鏡花水月、のように
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どうやら私は記憶喪失らしい。
私からしたら、
朝起きたら自分が知らない部屋の知らないふかふかのベッドに寝てて。
パイナップルのおっさんに起こされて。
ナースさんのところへ連れてかれて。
記憶喪失だと告げられた。
こんなのって何かのドッキリとか、
そんなのしか浮かばない状況で。
しかもここが海賊船だとか言われて。
信じられる訳ない。
・・・・・・・でも、パイナップルのおっさんの私を見る目が。
本当に真剣で、心配してくれてることが伝わって。
この人だけは嘘をついてないとわかってしまって。
・・・・・・私が記憶喪失だと認めざるを得なくなってしまった。
しかも原因が寝てる時に頭を打ったことじゃないかと美人ナースさんに言われた。
そんなことあのパイナップルさんに言ったら怒られそうだ。
そう思った瞬間、
殴られたら軽くでも結構痛いんだよなぁ、なんて思い浮かんで驚いた。
・・・・・やっぱり私はこの人を知ってるんだ。
早く・・・・・思い出さないと。
「損した気分です」
フランスパンならぬサッチさんとやらの朝食を美味しく頂いて。
パイナップルならぬマルコさんに船内案内をしてもらってる。
「何がだい」
「この超絶広い船内図を覚え直しだなんて・・・!!」
広すぎるよこの船!!
変な人達も多いし!!
フランスパンとかパイナップルで驚いてる場合じゃなかった!!
「・・・・思い出したことはねェのかい」
「・・・・・すみませんまったく」
「・・・そうかい」
私の返事にマルコさんも落胆の表情を見せた。
無理もないよね・・・早く思い出さないと!!
意気込んだ私を理解してるかのように、
「焦るなよい」
ぽん、と頭の上に置かれた手。
大きくて優しくて。
・・・・私はこの手を知っている。
私はこの手が、大好きだ。
「・・・・マルコさん」
「必ず思い出させてやるよい」
そして、ぐしゃぐしゃ。
「・・・ってええええ!!髪!女の髪をぐしゃぐしゃにするなん、て・・・・・・」
・・・・・言ったところで。
私、このセリフ前にも言ったことある、気がする。
「・・・・俺以外にはさせんなよい」
ぽつりと呟いたマルコさんの横顔は何処か嬉しそうで。
きゅん。
胸が締め付けられた。
あ、私この人のこと好きだったのかもしれない。
しかもものすごく。
何だかそう思った。
「・・・・マルコさん、私たちって」
どんな関係だったんですか?
私の質問にマルコさんは淡々と、
「アコの部屋に迷い込んだ時に世話になった」
とだけ答えてくれた。
「・・・・おもてなし出来たのかしら私」
ふと疑問に思ってぽつりと呟けば、
マルコさんがいきなり噴出した。
「・・・・・マルコさん?」
「心配しなくてもちゃんと出来てたよい。・・・家のことは俺がやってたけどねい」
「・・・・・・・・・・・今何と?」
「炊事洗濯掃除は俺の仕事だい。当然だろい?世話になってんだからよい」
・・・恥ずかし。
「いやー・・・・お恥ずかしい」
「そんな必要はねェ。色々してもらったし、料理もたまにはしてたからねい」
「・・・私が?まともな料理ですか?」
「何なら昼飯一緒に作るかい?身体で覚えたことは忘れねェだろい」
「は・・・・・はい・・・・・・」
頷いたものの、料理についてはまったく自信がなかった。
・・・・・・・けど。
「え、何コレ」
お昼、サッチさんに台所を借りて作ったお昼ご飯。
・・・・私が作った、オムライス2人分とサラダ2人分。
「作れるじゃねェかよい」
「・・・・・うそ」
私が作った・・・・・これを。
「いやでもマルコさんの手伝ってもらった訳ですし・・・・!」
「ほとんど手下してねェよい。上出来だ」
そしてまた、髪をくしゃくしゃにする。
・・・・その嬉しそうな顔に、やっぱり私この人が好きだと思った。
「・・・・・・・・あーん」
怒られるの覚悟でオムライス一口ぶんをマルコさんの口元に運んだ。
マルコさんは怪訝な顔で、
「・・・・思い出したのかい?」
と聞いて来た。
「や、なんか本能に従ってみました」
「・・・は、アコらしいねい」
マルコさんはそう言うと、口を開けてぱくりとオムライスを食べた。
「・・・・どう、ですか?」
「食ってみろい」
「え」
そして自分のぶんを取り、わたしの口元へ。
ゆっくり開けた口に放りこまれたオムライス。
「・・・・おいしーい!!!」
何これ美味しい。
私が作ったなんて信じられない。
「腕あげたねい、アコ」
「・・・・私が」
「よくやったねい」
・・・・・そう言ってやっぱり私の髪をくしゃくしゃにしたマルコさんの笑顔が。
・・・・・・何かと重なった気がした。
+ぐしゃぐしゃ 終+
私からしたら、
朝起きたら自分が知らない部屋の知らないふかふかのベッドに寝てて。
パイナップルのおっさんに起こされて。
ナースさんのところへ連れてかれて。
記憶喪失だと告げられた。
こんなのって何かのドッキリとか、
そんなのしか浮かばない状況で。
しかもここが海賊船だとか言われて。
信じられる訳ない。
・・・・・・・でも、パイナップルのおっさんの私を見る目が。
本当に真剣で、心配してくれてることが伝わって。
この人だけは嘘をついてないとわかってしまって。
・・・・・・私が記憶喪失だと認めざるを得なくなってしまった。
しかも原因が寝てる時に頭を打ったことじゃないかと美人ナースさんに言われた。
そんなことあのパイナップルさんに言ったら怒られそうだ。
そう思った瞬間、
殴られたら軽くでも結構痛いんだよなぁ、なんて思い浮かんで驚いた。
・・・・・やっぱり私はこの人を知ってるんだ。
早く・・・・・思い出さないと。
「損した気分です」
フランスパンならぬサッチさんとやらの朝食を美味しく頂いて。
パイナップルならぬマルコさんに船内案内をしてもらってる。
「何がだい」
「この超絶広い船内図を覚え直しだなんて・・・!!」
広すぎるよこの船!!
