らす。
「・・・何でも」
「ここの上のレストラン階に美味いパスタの店がある、そこでも?」
「うん、そこで」
パスタは大好き。
良かったお洒落なカフェとかじゃなくて、とほっとしたのも束の間。
「ここだ」
と扉を開けてくれた先にはお洒落なイタリアンレストラン。
衝撃に立ち尽くす私に先輩は至って普通に案内された席に進んでいく。
「アコ、こっちだ。・・・ここが眺めがいいんだ」
「わ、素敵」
街並みが見下ろせる大きな窓辺。
でもこの後どうしたらいいのか・・・!
先輩のやり方を見てマネしてみる。
ナプキンを膝に置いて。
先輩はそんな私を見てくすりと笑い、
「緊張しなくていいさ。楽にして食わなきゃ美味いモンも美味くなくなる」
・・・先輩は大人だなぁ。
そして出て来たパスタは、
「美味しい・・・・っ」
今まで食べたことがない程の美味しさだった。
「アコが好きだと思ったんだ、ここの味なら」
「・・・・せんぱ・・・シャンクス、もしかして」
今日の為に調べておいてくれた?
「美味そうに食うアコが好きだ、とだけ言っておこう」
・・・・嬉し恥ずかし。
そして楽しい食事も終えてお会計。
レジでお財布出してたのに、
先輩がお会計してくれて。
「私の分、」
お札を出した私の頭を先輩がぽんぽん。
・・・・大丈夫、と言われたみたい。
そう言えば仕事でミスした時とかよく今みたいにしてくれてる。
・・・何か、少し落ち着いたかも。
「・・・ご馳走様です」
「次何処行きたい?」
「シャンクスが行きたいところはないの?」
私の希望ばっかりじゃ、と聞いてみたら。
「そうだな・・・あそこがいい」
とシャンクスに連れられてきたのは、
予想外過ぎるゲームセンター。
「あ、コレ可愛い」
死んだ目の牛のぬいぐるみを可愛いと思ってしまった・・・・!
「これだな?」
シャンクス先輩は楽しそうに笑うと小銭を投入。
クレーンを動かしていくも、
「あ」
ぬいぐるみは軽く動いただけ。
「あの、無理しなくても・・・」
「これからが勝負なんだ。心配しないでいい」
再び小銭を投入。
・・・そんな先輩は楽しそうで、私も楽しくなった。
そしてついに3回目のチャレンジで、
「あ・・・・あー!!落ちた!!」
クレーンはぬいぐるみを掴まず、
でもその動きによって転げ落ちた。
「こういうのは無理につかもうとするんじゃなくて落とすって戦法がいいんだ」
「すごい・・・!」
先輩はぬいぐるみを備え付けの袋に入れて、
渡してくれるのかと思いきや自分で持ったまま。
「・・・シャンクス?」
「アコには悪いが、今はまだ牛に邪魔される訳にはいかねェんだ、俺とアコのデートだからな」
・・・死んだ目の牛のぬいぐるみは結構大きいから私が持ったら両手で抱えないといけない。
そしたら手、繋げない。
・・・・だから?
そんな私の気持ちを見透かしたかのように先輩はそっと私の手を優しく握った。
「・・・・っ」
・・・・何かもう言葉にならない。
「・・・シャンクス、有難う。大好き」
ぼそっと呟いたら、
「俺もだ」
シャンクスも嬉しそうに微笑んだ。
・・・幸せだなぁ私。
と幸せを噛みしめながら色んなところに行って。
夜。
「せっかくだ、夜は酒を一緒に飲まねェか?」
「は・・・はいっ」
お・・・お洒落なバーとかに連れて行かれるのかな!?
頷いた私にご機嫌な先輩。
どきまぎしながら着いた場所は、
「・・・・居酒屋」
「・・・やっぱりもっとお洒落な店が良かったか?」
「ううん・・・バーだったらすっごい緊張してたなぁって」
少し焦った様子を見せた先輩はほっとしたように笑った。
「緊張したアコも可愛いが、最初だからな」
「でもシャンクスは・・・バーの方が」
私に気を遣って居酒屋だったら申し訳ない。
「何処だろうといいさ。アコが俺の隣に居てくれることが肝心だろう?」
「シャンクス・・・」
「最近はこういうとこでもカクテルの種類も多い。ゆっくり、な」
ちゅ、と頬に落とされた唇。
「しゃっ、せん、・・・・っ!!」
シャンクス先輩・・・・!と思ったように言えなかった。
「こっちの方も、ゆっくり進んで行こう」
「う・・・・ぁ・・・・はい・・・・」
お酒まだ飲んでないのに顔が熱い。
「・・・せっかくだからシャンクスのおすすめのお酒が飲みたい」
お酒よくわからないし。
居酒屋でそう言ったら、
シャンクスはファジーネーブルというのを注文してくれた。
シャンクスは生ビール。
「生とファジーネーブル、生ハムサラダと卵焼きです」
お待ちかねのお酒登場。
「えと、じゃあ・・・乾杯?」
「ああ、乾杯」
カチン、とグラスを合わせてゆっくりと喉に通した。
「あ・・・甘くて美味しい」
「ジュースみたいで飲みやすいだろ?でも酒だから飲み過ぎると酔うから気を付けねェとな」
これならいくらでも飲めちゃいそう、と思ったんだけどやっぱりお酒なんだよね。
「卵焼きも美味しい。サラダも」
「ほら、あーん」
「ひっひとりで食べられるよ・・・!?」
「会社じゃ出来ないからな」
「あ・・・あーん」
先輩は卵焼きを掴んだお箸を私の口元に。
私が口を開けるとそこに丁寧に放り込む。
・・・・・恋人っぽい。
恋人なんだけど・・・・!
「酒だけ飲むのは身体に悪いんだ。悪酔いしない為にも水も飲んでおくこと」
「・・・はぁい」
「それからしばらくは俺以外の男の前で酒を飲まないようにして欲しいな」
「え、何で?」
「酒に酔わせて悪いことする男がたくさんいるってことだ」
「・・・気を付けます」
・・・そういうの聞くと私がまだ子供なんだなぁって思い知らされる。
・・・同時にずっとシャンクス先輩の側に居たい、とも思った。
「・・・ちょっと口うるさかったか?」
「ううん、そんなことない」
シャンクスは苦笑してビールを飲んだ。
「不安になったか?俺と付き合うこと」
・・・私が不安だったように、先輩も不安になったりするんだ。
ずっと優しくて余裕があるように見えたのに。
「・・・もっとシャンクスの側に居たくなった」
思ったことをそのまま伝えたら先輩は嬉しそうに笑った。
「覚悟してくれ、離す気はない」
言いながら私の手を取り、
甲にちゅ、とキスをした。
「・・・・っああああの恥ずかしいので・・・!!」
「ここは寿司も美味いんだ。追加注文しよう」
私の抗議をさらりとスルーして先輩が追加注文をし始めた。
・・・・私の好きなものばかりを。
思えばいつも私のことを守ってくれてた。
・・・・思えばいつも、
シャンクス先輩の笑顔にいつも不安はかき消されてた。
・・・・私、幸せだなぁ。
と改めて思った初デートでした。
ちなみに居酒屋ではお座敷タイプの部屋で1回靴を脱いでたんだけど、
出る時靴を履こうとしたら先輩が、
「お任せを、姫」
と言って履かせてくれました。
・・・・・・でもさすがにこれは恥ずかしかったのでもうやらないで下さいとお願いしました。