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私は今、両手に花状態だ。
1人の美青年と、
1人の素敵なおじさまが私を取り合っているのだから。
・・・・・・2人とも海賊だけど。
「なァ、アコ。モビーに来るよな?」
「いやいや、何といってもうちだろう。なぁアコ」
「だから無理」
・・・・・・・私、海軍だけど。
「何でだよ。モビーは広いしオヤジはすげェんだぜ」
「うちに来れば毎晩宴だぞアコ」
「うちだってそうだ」
「・・・・いや、あのね」
「赤髪んとこは男だけだろ。モビーにはナースが居る」
「いいだろ、紅一点になる。大事にされるぞー」
「女が居る方がアコも安心だよな?」
「女同士の争いってのも大変だよなアコ」
「・・・・・・・2人ともご存知?」
「アコのことで俺達が知らねェことなんてあるか?エース」
「ねェな」
「私海軍なの」
「ンなこたァ知ってる。それがどうかしたのか?」
「どうかしたのか?じゃないわよ火拳!」
「まァ細けェことは気にするな、アコ」
「気にしなさい!赤髪!」
私は海軍の中では、少しだけ名前が知られている。
そんな私が居る島に、
たまたま停泊していたレッドフォース号。
船長、赤髪のシャンクス。
そして、
何故か1人だけ用事があって、
これまたたまたま来た火拳のエース。
こんな大物が2人もいるっていうのに、
私は手も足も出ない。
1人でも勝てる訳ないっていうのに2人なんて無理に決まってる。
なんて弱気になっていることが知られたらきっとたしぎに怒られちゃうけど。
「ニュースクー読んでるんだぜ、俺。アコのファンなんだ」
火拳が言うニュースクーには、
確かにたまに私が載っていることもある。
中くらいの海賊団を潰したとか、そんな記事。
「・・・それに自分が載るとか考えないの?」
「俺とアコの結婚で?」
にや、と怪しく笑う火拳に言葉が出てこない。
「結婚なら年上である俺が1番だろうな」
「年上過ぎんだろ。俺ならアコと年も近いぜ」
「ちょっと待って2人とも私の年知ってるの?」
何処にも公開されてなくて、
上司と仲の良い友人しか知らないはずなのに!
「24歳、だろ?俺20だし」
・・・・正解。
何故だ。
「年上の俺の方が経済的にも頼りになるだろう」
赤髪も知っていたようで、当たり前のように話しを続ける。
「俺だって苦労させたりしねェ」
「甘いなエース。俺は船長だ」
「俺は隊長だ!」
「隊長より船長の方が上だな」
「冬島で寒ィ時アコを温めてやれる」
「夏島じゃ暑苦しいなァ」
「赤髪は何も出来ねェだろ」
「寒い時ならマントがあるな暑い時は・・・とびきりのパフェでも作るか」
「それなら俺だって作る」
2人とも私を無視して話しを進めてる。
・・・・進んでないけど。
「・・・・2人とも海賊でしょ?」
「当たり前だろ?白ひげ海賊団2番隊のエースだ。知ってくれてると思ってたのによ」
「いや知ってるけど」
「俺は赤髪海賊団の船長やってる、シャンクスだ。当然俺のことも知ってたはずだな?」
「ええ、知ってたわ。・・・・でも2人とも掻っ攫うって言わないんだなぁと思って」
少なくとも今までの海賊はそうだった。
欲しいものは奪い取る。
「俺とアコだけなら掻っ攫ってたんだけどな・・・赤髪が居るから面倒なんだよ」
「面倒?」
「当然、そう簡単に攫わせやしねェし攫われちまったら奪い返すからだろう?」
「そういうこった」
「・・・・ちなみに私の意思は?」
真剣なこの問いには、
「関係ねェ」
「関係ないな」
と2人仲良く答えが返って来た。
「ちょっと待って、私の気持ち無視する人なんかと一緒に居られないんだけど」
私のこの当たり前の正論に2人は揃ってきょとん。
そしてすぐに2人して悪い顔。
「なるほど。要はアコをその気にさせた方が勝ちということだな。それでいいか、エース」
「いいぜ」
「・・・仲いいね君たち」
「勝負だな、赤髪」
「女を口説くにゃ少し経験が足りないんじゃねェかエース」
「経験なんか関係ねェ」
・・・・・助けてたしぎ。
「とりあえず戦うのはやめてね迷惑だから」
「だってよ。何で勝負すりゃいいんだ?」
「飲み比べなら自信があるんだが」
「却下。酔っぱらいの面倒は見たくないもの」
「問題ない、俺は酒には強いんだ」
言いながら赤髪が私の肩をぐっと自分の方に引き寄せた。
「赤髪てめェ!」
「え、ちょっ」
それを見た火拳が今度は赤髪に掴まれてない方の肩に手をやり、同じように引き寄せて来た。
「まだまだガキだなエース」
「うるせェおっさん」
ぐい、と右に引っ張られれば赤髪が居て。
ぐい、と左に引っ張られれば火拳が居る。
「・・・・ねえ、痛いんだけど」
「・・・お前が離せよ赤髪」
「そりゃ無理な話しだ」
「アコが痛がってんだろ」
「俺はそんな強く引っ張ってないはずだが」
「俺だってそうだ」
「・・・・普通ここで離すと思うんだけど」
「普通はな。でも今は」
「離した方の負けだ。そうだろう、エース」
「おう」
私をはさんで睨み合う2人。
「・・・・私の何処がそんなに好きなの2人とも」
思い切って聞いてみたら、
「美人だし」
「そこそこ強い」
・・・・悪かったわねそこそこで。
そりゃ貴方たちには敵いませんとも。
「目がイイよな」
「口もそそる」
「細い手首とか」
「折りたくなるな」
・・・・実は2人親子なんじゃないの?
「ちなみに私を恋人に出来たら何がしたいの?」
参考までに少し聞いてみたら、
「・・・一緒に並んで歩きてェ」
と火拳。
何その可愛いの!!
赤髪は、
「酒が飲みたいな、一緒に。きっと酒が美味くなる」
こっちはこっちでキュンとくる!
もっとすごいこと言われるのかと思ったら、こんなこと言われるなんて。
そしてそんな未来を語る2人の顔は嬉しそうで。
・・・・思わず魅入ってしまった。
どうしよう。
2人とも無碍には出来なくなってしまった。
「・・・・海軍である私に海賊になれなんて酷い人たち」
愚痴のように呟いた私に、
「何処にいたってアコはアコでいりゃいいんだ」
「笑わせてやるさ、どんな手を使っても」
火拳と赤髪の言葉が胸に突き刺さる。
「・・・・わかった、決める」
こんなに思われてるのに決めない訳にいかない。
「どっちだ、アコ?」
「とりあえず今日は一旦帰って」
「は?」
「どういうことだ?」
「夜・・・レッドフォース号と火拳の泊まってる宿にお菓子を届けるから」
「菓子?俺と赤髪に?」
「そう。でもどっちかは市販のものでどっちかは私の手作り」
「なるほど、アコの手作り菓子をもらった方が勝ちってことか。俺はそれでいいが」
「俺もそれでいいぜ」
「じゃあ、そういうことで」
どっちが勝っても恨みっこなし。
悩みに悩んだ末、
私は夜信頼できる部下に頼んでお菓子を届けさせた。
・・・・・彼は、気づくだろうか。
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