短編②
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マルコさんに、「好きです」
と単純な告白をして。
海賊である男の恋人になるってことがどれだけ危険か、
今までの仲間と違うことや、
寂しい思いをさせることとか。
とにかくたくさんの説明とお説教をもらった後、
「俺も好きだ、よい」
という何とも可愛らしい返事をくれたマルコさん。
そんなマルコさんと、
今日私は初めての、デート・・・・・です。
手を繋ぐこともなく、
ましてや腕を組むこともなく。
ただ、知らない町をふらふらと歩くだけのデート。
・・・・・・・・や、それだけでも嬉しいんだけど。
「デートしてもらえるなんて思ってなかったです私」
素直な気持ちを口にすれば、
「何でだい」
ちら、と一瞬だけマルコさんがこちらを見た。
・・・・・・・さっきからあんまり視線を合わせてくれないんだよねマルコさん。
やっぱりデート嫌だったのかしら。
「海賊が堂々とデートなんて出来ねえよい、とか言われると思ってたので」
海軍に見つかると厄介だし。
「騒ぎ起こさなきゃ問題ねえだろい?海軍に怯えて行動制限されるなんて御免だよい」
確かに。
私達は、自由だ。
海賊なんだもん。
「・・・・えへへ、嬉しいです」
そう言って笑ったところで、
「食い逃げだ!捕まえてくれ!!」
何処かからそんな声が聞こえてきた。
「・・・・・・・・・・マルコさん、食い逃げですって」
「・・・・・・・・・らしいねい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・マルコさんマルコさん、私嫌な予感しかしないです」
「奇遇だな、俺も同じだよい」
言いながらマルコさんは私の手を取る。
「え、」
マルコさんに引かれて、
連れてこられた路地裏。
「まっマルコさん!?」
「・・・・・・・・・・ちょっと黙ってろい」
「・・・・・・?」
何で、と言う言葉を飲み込んで表通りの様子を見る。
物凄い勢いで走ってきた、のは。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エース」
逃げるエース、
追いかける店の主。
の図。
ああ、やっぱり食い逃げってエースのことだったんだ。
「あの馬鹿・・・・・」
呟くマルコさんの顔の苦々しいこと。
「やっぱりエース、でしたね」
「んなこったろうと思ったよい」
「でも何で隠れたんですか?」
この疑問にマルコさんは、
「エースのことだい、俺達を見つけたら名前呼んだりするに決まってる」
「・・・・・・・・・・・なるほど」
そんなことになったら一大事だ。
のんびりデート、なんて出来る訳ない。
あ、でも。
っていうことは。
「・・・・・アコ?何してんだい、行くよい」
「あ、はい」
変わらず、手も繋がないし、
甘い雰囲気もないけど。
マルコさんも・・・・・・
私とのデートを楽しんでいたいって思ってくれたってこと、かな。
だったら嬉しい。
再びデートを続行しながら、
「そういえばエース、前も食い逃げしてましたよ」
逃げたエースのことを思い出す。
「・・・・・・・・・・・帰ったら反省文100枚書かせるよい」
「あははっでもエースってちゃんと提出するんですか?」
「させてやるよい」
「エースって食べてるイメージか戦ってるイメージしかないんですよねー私」
「・・・・・・そうかい」
「美味しそうに食べてる姿とか、楽しそうに戦ってる姿とか。反省文とかやってる時の顔見たいなあ」
「・・・・・・・・・・そうだねい」
「・・・・・・・・マルコさん?」
話してるうちにマルコさんの反応が鈍くなってきた気がして横を見る。
・・・・・・・・・ちょっと不機嫌?
他の人から見たら変わらないかもしれないけど、
私はずっと見てきたからわかる。
「・・・・・・・・・ああ、何だい」
「何かありました?」
思わずそう問いかければ、
「・・・・・・俺ぁ、アコはエースとくっつくと思ってたんだよい」
「・・・・・・・・・・・・ええええ!?」
意外な発言が飛び出した。
「なななな何でですか!?よりによってエースぅぅ!?」
「仲も良いし・・・・楽しそうに笑ってるだろい、アコが」
「はあ、まあそりゃ大事な仲間ですし・・・いつも美味しいって食べてくれますから」
「だから、だよい。俺ぁおっさんだし、一緒に居ても面白いことなんかねえだろい」
「あ、それ付き合う前に聞きましたよ」
「なら、」
「でもそれ、マルコさんが知らないだけです」
「・・・・・・・・・・は?」
ぽかん、と口を開けた少し間抜けな顔のマルコさん、ちょっと可愛い。
なんて失礼なことを思いながら説明する。
「だって私今まで必死に隠してきたんですもんマルコさんへの気持ち」
「隠してた?」
「だから・・・マルコさんと話したりした後、1人で幸せかみ締めたり、楽しくてもぐっと堪えてきたんですよ」
「・・・・・・・・・・どういうことだい」
「でもエースが背中、押してくれて。おっさんでも何でも、マルコさんのあったかさと優しさが大好きです」
幸せなんです。
言った瞬間、
手を引っ張られて、
あれまた路地裏?またエース?と思ったら。
指と指が、絡んだ。
つながれた、手。
・・・・・・・・・・・マルコさんの手、大きいなあなんてのんきに考えながら、
「・・・・・・・・・まっ」
マルコさん!?
「痛くねェかい」
「え?」
「慣れてねェんだよい、こういうのは。加減が出来ねえ」
もしかして、
今まで手を繋いでくれなかったのは、
不安だったから?
なんて思ったら。
やっぱりマルコさんが可愛くて。
「嬉しいですマルコさん。大好き」
ぎゅ、っと握られた手から、
同じ気持ちだ、と言われた気がした。