鏡花水月、のように
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下見に行った島にモビーが無事に着いて、
買い出しやそれぞれに必要なことを終えて。
モビーは再び海へ出た。
・・・・・海へ出て、数日後のことだった。
「アコ、そろそろ起きろよい」
いつものようにアコを起こした瞬間。
「んん・・・・・・・っ」
眠そうに瞼を開いたアコが俺を見て、
「・・・・・・・不法侵入?」
とのたまった。
「・・・・どういうことだい、アコ」
怪しげな視線を向けてるアコを睨み付ければ、
「え、何で私の名前知って・・・・・・・・・・・・・ここ何処!?」
・・・・・・・・・把握した。
「来いよい」
「ぎゃー何!?誘拐!?私お金ないですよ貧乏ですよー!!!」
「知ってるよい」
暴れるアコの腕を引っ張って、
連れて来たのは医務室。
「アコが記憶喪失だよい」
「・・・・・・・・あらやだ、マルコ隊長でも冗談おっしゃいますのね」
「冗談じゃねェよい」
「病院!?あれここ病院!?」
「・・・・ホント?アコ」
「ほほほほ保険証!!あれ保険証、てかお財布がっ!!!?」
「・・・見ての通りだい」
「やだちょっと・・・・マルコ隊長のことを?」
「覚えてねェ。自分のことは覚えてるみてェだい」
アコは不安げな顔できょろきょろと辺りを見回している。
・・・・・・・いつもなら起きてすぐに俺に飛びついて来るアコがこれかい。
演技とかでは絶対ねェ。
「・・・・・・・・私記憶喪失、なんですか?」
「私のこともわからない?アレクシスよ」
「・・・・・ごめんなさい」
「マルコ隊長、一旦退出して頂いても?」
神妙な顔でそう告げるアレクシスに頷いて、
「頼むよい」
部屋を出た。
・・・・昨日、寝た時までは異常はなかった。
寝てる間に侵入者があればわかるはずだ。
・・・・俺がいながらアコにあんな顔させるなんざ。
情けねェ。
部屋に戻る気にはなれず、医務室の前で突っ立っていると、
「おーマルコじゃん、何してんの?飯食いに来いよ、アコちゃんの顔見たいのによ」
「それどころじゃねェんだよい」
「何?まさかアコちゃん病気?」
「記憶喪失だい」
「・・・・・何したのマルコ」
「俺が聞きてェよい」
言いながら頭を抱えた時、
医務室のドアが開いてアコが出て来た。
「あの・・・・・」
おずおずと声をかけてくるアコは見慣れねェよい。
「・・・どうした」
「何か私頭に傷があって、たぶん寝てる時に転んだかなんかで、それで記憶がないみたいで」
「・・・・・で?」
「しばらく様子見ましょうってことだそうなんですが」
「はっきり言えよい」
「ナースさんが・・・あなたの側を片時も離れるな、と」
「・・・・・・なるほどねい」
アコが記憶を取り戻すきっかけに1番なるのは俺だろう。
「・・・・いい、ですか?」
「いいも何もいつもひっついてきてただろい?」
「私が!?」
「俺にひっついてきてもいいよん、アコちゃん」
「時代遅れのリーゼントヘアに変なヒゲ!?」
「・・・・ひどくない?美味い飯食べさせてあげるからさ、俺についてきなよ」
「おいサッチ」
食いモンでアコを釣るなよい、今のこいつなら釣られるに決まってるだろい。
「美味しいご飯は大変魅力的なんですが・・・・私この人についていきたいです」
「ありゃ、やっぱフられちったわ。残念。ま、とりあえず落ち着いたら2人で飯食いに来いよ」
「ああ、ありがとよい」
・・・釣られなかった?
「いいのかい?美味い食い物にありつけるところだっただろい」
「あ、でも何か・・・・あなたの方が美味しそうな匂いが」
「あなたじゃねェ、マルコだ」
アコに名前を教えれば、
嬉しそうに笑った。
「マルコさん!ここって海賊船なんですよね!?」
「・・・そうだよい」
「探検したいです!!宝物庫とかあったりしません!?」
・・・・その反応に思わず口元が緩んだ。
探検、ねい。
記憶をなくしてもアコはアコかい。
「その前に腹ごしらえしなくていいのかい?」
「あ・・・・・そう、ですね。したいです。マルコさんが作るんですよね?」
「・・・・何でそう思うんだい?」
「あれ違いました?すみません何か・・・勝手にそう思ってました」
「昼飯に何か作ってやるよい、朝飯はサッチのでいいだろい」
「はーいっ」
笑顔で返事するアコに安堵しつつも、疑問は残る。
「怖くないのかい」
「へ?」
「俺は海賊なんだよい」
記憶のねェアコが海賊である俺をどう思っているのか。
「私に美味しいご飯を作ってくれる人が怖い訳ないですよー」
「・・・・・変わらないねい」
記憶をなくしても、こいつが笑っていられるなら。
「わ、フレンチトースト激美味!!」
「そうかい」
「てか何より人さまが作ってくれる朝ごはんの有難さよ・・・・」
「いつもはパンそのままだろい」
「なっ何故それを!?」
「夕飯は冷凍食品」
「ひええええ!?」
アコは驚いた顔を見せたあと、
「・・・・ほんとにマルコさん私のこと知ってるんですね」
「・・・・まあねい」
しみじみと呟いた。
「・・・・悔しいなあ」
・・・悔しいのはこっちもだってんだい。
「そのうち思い出せるだろうよい」
「・・・ですね。それに何か、マルコさんの側に居るだけで幸せなので」
今はそれでいいです。
・・・・・・そう言ったアコは阿呆面で。
