鏡花水月、のように
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「マルコさん、私思ったんですけど」
「何だよい」
「・・・・普通にいい街ですよねここ」
「そうだねい」
街に買い出しに出れば食べ物も飲み物も普通に買えるし、
しかも見た所野菜も魚もお肉も新鮮。
まあ皆生気ない人たちばっかりで心配になるけど。
でも皆優しい。
・・・・・気がする。
「楽しいです、何か」
「油断するにゃまだ早ェよい」
「勿論承知しておりますっマルコ隊長!!」
なんて。
「・・・・わかってねェだろい」
「やだなあわかってますって。ちゃんとくっついてるじゃないですか」
マルコさんにぴったりと寄り添って離れない。
興味をそそられるものがあっても。
「泊まるのも買い出しも問題はなさそうだがねい、一見」
「・・・何か問題が?」
「あるだろい。気になるのは人間だい」
「・・・・・まさかマルコさん」
「何だよい」
「いい女が居ないから駄目とか!!」
言ってくれちゃうの!?
ごつん。
いつもの制裁。
「・・・・痛くないけど」
「もう1回やってやろうかい?」
「遠慮しておきます・・・・でもそれっぽいとこもありましたよね?」
女の人が居そうな居酒屋みたいなとこ。
まあ皆何処かしら怪我してたんだけど。
でも皆美人は美人だった。
「うさんくせェんだよい」
「・・・・人が、ですか?」
「取り繕い過ぎてる、そんな気がするよい」
その時、
にゃあと猫の泣き声。
「あ、猫・・・・と」
最初に出会った女の子。
「こんにちは、えと・・・魔女さん?」
確か女の子は自分のことを魔女って言ってた。
「こんにちは、お2人さん。いつまでこの島に居るの?」
「えーっと、明後日くらいまで?」
ちらりとマルコさんを見れば、
「早ければ明日には出る予定だい」
女の子相手に冷たい目・・・というか警戒した目。
「そう・・・」
「・・・・どうかした?」
「2人にいいことを教えてあげようと思って」
「いいこと?」
「お墓、あったでしょ?」
「うん」
「そこの中を通って行くと古いお寺があるの。そこにある鐘を鳴らすと2人は永遠に幸せになれるのよ」
「マルコさん聞きましたかっ」
なんて素敵な情報!!
「却下」
「・・・・マルコさん」
「くだらねェ」
言うと思った!!
「あなたたちが知りたがってる情報もきっとあると思うよ・・・?」
くすくす、と笑った魔女は、
「じゃあね」
と笑いながら居なくなった。
「・・・・・私たちって何を知りたいんですかね」
「知らねェよい。必要な情報はほぼそろっただろい」
「・・・・でも、知りたくないですか?」
「何をだよい」
「その情報」
「・・・行きたいんだねい、アコ」
「行ってみませんか?どうせ時間もあるし」
もう暗いけど。
「仕方ねェ、付き合ってやるよい」
「有難う御座います!!」
ということでやってきたお墓。
「げ、げ、げげげのげー」
「・・・・何だいその奇妙な歌は」
「お墓と言ったらこれかなあって」
「ご機嫌だねい、夜の墓場だってのに」
「そういう訳じゃないですけど・・・さすがに不気味ですし」
「ゾンビでも出そうだよい」
「それなんですけど」
周りを見渡して、
「まさか会いたいとか言わねェだろうない」
「思い出したんですよ、弱点。ゾンビの」
「・・・・一応聞いておくよい」
「塩です!塩で溶ける・・・だった気がします!!」
「・・・・・・塩なんか持ってねェよい」
「ですよねー」
あははーなんて笑って、
固まった。
びちゃ。びちゃ。
・・・・・そんな気持ち悪い音と共に周りのお墓から現れたのは、
「・・・・泥人形。な訳ないですよねー」
「会いたがってたゾンビみたいだよいアコ」
「会いたくはなかったですよ!?」
間違いなくゾンビだ。
「・・・アコ、下がってろい」
一見大怪我した年寄りに見えなくもない。
「皆で踊ってくれたら楽しいのに」
「・・・・馬鹿言ってんないよい」
「あとは墓場で運動会!!」
「・・・・・・・・・・・・アコ」
さすがにマルコさんも呆れ顔。
このネタわかんないもんなあ。
「でも待ってくださいマルコさん、あのゾンビたちあそこから動けないみたい・・・地縛霊的な?」
「・・・・ま、害がねェなら放っておいて行くよい」
「はーい」
・・・・・・で、辿り着きました鐘。
「マルコさん一緒にっ」
「1人でやれるだろい?」
「・・・・・・・・・・・駄目、ですか?」
幸せになれる、なんて迷信。
信じてる訳じゃないけど。
「・・・・・・・1回だけだよい」
「有難う御座います・・・っ」
2人で紐を握って。
ごおん、ごおん。
ゆっくりと鐘を鳴らした。
はあ、今既にかなり幸せだぁ・・・・!!
「居るんだろい?出て来いよい」
「え?」
幸せをぶち壊したマルコさんの殺気。
もとい覇気。
に、
「おめでとーっ!!!」
「きゃー素敵いっ!!!」
・・・・・更にそれをぶち壊す黄色い悲鳴と盛大な拍手。
正体はさっきのゾンビたち。
マルコさんも怪訝な顔。
「・・・・どういうことですかマルコさん」
「・・・・知りたかった情報ってやつだろい?」
そこで聞かされたのは、
おどろおどろしいこの街の雰囲気も、
ゾンビも。
・・・・魔女さえも。
この街をあげてのエンターテイメント。
つまりは、街全体のお化け屋敷だった。
・・・・・ってことらしい。
+すべての 終+