短編②
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シャンクス先輩は、
私にとって先輩で。
年齢差が縮まる訳じゃないし。
・・・・・私にとって、
彼が上司であろうと恋人であろうと。
・・・シャンクス先輩であることに変わりはない。
それに今までずっとシャンクス先輩、って呼んでたから。
今更、
『せっかくまた両思いになれたのに、名前呼んでもらえねえ俺の気持ちも考えてくれ』
・・・・・と、先輩呼びを禁止されてしまった。
シャンクス、と呼ぶのは嫌じゃない。
・・・恥ずかしいのもあるけど、
1番は慣れの問題。
つい癖で呼んでしまって、
先輩が拗ねるのが最近の習慣。
優しくて寛大な先輩なんだけど、1回そうなると後が面倒。
機嫌を直してもらうのに一苦労する。
しかもこの間、
『これから先輩、って呼ぶ度にキスする』
と宣言されてしまったので大変なことになった。
・・・・楽しみなデートが、少しだけ憂鬱。
もう何回目かのデート。
着ていく服や小物を選んでいるうちに時間ぎりぎりになってしまい、
待ち合わせ場所に着いた頃にはシャンクス先輩はもう着いていた。
「せん・・・・・っシャンクス、お待たせ」
危うく先輩と言いかけた私にシャンクス先輩は苦笑して、
「そんなに待ってないから大丈夫だ」
よしよし、と髪の毛を優しく撫でてくれる。
「でも映画の時間」
「チケットは買ってあるし、まだ余裕があるさ」
「・・・・さすがシャンクス」
「勿論指定席だから安心だ」
「映画の後はどうします?」
「ちょうど昼時だからな、ステーキでもどうだ?」
「・・・あのお店で?」
「ああ、あの店で」
「Aセット?」
「いや、今日はステーキ丼にしてみよう。がっつり肉を食いたい気分なんだ」
「・・・・さいですか」
・・・・何かちょっと恥ずかしくなった。
ちょっと前のことなのに随分昔のことに思える、1人で行くはずだった映画にシャンクス先輩と行った時のこと。
複雑・・・と唸る私を見てシャンクス先輩が笑った。
「Aセットも美味かったけどな。アコが行きたい場所があるならそこに行くが」
「いえ、大丈夫で・・・・す」
ああ、やっちゃった。
「まだ慣れねェみたいだな」
「・・・お時間下さい」
敬語もなくして欲しいって言われてるんだけど。
なかなか抜けない。
「敬語の方はまだいいんだが」
「・・・・先輩、が駄目ですか」
「そうだなァ。・・・他人行儀な気がするだろう?」
「・・・しますかね?」
「先輩、ってのはいわゆる名称だろう?個人の名前で呼ばれないってのはどうもな」
愛を感じない、ってことなのかな。
・・・・でも確かに私も名前で呼ばれて嬉しい。
なぁ、後輩。
・・・・って呼ばれるのは寂しいかもしれない。
「わかってはいるんですけど・・・私にとっては先輩は先輩で」
「恋人とは認識されてねェってことか?」
「そういう訳じゃ・・・・っ!」
途端シャンクス先輩が寂しそうな顔をしたので慌てた。
「ならいいさ。少しずつ教育させてもらう」
「きょ・・・・」
教育って・・・!
「前に言ったな?先輩って呼んだらキスだ」
「でも外では、」
「関係ない。外だろうと何処だろうと呼ぶ度にするぞ俺は」
・・・やりかねない、この人なら。
「でもせんぱ、・・・・っ」
これはセーフ!とヒヤリとした瞬間、
ちゅ。
唇に一瞬の熱。
「いっ今のはセーフでしたよ!?」
「アウトだ」
「・・・・厳しい・・・・っ」
しれっと言われてがっくり。
「そろそろ映画に行っても?」
「・・・・はい」
嬉しそうな先輩に何も言えず、
というか拗ねられるよりはいいかなぁと思いながら手を繋いだ。
「面白かったですね、映画」
「迫力あったな」
今日見たのは連続ミステリドラマが映画になったもの。
ドラマでは普段ない爆発などたくさん盛り込まれていて楽しかった。
「あの刑事さんシャンクスに似てたかも」
「・・・俺の方がカッコイイだろう?」
にぃ、と口角を上げて笑みを浮かべる先輩は、
確かにカッコイイ。
「・・・・うん、かっこいい」
だから素直にそう言ってみたら、
「・・・いい子だ」
再び唇にキス。
「っ先輩だって私のこと子供扱いしてるじゃないですか!」
思わず抗議したら、また口に出てた。
「アコ」
「ん、・・・・・んーっ」
そして今度は長い口づけ。
「子供にこんなことしねェ。大人のキスだからな」
「シャンクスのばかー・・・・」
「アコが可愛いのが悪い」
「私は悪くありません。もう知らないっ」
今度は私が怒るんだから。
・・・・なのに先輩はにこにこ。
「あの・・・シャンクス?」
「ん?」
「私怒ってるんですよ?」
「ああ、知ってる」
「シャンクスに怒ってるんですよ?」
「ああ、すまん」
すまん、と言いながらやっぱり何処か嬉しそう。
「・・・何でそんなに嬉しそうなんですか?」
「アコが怒ってるのは恋人の俺に、だろう?」
「・・・ですけど」
「それが嬉しいんだ」
「そ・・・っ」
それは卑怯です・・・・!
