いつかまた
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「お願いします!!!」
土下座せんばかりの勢いで、私は頭を下げる。
いや、もうこの際土下座しても構わない。
この願いが叶えられるというのなら。
「・・・・・・・んなこと言われても、よい」
「困惑するお気持ちはものすっごくよくわかります!」
「・・・・何で俺なんだよい」
「マルコさんしか居ないんですぅぅぅ!!」
「・・・・・・・わかったよい」
渋々頷いてくれたマルコさんに、
私は涙を流さんばかりの歓喜。
「っ有り難う御座います!」
・・・・・・・・・という訳で。
「私の恋人の、マルコさん」
「・・・・・・・・・・・外国の方?」
「・・・・・・よい」
「よい?」
「口癖なの!気にしないで!」
隣に立つマルコさんの顔が強張った気がして、慌ててフォロー。
「・・・・恋人なのに手とか繋がないんだ?」
「まだそんなにたってないから!」
ドキドキドキドキ。
緊張感半端ない。
・・・・ちなみに言うと私とマルコさんは恋人ではない。
断じて。
でも今は恋人。
・・・・・・・・・ということにしてもらってる。
私の友人(既婚)のお見合い攻撃をかわす為に。
ええ。ええ、すべては私が悪いのです。
『私彼氏居るから』
と言って逃げようとした私が。
『じゃあ今度連れて来なさいよ』
と言われて、連れてきました。
1日彼氏。
嫌がるマルコさんを渋々頷かせて。
私が言うことに頷いてくれるだけでいいですから!とひたすらお願いして。
「マルコさん失礼ですけどお勤めは?」
「・・・・・さ、最近日本に来たばっかりだから!」
「・・・・・・・へーえ」
う・・・・疑われている!
「そっそんなことよりご飯!!ご飯行こう!?マルコさんもお腹すきましたよね!」
「・・・・そうだねい」
「恋人なのに敬語?」
「2人きりの時はタメ語だしマルコって呼ぶし!!」
呼ばないけどね!!
「・・・・・・・・こいつをからかうのも程々に頼むよい」
思いっきり慌てる私をフォローしてくれるマルコさん・・・・ああ、優しい。
「あら、失礼。じゃあお食事行きましょうか」
「・・・・マルコさん、有り難う」
ちら、と視線を向けると、
困ったような照れたような笑みが返って来て。
ドキッとした。
・・・・・何か、この間からマルコさんがすごくカッコ良く見える。
たまに、こうした表情にドキっとする。
で、お洒落なカフェへ移動。
「で、2人は何処で出会ったの?」
「マルコさんがこっちに観光に来た時、海で」
「・・・・まさかナンパ?」
「違う違う!私が転びそうになったとこをたまたま助けてくれて!ですよねマルコさんっ!」
「・・・・・・懐かしいよい」
ああっマルコさん棒読み!!
「それで、告白はどっちから?」
「・・・・・・俺が」
「え、」
マルコさんがぽつりと答えた。
「俺からだよい」
「へー・・・・」
「2度と会えなくなる前に好きだって言っておきたかったからねい」
「意外と情熱的なんですね。今はどちらにお住まいなんですか?」
「あ、うちに住んでる」
「同棲!?」
「すっ・・・・好きだから」
「にしたってアンタ!」
「マルコさんすっごい料理上手なんだよ!洗濯掃除もぱぱっとやってくれるし!」
「・・・・・・アンタそれはそれで女としてどうよ」
「アコは確かに料理は下手だが、度胸もあるし可愛いとこもあるよい」
「う・・・・・ありがと、です」
かっ・・・・可愛いって言われた!
っていうかマルコさん渋々来てくれた筈なのにめっちゃ協力的!
有り難いんだけど・・・・有り難いんだけど!
恥ずかしい!!
「・・・・・マルコさんにお聞きしたいんですけどね、アコを幸せに出来ます?」
友人の質問に、
マルコさんは少しだけ考えるようにした後、
「・・・・・・・・幸せにしたいとは、思う」
本当に真面目な顔で、答えてくれた。
『偽』の恋人で、
『嘘』の言葉だってわかってるのに。
心臓がどうにかなってしまいそうで。
・・・・・・何も考えられなくなってしまった。
「ん。安心した。私が男紹介する必要はなさそうね」
私はこくこくと必死に頷いて、
「じゃあ私は旦那帰って来るからそろそろ帰るね。お2人はごゆっくり」
「ま・・・またね!」
ここは私が出しとく、と伝票を持って颯爽と去っていた友人を呆然と見送って。
「・・・・・・・・・・あ。えーと、無事終わりました・・・」
「・・・・・あんなんで良かったのかい?」
「期待以上です素晴らしいですマルコさん!!」
「ならいいけどよい」
「有り難う御座いました。・・・・本当に」
2人でほっと安堵の息を吐いて。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
それから何となく、沈黙。
「あああああの!今日のお礼に何かします!」
「・・・いらねェよい。世話になってんのはこっちだしねい」
たいしたことしてねェしよい、とマルコさんは言うけど。
私からしたら大恩人だ。
「でも何かさせて下さいよう・・・!」
食い下がる私にマルコさんが口を開いた。
「・・・・じゃあ、アコの作った飯が食いたい、よい」
「・・・・・え、でも私料理下手」
ってさっきマルコさんも言ってましたよね!
「・・・・別に俺は嫌いじゃねェよい」
・・・・・・思えばマルコさんがうちに来た夜のご飯は冷凍チャーハンだった。
それから買ってきたお弁当だったりパンだったり外食だったり。
あとはずっとマルコさんが作ってくれてたんだもんね。
「・・・・・・・・ガンバリマス!」
「頼むよい」
ふ、と柔らかく笑ったマルコさんにやっぱりまたドキッとした。
それからずっと、
帰り道は頭の中ループしてた、声。
『アコは確かに料理は下手だが、度胸もあるし可愛いとこもあるよい』
『・・・・・・・・幸せにしたいとは、思う』
・・・・・・・・・いい人だなあ、
マルコさんて。
+1日限定 終+