短編②
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「い・・・・いいか?」
「まっ待って!」
「・・・・・・・何だよ」
「心の準備がっ」
「して来いよそんなの!」
「そんなこと言われても!」
私とエースが付き合い始めて数日。
私もものすごーく緊張してるけど、
目の前に立つエースもたぶん同じくらい緊張してる。
・・・・・・・・・・と思う。
してるといいな、とも。
何故かというと。
私たちは今、
付き合って初めて。
「だって初キスだよ!?緊張するに決まってるじゃん!」
初めてのキスをしようとしてるとこだから。
「だから今日するって言ってただろ?」
「初キスの覚悟なんて1日やそこらで出来るもんじゃないの!」
「よしわかった。とりあえず目瞑れアコ」
「わかってないよね!?やだ」
「何でだよ!」
「あと5分待ってあと5分!」
「今やんのも5分後も同じだろ」
「同じじゃない!5分の差は大きいよ!」
「ついさっき1日じゃ覚悟出来ねェって言ってたの誰だ」
「私です」
それはわかってる。
わかってるんだけど。
「・・・・・・・・・要は俺とじゃ嫌だってことか?」
「違っ!・・・・嫌なんじゃ、ない」
「じゃあいいだろ」
エースが段々イライラしだした。
「・・・・・・・・・・っ心臓爆発しそう」
「絶対しない」
「・・・・・・・・・苦しい」
「しちまえば楽になる」
淡々と返って来るエースの答えにますます大きくなる鼓動。
どっくん、どっくん。
心臓飛び出るかもしれない。
「なァ・・・・・・・・・いいだろ?」
「う・・・・・」
「いい加減覚悟決めろよアコ。海賊なんだからよ」
それでもまだ渋る私に決意を促すエースの顔は、真面目だけど少し赤い。
「う、ん」
その眼差しにほだされてつい頷いてしまって。
・・・・・・・・・頷いたからには私もいよいよ覚悟を決めなければ。
「・・・・・・・・いいんだな?」
「うん」
「じゃ、じゃあ・・・・するぞ?」
いたたまれない空気に再びゆっくり頷く。
近づいてくる顔に、
エースの瞳に映る私の何とも言えない表情。
「・・・・・・・・目閉じろよ」
「え、あ、わ、ごめっ」
気まずさげに呟くエースに慌てて目を閉じた。
ばっくん、ばっくん、心臓の音がうるさい。
見えない分余計に緊張してきた。
早く来て欲しいような、
怖いような。
息を呑んでその瞬間を待っていると、
「おーいエース!マルコが呼んでるぜー」
ドア越しにサッチさんの声が聞こえて、
「っ!!」
私は思い切りエースの身体を押した。
「・・・・・・・・りょーかい」
エースはドアの向こうに居るサッチさんに返事をした後、
私を睨みつけた。
うう、怖い。
「・・・・・・・・・・・・ごめん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、さっさとしなかった俺も悪い」
そう言ってエースはごほん、と1回咳をした。
「マルコさんとこ、行かないの?」
「行かねェ」
「・・・・・・・・・いいの?」
「その前にすることがあんだろ?」
再び迫るエース。
・・・・・・・わかってるんだけど。
キスくらいでこんなことじゃ駄目って。
でもやっぱり恥ずかしいもので。
「・・・・・・・・恥ずかしくて死んじゃいそう」
ぽつりと呟けば、
「心配すんな。俺なんか嬉しくて死にそうだ」
死なねェけどな、
なんてエースが返して来るから。
思わず笑みが零れた。
「・・・・・・お互い、生きてるといいね」
「だな」
何だか少しだけ肩の力抜けた気がする。
ぎゅう、っと優しく包み込まれて。
ふ、と顔を上げた。
そのまま数秒見つめ合って。
「・・・・・・・・・・・・えー、す」
自然と目を閉じて、
すぐ。
ちゅ。
と柔らかいものが唇に触れた。
一瞬、
触れただけ。
・・・・・・・・・・でも、
「・・・・・・・・・・・・しちゃったね、キス」
確かなキス。
ほんの一瞬が1分程にも長く感じた。
「・・・・・・・・・・・・おう」
「生きてたね、お互いに」
「だな」
「・・・・・・・・・ねえ、エース」
「なあアコ・・・・・・・・・もう1回、しようぜ?」
「・・・・・・・・・・うん。する」
今度はしっかり唇を重ねた。