「キスしたこと自体に怒ってる訳じゃないってのが1番嬉しい」
「・・・・・・・怒ってない訳じゃ、」
「したのがここじゃなかったら?」
「・・・・・怒らないですけど」
「嬉しいんだ、それが」
・・・・・・・・・その笑顔に、胸が締め付けられた。
・・・長い間を経て再び両想いになれたのに、苦しい。
来週は先輩が私の家に来ることになって。
・・・もう、先輩と呼ばないようにしないと。
普段からシャンクス、と呼ぶことを心がけよう。
大好きなシャンクスを傷つけたくないし。
部屋もちゃんと片付けておかないと。
あ、シャンクスの好きな飲み物用意しておこう。
お昼何作ろう。
おやつも・・・ケーキ焼こう、かな。
紅茶はあれで良いよね。
シャンクス。
・・・・これからは心の中でもそう呼ぼう。
シャンクス先輩、と呼ぶことが彼を傷つけるなら。
私はもう、シャンクスを傷つけたくない。
あっという間の1週間だった。
でもずっとシャンクスのことばっかり考えてた1週間でもあった。
でももう大丈夫。
ぴんぽーん、とインターホンが鳴った。
「はーい」
「邪魔する」
「狭いとこだけど・・・」
社長であるシャンクスの高級マンションに比べたら私の家なんてたかが知れてる。
「アコが居るならどこでも大差ねェさ。・・・と言いたいところだが」
「だが?」
「アコの家はやっぱり特別だな、アコの匂いがする。最高だ」
「どっどんな匂い!?」
「いい匂いだ、心配するな」
どぎまぎする心臓を押さえつけて、
シャンクスを中に入れた。
「お昼、パスタでいい?」
「ああ、何か手伝うことあるか?」
「ううん、平気。シャンクスは座ってて」
「手伝えることがあったら言ってくれ」
「有難う。・・・デザートにケーキ、焼いてあるから」
「そりゃ楽しみだ」
シミュレーションを何回もやってきたけど、
いざシャンクス本人を目の前に名前呼び捨てプラス敬語なしだと少し緊張する。
「・・・大丈夫か?アコ」
「え、あ、うん」
「無理してるみたいに見える」
「ずっと・・・シャンクスのこと考えてたの、この1週間」
「・・・先輩、って呼ばないように?」
「・・・・うん」
「いいな。計画通りだ」
・・・・・うん?
「計画通り?」
「・・・・っと、腹減ったなアコ?」
にーっこりと微笑むシャンクスの怪しいこと。
・・・・策士か、やっぱり。
・・・・・いいけど。
簡単なパスタを作って、2人で食べた。
シャンクスは美味しいと何度も言って完食。
それから例の紅茶とケーキを出して、
ソファーに並んで2人でまったり。
「それでね、その時ルフィ君が絶対譲らなくて」
話しは2人の共通の話題、ということでルフィ君の話しが多い。
「エース君が後ろから来てごん、だよ?」
「ルフィ、泣いただろう」
「少しだけね。成長してるんだよルフィ君も」
話しながら穏やかに笑うシャンクスの横顔を見た時、
あ・・・・キスしたい。
ふと思った。
でもそんなこと、恥ずかしくて言える訳なくて。
・・・ごめんなさい、と心の中で謝罪して、シャンクスの腕をくい、軽く引っ張った。
そしてゆっくりと紡いだ言葉。
「・・・・シャンクス、先輩」
そう呼んだ私をシャンクスは嬉しそうに見つめて、
・・・・・優しく唇が、重なった。
「アコはいつも俺の予想斜め上をいってくれるからな、楽しみだ」
「・・・私はいつもシャンクスの手のひらで転がされてるだけな気がするんだけど」
「本当にそうなら俺は苦労してねェ。まあ、今後はどんなことがあっても手放す気はないんで覚悟しておいてくれ」
「・・・・それは私も同じ、だよ」
手のひらで転がされようと、
側に居る。
私にとって先輩で。
年齢差が縮まる訳じゃないし。
・・・・・私にとって、
彼が上司であろうと恋人であろうと。
・・・シャンクス先輩であることに変わりはない。
それに今までずっとシャンクス先輩、って呼んでたから。
今更、
『せっかくまた両思いになれたのに、名前呼んでもらえねえ俺の気持ちも考えてくれ』
・・・・・と、先輩呼びを禁止されてしまった。
シャンクス、と呼ぶのは嫌じゃない。
・・・恥ずかしいのもあるけど、
1番は慣れの問題。
つい癖で呼んでしまって、
先輩が拗ねるのが最近の習慣。