・・・・・・馬鹿だねい、と言わずにおれなかった。
+それでも君は 終+
買い出しやそれぞれに必要なことを終えて。
モビーは再び海へ出た。
・・・・・海へ出て、数日後のことだった。
「アコ、そろそろ起きろよい」
いつものようにアコを起こした瞬間。
「んん・・・・・・・っ」
眠そうに瞼を開いたアコが俺を見て、
「・・・・・・・不法侵入?」
とのたまった。
「・・・・どういうことだい、アコ」
怪しげな視線を向けてるアコを睨み付ければ、
「え、何で私の名前知って・・・・・・・・・・・・・ここ何処!?」
・・・・・・・・・把握した。
「来いよい」
「ぎゃー何!?誘拐!?私お金ないですよ貧乏ですよー!!!」
「知ってるよい」
暴れるアコの腕を引っ張って、
連れて来たのは医務室。
「アコが記憶喪失だよい」
「・・・・・・・・あらやだ、マルコ隊長でも冗談おっしゃいますのね」
「冗談じゃねェよい」
「病院!?あれここ病院!?」
「・・・・ホント?アコ」
「ほほほほ保険証!!あれ保険証、てかお財布がっ!!!?」
「・・・見ての通りだい」
「やだちょっと・・・・マルコ隊長のことを?」
「覚えてねェ。自分のことは覚えてるみてェだい」
アコは不安げな顔できょろきょろと辺りを見回している。
・・・・・・・いつもなら起きてすぐに俺に飛びついて来るアコがこれかい。
演技とかでは絶対ねェ。
「・・・・・・・・私記憶喪失、なんですか?」
「私のこともわからない?アレクシスよ」
「・・・・・ごめんなさい」
「マルコ隊長、一旦退出して頂いても?」
神妙な顔でそう告げるアレクシスに頷いて、
「頼むよい」
部屋を出た。
・・・・昨日、寝た時までは異常はなかった。
寝てる間に侵入者があればわかるはずだ。
・・・・俺がいながらアコにあんな顔させるなんざ。
情けねェ。
部屋に戻る気にはなれず、医務室の前で突っ立っていると、
「おーマルコじゃん、何してんの?飯食いに来いよ、アコちゃんの顔見たいのによ」
「それどころじゃねェんだよい」
「何?まさかアコちゃん病気?」
「記憶喪失だい」
「・・・・・何したのマルコ」
「俺が聞きてェよい」
言いながら頭を抱えた時、
医務室のドアが開いてアコが出て来た。
「あの・・・・・」
おずおずと声をかけてくるアコは見慣れねェよい。
「・・・どうした」
「何か私頭に傷があって、たぶん寝てる時に転んだかなんかで、それで記憶がないみたいで」
「・・・・・で?」
「しばらく様子見ましょうってことだそうなんですが」
「はっきり言えよい」
「ナースさんが・・・あなたの側を片時も離れるな、と」
「・・・・・・なるほどねい」
アコが記憶を取り戻すきっかけに1番なるのは俺だろう。
「・・・・いい、ですか?」
「いいも何もいつもひっついてきてただろい?」
「私が!?」
「俺にひっついてきてもいいよん、アコちゃん」
「時代遅れのリーゼントヘアに変なヒゲ!?」
「・・・・ひどくない?美味い飯食べさせてあげるからさ、俺についてきなよ」
「おいサッチ」
食いモンでアコを釣るなよい、今のこいつなら釣られるに決まってるだろい。
「美味しいご飯は大変魅力的なんですが・・・・私この人についていきたいです」
「ありゃ、やっぱフられちったわ。残念。ま、とりあえず落ち着いたら2人で飯食いに来いよ」
「ああ、ありがとよい」
・・・釣られなかった?
「いいのかい?美味い食い物にありつけるところだっただろい」
「あ、でも何か・・・・あなたの方が美味しそうな匂いが」
「あなたじゃねェ、マルコだ」
アコに名前を教えれば、
嬉しそうに笑った。
「マルコさん!ここって海賊船なんですよね!?」
「・・・そうだよい」
「探検したいです!!宝物庫とかあったりしません!?」
・・・・その反応に思わず口元が緩んだ。
探検、ねい。
記憶をなくしてもアコはアコかい。
「その前に腹ごしらえしなくていいのかい?」
「あ・・・・・そう、ですね。したいです。マルコさんが作るんですよね?」
「・・・・何でそう思うんだい?」
「あれ違いました?すみません何か・・・勝手にそう思ってました」
「昼飯に何か作ってやるよい、朝飯はサッチのでいいだろい」
「はーいっ」
笑顔で返事するアコに安堵しつつも、疑問は残る。
「怖くないのかい」
「へ?」
「俺は海賊なんだよい」
記憶のねェアコが海賊である俺をどう思っているのか。
「私に美味しいご飯を作ってくれる人が怖い訳ないですよー」
「・・・・・変わらないねい」
記憶をなくしても、こいつが笑っていられるなら。
「わ、フレンチトースト激美味!!」
「そうかい」
「てか何より人さまが作ってくれる朝ごはんの有難さよ・・・・」
「いつもはパンそのままだろい」
「なっ何故それを!?」
「夕飯は冷凍食品」
「ひええええ!?」
アコは驚いた顔を見せたあと、
「・・・・ほんとにマルコさん私のこと知ってるんですね」
「・・・・まあねい」
しみじみと呟いた。
「・・・・悔しいなあ」
・・・悔しいのはこっちもだってんだい。
「そのうち思い出せるだろうよい」
「・・・ですね。それに何か、マルコさんの側に居るだけで幸せなので」
今はそれでいいです。
・・・・・・そう言ったアコは阿呆面で。
・・・・・・馬鹿だねい、と言わずにおれなかった。
+それでも君は 終+