短編②
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『ごめん、友達とお茶して帰るから遅くなるね』
シャンクスにそうメールを送って、
送信完了の文字を見てからため息を吐いた。
これからのティータイムが楽しいものなら良かったのにな。
ふぅ、と再び息を吐いて空を見上げると、
手に持っていた携帯が震えた。
同棲中の恋人であるシャンクスから返信だ。
『あんまり遅くなるなよ?』
『わかった、って言いたいとこだけどちょっと無理かも。色々あって』
友達が更衣室で着替えてる間に、
シャンクスにすべてを理解してもらえるなんて思わないけど、
『了解。終わったらメールしろよ。迎えに行く』
・・・・・・・・シャンクスは状況を何となく理解してくれた様子。
返信にほっとして、
「ごめんね、お待たせ」
着替え終わった友達と駅前の喫茶店に向かった。
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「い、ま終わった、よ、と」
結局お茶会が終わったのが9時半。
シャンクスにメールを打つと、
『すぐ行く』
との返事。
そしてメールの通り、シャンクスはすぐに来た。
「お疲れさん」
「あれ、早いね?」
駅前まで迎えに来てくれたシャンクスの車に乗り込んで、
ベルトを締めた。
「実は近くでずっと待ってたんだ。心配でな」
「ありがとね。・・・・ごめん」
「気にするな。それより大丈夫か?」
「私は大丈夫。・・・・・私は」
言って深いため息を吐いた私を見てシャンクスは苦笑い。
「お前と仲いいあの子のことだろう?」
「うん。・・・・もう辞めちゃうかも」
「そりゃまた、何で」
「今日修羅場になっちゃって」
「修羅場?」
「とある1人の問題児にね、皆鬱憤溜まってたみたいで。1人の人がキレちゃったの」
「・・・・・・・・・女同士ってのは怖いからなァ」
しみじみ呟くシャンクスに、
私も思い出す。
・・・・・・・・ほんと、怖かった。
「怖かったよホント」
「まさか巻き込まれたのか?」
驚いて心配そうに顔を覗きこんでくるシャンクスに、
「シャンクスっ運転!集中!」
前を見て、と叫ぶ。
心配してくれるのは嬉しいけど安全第一でお願いしたい・・・!
でもシャンクスはけろっとした顔で、
「大丈夫だ、アコを死なせはしない」
・・・・・・・・・なんて。
「・・・・・・・もう」
「で、どうなんだ?」
再び運転に集中し始めたシャンクスが前を見ながら真剣に一言。
「え、何が?」
「だから、お前も巻き込まれたんじゃねえだろうなって話だ」
「・・・・・・・・・・・うーん」
「それは肯定と取っていいんだな?」
ここで、はいと頷くのは後々がとっても怖いけど、
嘘もつけない。
「巻き込まれた、っていうか、自分から行ったっていうか」
思わず小さい声になる。
そんな私を見てシャンクスが、呆れたようにため息を吐く。
「んなこったろうと思った。どうしてお前いつも、そうなんだ・・・・」
「だって」
言い訳しようと口を開いたら、
「友達の為だろ?今日お茶してきたのもその子を励ます為」
「・・・・・・うん」
先に言われた。
まったくもってその通りなんだけど。
改めて口にされると気恥ずかしいものがある。
「お前のそういうとこは好きだけどな、あんまり心配させてくれるな」
ぽんぽん、と運転片手に頭を撫でてくれた。
「ありがと、シャンクス。でも本当に私は大丈夫なの」
「ま、仕事辞めちまうってのも考えとけよ」
「でもっ」
「わかってる。アコの性格からしてこのまま辞められないってのは」
「・・・・・・・・・です」
「友達のこともあるだろうが、1番大事なのは自分だろう。それに」
それに、の続きを待つ。
でもシャンクスはなかなか続きを口にしようとしない。
車は、赤信号で止まった。
「シャンクス?それに、何?」
「いや・・・・やめておこう」
シャンクスは赤信号をじっと見つめてる。
「何それ気になる」
「だが今これを言うのは卑怯な気がするんだ」
「・・・・・・・・・・そうなの?」
「そうなんだ」
そう言って頷くシャンクスの横顔は、寂しそうな気がした。
・・・・・・・・・そんな顔されたら、
気になっちゃう。
「・・・・・・・・・・でも、聞きたい。シャンクスが卑怯でも嫌いになったりしないから」
「じゃあ、言わせてもらうが」
「うん」
シャンクスがそこまで言ったところで信号が青になり、
車が発車。
「仕事辞めて俺と結婚したらいい」
それは自然に、
空気に溶け込んだ。
「・・・・・・・・・・・・・・え?」
「・・・・・・これでも、嫌いにならない、か?」
「・・・・・・・・・・私運転してなくて良かった。や、免許持ってないけど」
それから会話になってない会話をして。
「で、返事を聞かせてくれないか?」
ドキドキと暴れる心臓の音を聞きながら、
心の整理。
「嬉しい・・・・・すごく。でも結婚を逃げ道にしたくない。もうちょっと、頑張らせて?」
「勿論だ。・・・どんな辛いことがあっても、俺がアコを愛してるってのは忘れないでくれ」
心のこもった声。
・・・・・・・・沁みるなあ。
泣きそう。
「・・・・・・・・・私が、辛いことがあっても頑張れるのはシャンクスが居てくれるからって、忘れないでね」
そう言えばシャンクスは一瞬だけ顔を向けてくれて。
合った視線に、
幸せと元気をもらった。