変な人達も多いし!!
フランスパンとかパイナップルで驚いてる場合じゃなかった!!
「・・・・思い出したことはねェのかい」
「・・・・・すみませんまったく」
「・・・そうかい」
私の返事にマルコさんも落胆の表情を見せた。
無理もないよね・・・早く思い出さないと!!
意気込んだ私を理解してるかのように、
「焦るなよい」
ぽん、と頭の上に置かれた手。
大きくて優しくて。
・・・・私はこの手を知っている。
私はこの手が、大好きだ。
「・・・・マルコさん」
「必ず思い出させてやるよい」
そして、ぐしゃぐしゃ。
「・・・ってええええ!!髪!女の髪をぐしゃぐしゃにするなん、て・・・・・・」
・・・・・言ったところで。
私、このセリフ前にも言ったことある、気がする。
「・・・・俺以外にはさせんなよい」
ぽつりと呟いたマルコさんの横顔は何処か嬉しそうで。
きゅん。
胸が締め付けられた。
あ、私この人のこと好きだったのかもしれない。
しかもものすごく。
何だかそう思った。
「・・・・マルコさん、私たちって」
どんな関係だったんですか?
私の質問にマルコさんは淡々と、
「アコの部屋に迷い込んだ時に世話になった」
とだけ答えてくれた。
「・・・・おもてなし出来たのかしら私」
ふと疑問に思ってぽつりと呟けば、
マルコさんがいきなり噴出した。
「・・・・・マルコさん?」
「心配しなくてもちゃんと出来てたよい。・・・家のことは俺がやってたけどねい」
「・・・・・・・・・・・今何と?」
「炊事洗濯掃除は俺の仕事だい。当然だろい?世話になってんだからよい」
・・・恥ずかし。
「いやー・・・・お恥ずかしい」
「そんな必要はねェ。色々してもらったし、料理もたまにはしてたからねい」
「・・・私が?まともな料理ですか?」
「何なら昼飯一緒に作るかい?身体で覚えたことは忘れねェだろい」
「は・・・・・はい・・・・・・」
頷いたものの、料理についてはまったく自信がなかった。
・・・・・・・けど。
「え、何コレ」
お昼、サッチさんに台所を借りて作ったお昼ご飯。
・・・・私が作った、オムライス2人分とサラダ2人分。
「作れるじゃねェかよい」
「・・・・・うそ」
私が作った・・・・・これを。
「いやでもマルコさんの手伝ってもらった訳ですし・・・・!」
「ほとんど手下してねェよい。上出来だ」
そしてまた、髪をくしゃくしゃにする。
・・・・その嬉しそうな顔に、やっぱり私この人が好きだと思った。
「・・・・・・・・あーん」
怒られるの覚悟でオムライス一口ぶんをマルコさんの口元に運んだ。
マルコさんは怪訝な顔で、
「・・・・思い出したのかい?」
と聞いて来た。
「や、なんか本能に従ってみました」
「・・・は、アコらしいねい」
マルコさんはそう言うと、口を開けてぱくりとオムライスを食べた。
「・・・・どう、ですか?」
「食ってみろい」
「え」
そして自分のぶんを取り、わたしの口元へ。
ゆっくり開けた口に放りこまれたオムライス。
「・・・・おいしーい!!!」
何これ美味しい。
私が作ったなんて信じられない。
「腕あげたねい、アコ」
「・・・・私が」
「よくやったねい」
・・・・・そう言ってやっぱり私の髪をくしゃくしゃにしたマルコさんの笑顔が。
・・・・・・何かと重なった気がした。
+ぐしゃぐしゃ 終+