鏡花水月、のように
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「・・・・・ふ、ふふふ!!」
「・・・・ついにおかしくなったかい?」
冷たい視線を送って来るマルコさんに胸を張った。
今朝。
久しぶりのあのスカートを!!
私は!!!
「見事に!!スッキリです!!」
「・・・・アコ」
「はいっ」
褒めてくれるのかな、と期待したのに。
「リバウンドって知ってるかい?」
「・・・・・知ってたけど思い出したくはなかったですね」
特に今。
マルコさんひどいや。
好きだけど!!
「・・・ま、いきなりどか食いしなきゃ大丈夫だろい」
「ですよね!!」
油断は禁物!!
「目標は達成したんだろい?・・・よくやった」
「・・・・・・っマルコさん好きー!!!」
見事なツンデレに涙すら浮かぶ。
勢い余って抱き着こうとしたところ見事に寸でで止められて。
「そういやサッチが落ち込んでたよい」
・・・・まさかのサッチさんの話題に切り替わった。
「サッチさんが?どうかしたんですか?」
とはいえサッチさんにはいつも美味しいご飯を作ってもらってる御恩がある。
「アコの食う量が減った、俺の作る飯が不味いのかってよい」
「・・・・・なんと」
知らなかった。
「え、でもマルコさん説明」
してくれましたよね?
マルコさんだって事情知ってるはずだし。
と思いきや。
「面倒だからしてねェよい」
「・・・・・・・・サッチさん可哀想」
・・・・っていうのは半分で。
乙女としてダイエット中というのも恥ずかしいので助かった、というのも半分。
でも苦しませてしまったのなら事情を説明して謝罪するしかない。
スカートが入るようになったとはいえ、
せっかくだしまだ続けていきたいし。
・・・・なんなら不味い方が痩せられるんだけど。
「という訳でしたすみませんサッチさん」
お昼を終えて、
更に片づけを終えてまったり中のサッチさんに事情を説明して謝罪。
「・・・・アコちゃん痩せる必要ある?」
「ありますよ!もうお腹やばいんですから!!」
「えーじゃあ見せて」
ごつん、といい音がした。
あ、これは私の比じゃない。
マルコさんの拳がサッチさんのフランスパンを折りかねない勢いだ。
「・・・・マルコ今ちょっと本気だった?」
「馬鹿言ってんじゃねェよい」
「こっち来てからサッチさんの作ってくれるご飯が美味しくて食べ過ぎました」
「ははっ、嬉しいこと言ってくれるねーアコちゃん好き」
「私もサッチさんのご飯大好きですー」
「・・・・ご飯、ね」
サッチさんがじろりとマルコさんを見た。
・・・・なんだろ。
嫌な予感しかしない。
「そういうことなら仕方ないって言いたいとこだけど、俺も料理人としてかなり自信なくしたわけ」
「・・・・はあ、それは申し訳ないことを」
「だからさ、お詫びとして俺とデートして?」
「・・・・・・・・・は?」
「・・・何考えてんだい、サッチ」
「アコちゃんが俺とデートしてくれんなら許す。勿論マルコ抜きの2人きりで」
思わずマルコさんを見たら、
胡散臭そうな目をサッチさんを睨むマルコさん。
・・・・サッチさんとデート?
「どう?アコちゃん」
「・・・・・それがお詫びになるんですか?」
「そうそう、なるなる」
「本当に?」
軽い笑顔でうんうんと頷くサッチさんに、
私も疑いの目を向けた。
「え、何俺ってそんなに信用ない?」
「・・・・だって、私とデートしてサッチさんに何の得あります?」
可愛くもないしスタイル抜群でもないし。
私誘うくらいならナースさん誘った方がいい。
少なくとも私がサッチさんの立場ならそうする。
お詫びを要求するにしてもデートじゃなくて、
皿洗い手伝いとか。
そもそもサッチさんは私がマルコさんのこと好きなの知ってるはずだし。
「・・・・うーん、参ったな。純粋な興味なんだけど」
サッチさんが苦笑した。
「買い出しならお付き合いしますよ、荷物も持ちます。でもデートはやっぱりマルコさんとしたいです」
「・・・ありゃ」
「だってせっかく痩せたんですもん!・・・というかもとに戻っただけなんですけど!!」
それでもマルコさんの隣に堂々と立つためにダイエットしたようなものだし。
もとに戻った体型で初めてデートするならマルコさんがいい。
「愛されてんなあマルコ」
「はいっ愛してます!!」
「・・・・お前ら何が言いたいんだよい」
「マルコばっか愛されててくやしーってハナシー」
「マルコさんを愛してやまない話し?」
「・・・・・サッチ、今日は寝れると思うなよい」
「・・・いやんマルコこわぁい」
・・・・何だか2人の独特な雰囲気。
「・・・・・・で、私何すればいいですかサッチさん」
「・・・・・今夜マルコ引き留めておいて」
「・・・・・りょーかいです」
何かよくわかんないけど解決。
そして!!
ダイエット!!成功です!!
+とりあえずは 終+