鏡花水月、のように
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「うっまぁ・・・・・・!!!」
マルコさんが作ったオムライスが美味し過ぎて涙が出て来た。
「・・・・泣く程のことかよい」
若干呆れ気味のマルコさんに思い切り首を横に振った。
「これは泣きますよ!!卑怯ですよ!!めっちゃ美味しい・・・・!!!」
「・・・・・で、思い出したことは?」
「ないです」
「即答かい。・・・・ま、いいけどよい」
・・・・相変わらず、記憶は戻らないけれど。
「でも・・・・・」
「・・・・でも?」
「こんなに美味しいの、食べたことないはずなのに・・・・懐かしいって、思いました」
懐かしい、幸せの味。
・・・・そんな感じ。
「・・・・そうかい」
「悔しいなぁ・・・・思い出せないなんて」
「そのうち思い出せるだろうよい」
「・・・ですかねえ」
思い出せるものなら早く思い出したい。
顔には出さないけどマルコさんだって心配してる。
「焦ったところでいいことはねェ」
・・・でも、
マルコさんがそう言って優しく笑うから。
その顔がすごく頼もしいから。
「・・・・・・はい」
・・・・私は安心してしまう。
さっきまでの焦りが嘘のように消えていく。
代わりに満たされていく心。
とお腹。
「はああ・・・・幸せだぁ」
思わずぽつりと呟いてしまう程。
「アコは特にオムライスが好きだったからねい」
「・・・・・・それ、私が言ったんですか?」
「ん?」
「マルコさんの作るオムライスが1番好き、って」
「・・・・いや、俺の勘だよい」
言わなくても私のことをわかる程。
マルコさんは私のことをわかってくれてるんだ。
・・・・私たちは、そんな関係なんだなぁ。
「・・・うん、そんな気がします」
「そんな気?」
「他の料理の記憶はないけど、マルコさんの作るオムライス、私が1番好きな食べ物だって」
そう思います。
「・・・・言ってろい」
ぶっきらぼうにそう言うマルコさんの頬が少し赤い。
・・・気がする。
・・・・可愛いなぁ、と思う。
「・・・・マルコさん」
「なんだい」
「記憶なくす前の私が言ったかどうかはわからないんですけど」
「言ってみろい」
「私マルコさんのことが好きです」
たぶん、じゃなくて絶対。
だってそうじゃなかったらこんなに幸せな気持ちになってない。
記憶喪失で知らないところで、しかも海賊で。
それでも不安が少なく。
こんなに笑顔で過ごせるのはきっとマルコさんが好きだからだ。
気になるマルコさんの返事は。
「知ってるよい」
それはそれは嬉しそうな、笑顔で。
短く一言。
・・・・・・・え、何これ。
「・・・・私たち、って」
「そこから先は答えねェよい。自分で記憶を取り戻すんだねい」
「えええ・・・・意地悪」
「意地悪上等」
・・・・今度は悪い顔。
こうなったら意地でも思い出してやる。
「じゃあとりあえず断言しときます」
「断言?」
「私は何度記憶をなくしてもマルコさんを好きになります、絶対」
断言した瞬間、
ごつんと頭に軽い痛み。
「・・・・暴力はんたーい」
「これくらいで文句言ってるようじゃ俺の女にはなれねェよい」
「うぐ・・・・!!」
「馬鹿なこと言ってねェで、どうする?他のとこも見てみるかい?」
「あ」
そうだ船の散策はまだ終わってない。
・・・・でも。
「・・・・・行くんだろい?」
「あーいえ、もう満足したので大丈夫です、ハイ」
「・・・・はい、ねえ」
「・・・・マルコさん?」
何か引っかかったような言い方。
「ハイは誤魔化す時の口癖」
「は」
「それと嘘泣きも得意だったねい」
・・・・・・マルコさんに迷惑かも、って遠慮しようとしたのがバレた?
「すごいですねマルコさん・・・・」
「行くよい、アコ」
「あ、は」
い。と返事を最後まで言い終わる前に船がぐらりと揺れた。
「アコ!?」
マルコさんが手を伸ばしてくれたけど、
間に合わず。
私は頭をぶつけた。
「あ・・・・・・・れ」
「アコ!!」
目の前のマルコさんが必死の形相。
「マルコさ・・・・・マルコさぁぁぁん!!!」
思わずぎゅううと抱き着いた。
「・・・・アコ、記憶が・・・戻ったんだねい?」
がしりと顔を両手でつかまれた。
「キスで戻りたかったぁぁぁ!!!」
「・・・・戻ってるねい」
呆れたようなマルコさんが笑って、
私の頭をくしゃくしゃにした。
・・・・何度でも、断言しますよ。
私は何度でもマルコさんを好きになります。
何度でも言います。
大好きですマルコさん。
+何度も 終+