優しくて寛大な先輩なんだけど、1回そうなると後が面倒。
機嫌を直してもらうのに一苦労する。
しかもこの間、
『これから先輩、って呼ぶ度にキスする』
と宣言されてしまったので大変なことになった。
・・・・楽しみなデートが、少しだけ憂鬱。
もう何回目かのデート。
着ていく服や小物を選んでいるうちに時間ぎりぎりになってしまい、
待ち合わせ場所に着いた頃にはシャンクス先輩はもう着いていた。
「せん・・・・・っシャンクス、お待たせ」
危うく先輩と言いかけた私にシャンクス先輩は苦笑して、
「そんなに待ってないから大丈夫だ」
よしよし、と髪の毛を優しく撫でてくれる。
「でも映画の時間」
「チケットは買ってあるし、まだ余裕があるさ」
「・・・・さすがシャンクス」
「勿論指定席だから安心だ」
「映画の後はどうします?」
「ちょうど昼時だからな、ステーキでもどうだ?」
「・・・あのお店で?」
「ああ、あの店で」
「Aセット?」
「いや、今日はステーキ丼にしてみよう。がっつり肉を食いたい気分なんだ」
「・・・・さいですか」
・・・・何かちょっと恥ずかしくなった。
ちょっと前のことなのに随分昔のことに思える、1人で行くはずだった映画にシャンクス先輩と行った時のこと。
複雑・・・と唸る私を見てシャンクス先輩が笑った。
「Aセットも美味かったけどな。アコが行きたい場所があるならそこに行くが」
「いえ、大丈夫で・・・・す」
ああ、やっちゃった。
「まだ慣れねェみたいだな」
「・・・お時間下さい」
敬語もなくして欲しいって言われてるんだけど。
なかなか抜けない。
「敬語の方はまだいいんだが」
「・・・・先輩、が駄目ですか」
「そうだなァ。・・・他人行儀な気がするだろう?」
「・・・しますかね?」
「先輩、ってのはいわゆる名称だろう?個人の名前で呼ばれないってのはどうもな」
愛を感じない、ってことなのかな。
・・・・でも確かに私も名前で呼ばれて嬉しい。
なぁ、後輩。
・・・・って呼ばれるのは寂しいかもしれない。
「わかってはいるんですけど・・・私にとっては先輩は先輩で」
「恋人とは認識されてねェってことか?」
「そういう訳じゃ・・・・っ!」
途端シャンクス先輩が寂しそうな顔をしたので慌てた。
「ならいいさ。少しずつ教育させてもらう」
「きょ・・・・」
教育って・・・!
「前に言ったな?先輩って呼んだらキスだ」
「でも外では、」
「関係ない。外だろうと何処だろうと呼ぶ度にするぞ俺は」
・・・やりかねない、この人なら。
「でもせんぱ、・・・・っ」
これはセーフ!とヒヤリとした瞬間、
ちゅ。
唇に一瞬の熱。
「いっ今のはセーフでしたよ!?」
「アウトだ」
「・・・・厳しい・・・・っ」
しれっと言われてがっくり。
「そろそろ映画に行っても?」
「・・・・はい」
嬉しそうな先輩に何も言えず、
というか拗ねられるよりはいいかなぁと思いながら手を繋いだ。
「面白かったですね、映画」
「迫力あったな」
今日見たのは連続ミステリドラマが映画になったもの。
ドラマでは普段ない爆発などたくさん盛り込まれていて楽しかった。
「あの刑事さんシャンクスに似てたかも」
「・・・俺の方がカッコイイだろう?」
にぃ、と口角を上げて笑みを浮かべる先輩は、
確かにカッコイイ。
「・・・・うん、かっこいい」
だから素直にそう言ってみたら、
「・・・いい子だ」
再び唇にキス。
「っ先輩だって私のこと子供扱いしてるじゃないですか!」
思わず抗議したら、また口に出てた。
「アコ」
「ん、・・・・・んーっ」
そして今度は長い口づけ。
「子供にこんなことしねェ。大人のキスだからな」
「シャンクスのばかー・・・・」
「アコが可愛いのが悪い」
「私は悪くありません。もう知らないっ」
今度は私が怒るんだから。
・・・・なのに先輩はにこにこ。
「あの・・・シャンクス?」
「ん?」
「私怒ってるんですよ?」
「ああ、知ってる」
「シャンクスに怒ってるんですよ?」
「ああ、すまん」
すまん、と言いながらやっぱり何処か嬉しそう。
「・・・何でそんなに嬉しそうなんですか?」
「アコが怒ってるのは恋人の俺に、だろう?」
「・・・ですけど」
「それが嬉しいんだ」
「そ・・・っ」
それは卑怯です・・・・!
