選択制夢
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イゾウさん・・・・・はモテるしなあ。
綺麗だしナースさん達とも仲良いし。
・・・・・・・むしろ私がチョコ欲しいくらいだわ。
とは思うものの、イベントの内容は、
『女の子が好きな男性に好意と共にチョコを贈る』らしいので、
頑張って作ってみることにする。
そして、当日。
無事に島に着いたからにはまず買い物せねば。
そう思って船内を歩いていると、
「やだ、やっぱり駄目だったの?」
「皆駄目みたいね、仕方ないわ」
というナースさん達の声。
もしやこれは。
・・・・・・・・・・・・・これは、
「イゾウ隊長ったら受け取って下さらないのよねー」
・・・・・・・・・・・・・やっぱり、
こういうパターンですか。
もらってくれない、という。
何かね、
もうね、
いち料理人としては。
・・・・・・・・・・・・・・・すっごく、燃えるよね!
受け取ってもらえるようなチョコ、作ってみせようじゃないですか!
張り切って買い物に行けば、まあ可愛らしいチョコレートの数々。
参考になればと思って既製品も見てみるけど。
・・・・・・・・・・・何か、イゾウさんのイメージじゃない気がする。
イゾウさんに食べてもらうには、どうするか。
考えて、私はあるかどうかわからない食材を探す為に歩き出した。
心配していた材料は意外にもすぐ見つかった。
無事に買い物も終えてモビーの厨房に戻れば、イゾウさんが居た。
「あれ、イゾウさん?」
「そんな驚いた顔しなさんな。姐さん達から聞いただけさ」
「ナースさん達から?」
イゾウさんは驚いた私を見て楽しそうに笑いながら話を続ける。
「アコがチョコレートの材料を買いに行った、ってな。となれば帰ってきたら作るだろうと思っただけさ」
「・・・・・・・・素晴らしい推理です」
「で、これから作るのかい?」
「あ、はい。そのつもりです」
ちら、と手元の袋にある材料を見る。
・・・・・・・イゾウさんにバレないようにしなきゃ。
せめて作り終えるまで、でも。
「ここで見てても?」
「え、えええええ!?」
「・・・・・・・・・・・何か不都合が?」
にや、と紅の口元を引き上げてイゾウさんは笑う。
「え、いや、えと、大丈夫、ですけど。面白くないですよ?」
「そんなこたぁねえよ。いいだろう?」
・・・・そこまで言われては、頷かざるを得ない。
元々イゾウさんにあげるつもりだったし、まあいっか。
「・・・・・イゾウさんがいいなら、はい」
そしてイゾウさんに見つめられてのチョコ作りが開始した。
・・・・・・・・・・・・・・やりづらい。
や、人に見られるのはいいんだけど。
相手がこれからあげるイゾウさんだと思うと。
「・・・・・・・でも、集中」
よし、と再び気合を入れてチョコ作りに集中することにした。
「お見事」
「え?わ、あ、有難う御座いますっ」
盛り付けを終えて一息ついたところで凛とした声が届いて驚いた。
そういえばイゾウさんに見られてたんだった!
「いい香りだ」
「!そうなんです、なのであのっこれ、良かったら食べてもらえませんか!?」
言って私はお皿に盛りつけたそれを差し出した。
「・・・・・この色は」
「あ、抹茶トリュフです。イゾウさんがお好きなお茶を使ってチョコのお菓子を作ってみました」
受け取ってもらえるように、イゾウさんの好きなお茶を使って、香りを出してみた。
香りで食欲をそそられれば、受け取ってもらえるかもしれないと思ったから。
そしてちっちゃくて丸いトリュフにしたのは、一口なら食べやすいし手に取りやすいと思ったから、で。
・・・・・どくん、と心臓が鳴る。
ナースさんの話によれば今までチョコを受け取ってもらえた人は居ない。
・・・・・・・・・・・・イゾウさんの反応は、といえば。
「・・・・・・・・ああ、美味え」
1つを手にとって、口に入れてくれた後、
落ち着いた声音で、柔らかくそう笑ってくれたイゾウさん。
・・・・・・・・もらってくれた。
食べてくれた。
美味しい、って言ってくれた。
「抹茶にしたのは俺が良く好んで飲んでいるから、か?」
「そう、です。イゾウさんのイメージにも合うし、どうせなら美味しいって思って欲しかったから」
「・・・・お前ェさんは、ほんとにすげえ奴だよ」
「良かっ、た・・・・イゾウさんもらってくれないかと、思いました」
食べてくれて、美味しいと笑ってくれた。
それだけでもう泣きそうなくらいに嬉しい。
するとイゾウさんは意外そうな顔。
「俺はアコからのは貰うつもりでいたぜ?」
「・・・・・・え、ナースさん達の、は」
「甘いモンをそんなに食えねえさ。だからアコのだけありゃいい」
「・・・・・・・・・・・・・ええええ!?」
「ああ、そうだアコ」
「へ?」
イゾウさんの着物の懐から何かが取り出された。
・・・・・・それは、
「え、これ」
可愛くラッピングされた。
「・・・・チョコ、レート」
「アコも好きだろうと思ったんだが、違ったか」
「いえっ好きです!大好きです!嬉しいです!」
「逆チョコ、っていうのさ。だから」
「え」
ぐ、っとイゾウさんの顔が近づいた。
そして耳元で、
「愛の言葉も俺から言わせてもらうことになるねえ」
「ひぃぃぃ!!?」
「アコ」
「あ、」
そして口に広がる抹茶の苦味、チョコの甘み。
囁かれる愛の言葉に、
もらったチョコを食べれるのは明日になるかもしれないと思った。
「・・・・・・・・イゾウさん、ハッピーバレンタイン」