選択制夢
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あげるならやっぱりお頭かな。
「チョコ、かぁ」
出来ることなら作ってプレゼントしたいけど、私料理得意じゃないんだよね。
お菓子なんて特に作ったことない。
・・・・・・・・・・・・既製品でいっか。
とりあえず島に着くのを待つことにした。
そして、当日。
「殺される」
「え!?」
「・・・・・・・・・・いいかアコ。お頭には絶対言うなよ」
殺されるから、と再びヤソップさんは呟いた。
無事に島に着いた私は、ヤソップさんに付き添ってもらって買い物に来ていた。
・・・・・・・・・でも何で殺されるの?
しかもお頭に?
「今頃頭抱えてるでしょうね、お頭」
せっかく島に着いたっていうのに、
お頭は今まで逃げてきた分の仕事をやってから、とベンさんに怒られて。
・・・・・・・・・部屋で頑張ってることでしょう。
そんなお頭の為にも、頑張って選ばなきゃだ。
ヤソップさんに聞いた話だと、
お頭が言っていたバレンタインというイベントは男性にチョコをあげるもので。
義理と本命、っていうのがあるらしい。
・・・・・・・・本命は手作りが多いとか。
「そういやアコは手作りしねえのか?」
「だって私料理苦手なんですもん。・・・・でもやっぱ手作りの方がいいですかね?」
「そりゃそうだろ。泣いて喜ぶぜ、お頭」
「・・・・・・・・・むう」
ということで、作戦変更。
手作りします!
やっぱりあげるなら喜んでもらいたいから。
・・・・・・・・そりゃお頭なら女性なんて選び放題だろうけど。
少しは私のことも、見て欲しいから。
「よろしくお願いしますヤソップさん」
「お前は俺を殺す気か」
「だって私1人じゃ不安で」
「・・・・・・・・仕方ない、手伝ってやるよ」
渋々といった顔のヤソップさんに手伝ってもらって、厨房で調理開始。
「やったあさすがヤソップさん有難う御座います!それで、ちょっと考えがあるんですけど」
「考え?・・・・ああ、あーなるほど」
「出来たー!!」
「ま、こんだけ出来りゃ上等だな」
ヤソップさんに手伝ってもらいながら、何とか完成したチョコ。
だいぶ苦戦したけど、
ちょっとでこぼこだけど味はそんなに悪くないハズ。
「私にも、出来た・・・!有難う御座いますヤソップさんっ」
「良くやったな、アコ」
ヤソップさんが優しく頭を撫でてくれた。
嬉しい。
すると、
「何やってるんだ?ヤソップ」
妙に低いお頭の声音が厨房に響いた。
お頭は厨房の入り口で、笑顔で立っていた。
・・・・・・・・・けど、
目笑ってないんですけど。
私は咄嗟に作ったばかりのチョコを後ろに隠した。
「おおおおお頭!?いやこれは違うんだ!な、アコ!?」
「あ、ハイ。あの、私がヤソップさんに頼んだんです」
一気に真っ青になったヤソップさんは物凄い勢いで頷いた。
「さっきは2人で買い物にも行ってたそうだな?」
「・・・・・いや、だから、その」
「ヤソップ」
「・・・・・・・・・・・・・・はい」
「話がある。来てくれるよな?」
「・・・・・・・・・・はい」
がっくりと項垂れたヤソップさんを連れて行くお頭。
お頭が何故か怖く感じて、私はそのまま震える肩のヤソップさんを見送ることしか出来なかった。
・・・・・・・・ヤソップさんごめんなさい。
心の中で呟いて、
「さて」
ラッピングに取り掛かることにした。
ヤソップさんの犠牲により、ラッピングも無事に終わった。
あとは持っていくだけ。
お頭、部屋に居るかな。
・・・・・・・・ヤソップさんとの話は何だったんだろう。
「お頭ー入りますよ」
「おう、アコ」
部屋に入ればにこやかな頭が出迎えてくれた。
「あの、ヤソップさんと話って」
「気にするな。たいしたことじゃない」
「・・・・・・・・・・・・えーと」
これ以上何を言えと。
「そんなことよりアコ、ヤソップと買い物は楽しかったか?」
「え、」
力強い瞳に捕らえられて、動けなくなった。
「さっきも2人で楽しそうにしてたしなぁ?」
どうしよう。
お頭、怒ってる。
「す・・・すみません、あの、お頭が頑張ってる時に買い物に行ったりして」
慌てて謝罪すれば、今度はお頭はぽかんと口を開けた。
「・・・・・・・・・・アコ?」
「あ、ハイ」
「俺はそういうことが言いたいんじゃなくてな?」
「え、そうなんですか?」
「あー・・・・・・・まあいい。で、何か用があったんだろ?」
本来の目的を忘れるとこだった。
お頭の言葉に持ってきたチョコを前に出した。
「えっと、これ、お頭に」
「・・・・・・・・開けていいか?」
こくりと頷けば丁寧にリボンを解いて箱を開けるお頭。
中を見てお頭は優しく、ふ、っと笑った。
「チョコ、か」
「ヤソップさんに付き合ってもらって買ってきたもので作ってみたんです。
あ、教えては貰ったけどちゃんと自分で作りましたかね!?」
「アコの手作りなのか?」
「・・・・・・・・・ですけど」
そう言えばお頭はそのままチョコをぱくりと口に入れた。
・・・・・・・・・・ドキドキ、と高鳴る心臓。
「美味い。入ってるのは・・・こりゃ酒か?」
「!そうです、お頭が好きなラム酒を入れた生チョコなんです」
「・・・可愛いことしてくれるじゃねえかアコ」
作る予定の生チョコにラム酒を入れて作りたい、とヤソップさんに相談したところ、
いいんじゃないかということだったので。
予想以上にお頭は喜んでくれたらしい。
・・・・・・・良かった。
嬉しい、すごく。
「ありがとな、アコ」
お頭の幸せそうな笑顔に私も幸せを感じていたその時。
「ん!?ん、んっ」
甘いチョコとラム酒の味が口に広がる。
「・・・・・・悪いなアコ、中に入ってたラム酒で酔っちまったみてェだ」
唇をゆっくりと離すとお頭は平然とそんなことを言う。
いやいやいや!おかしいですよ!?
いつももっと度数の強いお酒普通に飲んでますよね!?
「ちなみにな、アコ。覚えてるか?俺が言ったこと」
「え?」
「甘いチョコと一緒に甘い夜を過ごすんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・え」
「覚悟は出来てるんだろうな?アコ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えーと」
忘れてました。
「ま、観念するこったな」
そのまま私は、
器用なお頭にベッドに押し倒されてしまい。
諦めることにした。
ヤソップさんの無事を祈りつつ、
「・・・・・お頭、ハッピーバレンタイン」