「キスしたこと自体に怒ってる訳じゃないってのが1番嬉しい」
「・・・・・・・怒ってない訳じゃ、」
「したのがここじゃなかったら?」
「・・・・・怒らないですけど」
「嬉しいんだ、それが」
・・・・・・・・・その笑顔に、胸が締め付けられた。
・・・長い間を経て再び両想いになれたのに、苦しい。
来週は先輩が私の家に来ることになって。
・・・もう、先輩と呼ばないようにしないと。
普段からシャンクス、と呼ぶことを心がけよう。
大好きなシャンクスを傷つけたくないし。
部屋もちゃんと片付けておかないと。
あ、シャンクスの好きな飲み物用意しておこう。
お昼何作ろう。
おやつも・・・ケーキ焼こう、かな。
紅茶はあれで良いよね。
シャンクス。
・・・・これからは心の中でもそう呼ぼう。
シャンクス先輩、と呼ぶことが彼を傷つけるなら。
私はもう、シャンクスを傷つけたくない。
あっという間の1週間だった。
でもずっとシャンクスのことばっかり考えてた1週間でもあった。
でももう大丈夫。
ぴんぽーん、とインターホンが鳴った。
「はーい」
「邪魔する」
「狭いとこだけど・・・」
社長であるシャンクスの高級マンションに比べたら私の家なんてたかが知れてる。
「アコが居るならどこでも大差ねェさ。・・・と言いたいところだが」
「だが?」
「アコの家はやっぱり特別だな、アコの匂いがする。最高だ」
「どっどんな匂い!?」
「いい匂いだ、心配するな」
どぎまぎする心臓を押さえつけて、
シャンクスを中に入れた。
「お昼、パスタでいい?」
「ああ、何か手伝うことあるか?」
「ううん、平気。シャンクスは座ってて」
「手伝えることがあったら言ってくれ」
「有難う。・・・デザートにケーキ、焼いてあるから」
「そりゃ楽しみだ」
シミュレーションを何回もやってきたけど、
いざシャンクス本人を目の前に名前呼び捨てプラス敬語なしだと少し緊張する。
「・・・大丈夫か?アコ」
「え、あ、うん」
「無理してるみたいに見える」
「ずっと・・・シャンクスのこと考えてたの、この1週間」
「・・・先輩、って呼ばないように?」
「・・・・うん」
「いいな。計画通りだ」
・・・・・うん?
「計画通り?」
「・・・・っと、腹減ったなアコ?」
にーっこりと微笑むシャンクスの怪しいこと。
・・・・策士か、やっぱり。
・・・・・いいけど。
簡単なパスタを作って、2人で食べた。
シャンクスは美味しいと何度も言って完食。
それから例の紅茶とケーキを出して、
ソファーに並んで2人でまったり。
「それでね、その時ルフィ君が絶対譲らなくて」
話しは2人の共通の話題、ということでルフィ君の話しが多い。
「エース君が後ろから来てごん、だよ?」
「ルフィ、泣いただろう」
「少しだけね。成長してるんだよルフィ君も」
話しながら穏やかに笑うシャンクスの横顔を見た時、
あ・・・・キスしたい。
ふと思った。
でもそんなこと、恥ずかしくて言える訳なくて。
・・・ごめんなさい、と心の中で謝罪して、シャンクスの腕をくい、軽く引っ張った。
そしてゆっくりと紡いだ言葉。
「・・・・シャンクス、先輩」
そう呼んだ私をシャンクスは嬉しそうに見つめて、
・・・・・優しく唇が、重なった。
「アコはいつも俺の予想斜め上をいってくれるからな、楽しみだ」
「・・・私はいつもシャンクスの手のひらで転がされてるだけな気がするんだけど」
「本当にそうなら俺は苦労してねェ。まあ、今後はどんなことがあっても手放す気はないんで覚悟しておいてくれ」
「・・・・それは私も同じ、だよ」
手のひらで転がされようと、
側に居る。